1. 「高市内閣の支持率71%」、メディアと公権力の癒着、わたしたちはなぜ世論調査を鵜呑みにするのか?

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「高市内閣の支持率71%」、メディアと公権力の癒着、わたしたちはなぜ世論調査を鵜呑みにするのか?

4月4日と5日にJNNが実施した世論調査によると、高市内閣の支持率は71.5%で、不支持率は23.7%だった。一方、高市首相が所属する自民党の支持率は35.0%だった。これら2つのデータは、実態と整合していないと感じる人も多いのではないか。

このところ自民党離れが進んでいることは、地方自治体の選挙結果を見れば一目瞭然だ。東京の清瀬市で共産党の市長が誕生したのに続いて、東京の練馬区でも共産党が自主支援した候補が区長に当選した。福井県知事選や石川県知事選でも、自民党が推薦した候補が敗北した。

日本の巨大メディアが定期的に発表している世論調査の数字に信頼性はあるのだろうか。筆者は、信頼すべきではないという見解を持っている。巨大メディアと公権力機関との距離が近いという理由に加えて、第三者による監視のプロセスを経ずに公表されているからだ。自分たちが好き勝手に数字を捏造することが可能になっているからである。それは一部の市民運動体が、自分たちに好都合な情報を脚色し、客観的な情報を提供しないのと同じである。

巨大メディアと公権力機構の間には、莫大な資金を媒介とした癒着・腐敗がある。その典型が、メディア黒書で繰り返し指摘している「押し紙」制度である。過去の記事と重複するのを承知で、「押し紙」が生む巨額の不正を示す試算を紹介しよう。

■試算

2004年、毎日新聞社の記者が、社長室から1通の内部資料を持ち出した。「朝刊・発証数の推移」と題する内部資料である。この資料には、毎日新聞の部数内訳が記録されていた。

それによると、2002年10月時点における毎日新聞の公式部数は3,953,466部である。これに対して、新聞販売店が読者に発行した領収書の数(発証数)は2,509,139枚である。差異にあたる約144万部が、1日あたり全国で発生していた毎日新聞の「押し紙」であったと推測できる。

※厳密に言えば、販売店に搬入される新聞の2%は予備紙であり、「押し紙」の定義には含まれない。しかし数字が小さいため、ここでは詳細には踏み込まない

「押し紙」1部の卸代金を1500円として試算すると、「押し紙」による販売収入は月額で21億6000万円になる。年間では約259億円となる。次の計算式である。

1500円(新聞の卸価格)×144万部(「押し紙」部数)=21億6000万円(月額)

21億6000万円(月額)×12か月=259億2000万円

公正取引委員会が毎日新聞社にメスを入れれば、同社は年間で約259億円の販売収入を失うことになる。もっとも、「押し紙」を買い取るために販売店へ支出する補助金が相当額にのぼるとしても、部数の水増しによって紙面広告の価値も水増しされるため、不正な利益の額は尋常ではない。

参考までに裏付け資料も紹介しよう。

■朝刊発証数の推移(赤印に着目)

「押し紙」のほかにも、日本の巨大メディアは、①新聞に対する消費税の軽減措置、②文部科学省の学習指導要領で新聞の教材利用を推奨する国策、③記者クラブ制度、などさまざまな恩恵を受けている。端的に言えば、経済的な利益を得ることで、ジャーナリズム企業としての独立性を欠いているのだ。

◆新聞社とテレビの系列関係

余談になるが、日本のテレビ局は新聞社と系列関係にあるため、「押し紙」はメディア全体の問題といえる。新聞社だけの問題ではない。先の試算で示したような巨額の不正資金が、独占禁止法による取り締まりの対象にならないのは、メディアそのものが日本の権力構造に組み込まれているからにほかならない。

新聞部数を偽ってきた巨大メディアにとって、世論調査の数字を操作する程度のことは朝飯前だ。

◆なぜ世論調査に騙されるのか?

メディアによる世論調査の数字を鵜呑みにしている代表的な層は、政治学者である。世論調査の数字を把握しなければ、政治を論じる際に支障を来すからだ。したがって、世論調査の数字は正確だという前提に立って政治を論じる。

政治学者以外の層も世論調査を信用する傾向がある。日本の教育制度の下では、小学校から高校まで断片的な知識の詰め込みに重点が置かれ、生徒が自分の頭で物事を考えるトレーニングが十分に行われていない。その結果、教員の説明を鵜呑みにする。いわゆる「お受験」の弊害で、権威のある情報をそのまま受け入れる人間を量産している。

改めて言うまでもなく、世論調査のデータは世論誘導の有力な道具にほかならない。新聞の部数を大幅に偽り、巨額の冨を得ている連中が、世論調査に限り、正確な数字を公表することなどあり得ないだろう。