1. 小池知事の電磁波問題に対する驚くべき無知ぶり、懸念されるLEDやスマホによる人体影響

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2017年07月12日 (水曜日)

小池知事の電磁波問題に対する驚くべき無知ぶり、懸念されるLEDやスマホによる人体影響

東京都の小池知事が「家庭内の白熱電球を発光ダイオード(LED)電球と無償で交換する事業の受け付けを始めた」という。

 小池百合子知事は都庁でセレモニーを開催し、歌手のピコ太郎さんと共に取り組みの推進を呼び掛けた。

 ピコ太郎さんはセレモニーで「私の家の電球も(LED電球に)替えようと思う」とあいさつ。ピコ太郎さんと交換手順を説明した小池知事は「交換することで家の中の電気がどうなっているか、もう一度点検してほしい」と話した。

 18歳以上の都民が対象。都内に約830ある協力家電店に使用中の白熱電球2個以上を持参すれば、LED電球1個と交換できる。都は5月、小池知事とピコ太郎さんが「PPAP」の替え歌でPRする動画を公開。既に19万回再生されている。(産経新聞)

LED(可視光線を発光する可視光発光ダイオード)による人体影響については、メディア黒書で報じてきたとおりである。加齢黄斑変性の原因になっていることは周知の事実であるうえに、最近では、ある種の波長の可視光線で昆虫が死ぬことも分かっている。パソコンやスマホの使いすぎが、睡眠障害の原因になることも定説となった。白熱電球からLEDに切り替えた職場で、健康被害が発生したことも報告されている。

【参考記事】危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー①

【参考記事】危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー②

◇すべての電磁波には人体影響がある

改めて言うまでもなく、LEDによる人体影響は、電磁波問題に属するわけだが、どういうわけか日本のメディアは、電磁波問題をほとんど報じない。電話会社が大口の広告主であるからだ。

電磁波問題は欧米では普通に報じられている。人々の間にも、「危険」という認識が根付いている。

電磁波による人体影響が指摘されるようになったのは、1980年ごろからである。米国で高圧線の近くに住む子供と小児白血病の関係が指摘されるようになり、本格的な研究が国際規模で始まったのである。もちろんそれ以前から先見性がある研究者は電磁波問題を指摘していたのだが、本格的にクローズアップされてきたのは、この時期からである。携帯電話のマイクロ波による人体影響の研究などは、さらに遅れて始まった。従ってまだ未知の領域が多い。

電磁波というのは、広義には原発のガンマ線やレントゲンのX線も含む。ガンマ線やレントゲンのX線は、極めてエネルギーが高い。これに対して、家電や送電線などの電磁波はエネルギーが低い。

当初は、エネルギーが高いガンマ線やX線は人体影響があるが、エネルギーが低いものについては、安全と考えられてきた。しかし、現在では、すべての電磁波になんらかの人体影響があるとする見方がほぼ定着している。

 これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。『携帯電話基地局の真実』荻野晃也・元京都大講師)

 エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。『生体と電磁波』宮田幹生・北里大学名誉教授)

◇懸念されるのは、20年後、30年後の人体影響

LED(ブルーライト)は、人工的に光の波長を組み合わされて作る。従って、自然光に近いものほど複雑でコストが高くなる。安いLEDは、特に危険だ。たとえ高価なものを使うとしても、どこまでが安全かという点は、まだ分かっていない。研究の途上だ。科学とはそういうもので、国が定める安全基準は、研究成果によって常に変化する。東京都が無償提供するLEDがどの程度の質なのか、興味深いところだ。

毎日スマホと睨めっこしている小学生の目が、10年後、あるいは20年後、30年後にどのような変化を起こしているのかは、誰も分からない。自動車の自動運転は、電磁波による制御が行われるわけだから、それが普及したとき、どのような人体影響が表れるか分からない。道路沿いの民家で癌の発症率が高くなるかも知れない。駅の改札でスイカを使うときに発せられる電磁波を、10年、20年あびたとき、身体がどうなるかも分からない。

最近、若い人の癌が増えているが、これはひとつには、電磁波の被曝が原因である可能性もある。しかし、電磁波の利用は企業の利権を孕んでいるので、あまり報道されることはない。

◇産業界と癒着した総務省

最も身近な電磁波問題といえば、携帯電話やスマホで使われているマイクロ波による人体影響である。マイクロ波に遺伝子毒性があることは、ほぼ定説となっている。しかも、当初、考えられていたよりも遥かにわずかな被曝でも、人体に影響があることが分かっている。

次に示すのは、マイクロ波の規制値国際比較である。

日本:1000μW/cm2

イタリア:10μW/cm2

スイス:6.6μW/cm2

EU:0.1μW/cm2(提言値)

ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)

この数値を見るだけで、日本の総務省がいかに無知であるかが分かる。産業界と癒着しているかが分かる。

マイクロ波による人体影響を理由に、携帯電話の基地局の撤去を求めると、電話会社は必ず次のように弁解する。災害時にそなえて、携帯電話の基地局を維持する必要がある、と。公共的な性格があるので撤去できない、と。

ところが今月になってから九州北部を襲った豪雨で、携帯電話は何の役にも立たなかった。通信不能に陥ったのだ。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによると、5日午後から携帯電話が通じにくくなった。ドコモは8日午後6時現在、福岡県の朝倉市、東峰村、熊本県の小国町、大分県の日田市の一部でつながりにくい状況だ。KDDIとソフトバンクも朝倉市や東峰村などで同様の状況という。基地局をつなぐ電線が切断されたか、停電で基地局から電波が送れなくなった可能性が高いという。
(朝日デジタル

携帯電話といっても、ケーブルなしには機能しないわけだから、当然のことである。

 

【参考記事】日本人の3%~5・7%が電磁波過敏症、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表