【連載・報道と人権1】販売店改廃をめぐる報道・人権・訴訟、読売とZAITENが対決、読売代理人には、「人権派」喜田村洋一・自由人権協会代表理事

新聞販売店の改廃(廃業)事件をめぐるトラブルをきっかけに、それを報じた月刊誌『ZAITEN』(財界展望新社)と読売新聞東京本社の間で訴訟が起きている。改廃事件は、デジタル化の時代、販売店の経営が圧迫される社会状況のもとで起きた。
事件の詳細については、原告と被告の間で認識に隔たりがあり、現時点では双方の主張が出そろっていないため言及を避ける。ただし争点となりそうなのは、この販売店改廃に正当性があったのかどうかという点である。また、それが報じるに値する公益性があるかどうかという問題である。
『ZAITEN』側は、改廃事件は第三者が読売本社と結託し、販売店の乗っ取りを断行した可能性が高いと主張している。これに対し読売側は、販売店の改廃は適正な手続きを踏んで行ったと主張している。
改廃事件の舞台となったのは、神奈川県のYC武蔵小杉店である。事件が進行したのは2023年末から翌年2月にかけての時期である。読売が問題視した記事は、『ZAITEN』2024年5月号に掲載された。タイトルは「死屍累々でも“暴走”する販売局 読売新聞『朝日との最終決戦』に販売店大量廃業」。
しかし、実際に読売が提訴したのは、2025年10月である。記事の掲載から2年近くのブランクがある。この間、『ZAITEN』は断続的に新聞販売に関連した問題を取り上げてきた。
読売が提訴の対象とした記事によると、YC武蔵小杉店の店主であるSさんは自主廃業を決め、その旨を読売新聞を含む関係者に告げた。しかし、後任者は見つからなかったという。
事件の引き金となったのは、Sさんが体調を崩し、数日にわたり販売店に出勤できなかったことである。この期間中に読売新聞社が一方的に販売店改廃を断行した――というのが記事の主旨である。その際、「事務所のデスクの引き出しに保管されていた契約書や印鑑などが、引き出しをこじ開けられた末に持ち出されていた」という。
これに対して読売新聞社は、取引契約の解除は適正な手続きを経たうえで行ったと主張している。
◆大量に存在する読売関連の資料
実は、読売新聞社が関係してきた販売店関連の訴訟は、過去にも何件も起きてきた。筆者はこれに関する資料を大量に保管している。今後、過去の事件と比較しながら、『ZAITEN』のケースを取り上げていきたい。
なお、この裁判で読売側の弁護人を務めているのは、自由人権協会の代表理事である「人権派」弁護士、喜田村洋一氏である。メディア研究者から重宝されている弁護士だが、読売には一部の「押し紙」も存在してこなかったと主張してきた弁護士としても知られている。今世紀に入るころから、読売の販売店関連の訴訟を多数担当してきた経歴を持つ。販売店訴訟で、福岡地裁や高裁へも頻繁に足を運んできた。
過去には、筆者を被告とする3件の裁判にも関わっており、当然ながら筆者は喜田村弁護士が作成した書面を重要書類と位置づけて、大量に保管している。興味深いものもあるので、これについても紹介していこう。
今回の『ZAITEN』の裁判は、過去の読売裁判との類似性が高い。そうしたこともあり、過去の裁判とも関連づけながら事件を検証したい。(続く)
