2016年10月13日 (木曜日)

15億円訴訟で博報堂が答弁書を提出、過去データの流用など疑惑に対する具体的な見解を避ける

アスカコーポレーションが博報堂に対して、起こした裁判(不当利得返還請求事件)で、11日、博報堂から福岡地裁へ答弁書が提出された。

※両企業の間では、3件の訴訟が起きている。

博報堂(原告)がアスカ(被告)に対して、約6億1000万円の未払金を求めるもの。東京地裁。

アスカ(原告)が博報堂(被告)に対して約15億3000万円の過払い金の返還を求めるもの。福岡地裁。

アスカ(原告)が博報堂(被告)に対してテレビCMなどの番組提案書の無効を求め、約47億9000万円の返還を求めるもの。福岡地裁。

今回、博報堂の遠藤常二弁護士らから提出されたのは、②の「15億円」訴訟の答弁書である。博報堂がメディアに対して頑なに取材を拒否してきただけに、筆者は、特別な関心をもって書面を読んだ。

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2016年10月12日 (水曜日)

「押し紙」を排除したときの毎日新聞の販売収入は年間でマイナス259億円、内部資料「朝刊 発証数の推移」を使った試算

最近、再びクローズアップされているのが「押し紙」問題である。あるいは新聞の偽装部数問題である。新聞史の中で、現代の動きを捉えると、第3波が始まっているといえよう。

第1波は1980年代の初頭。5年間にわたり共産党、公明党、社会党の3党が共闘して、国会の場で、新聞販売問題の追及を展開した。質問回数は、実に15回に及んだ。

第2波は2007年、読売の「押し紙」政策を認定した真村裁判の判決が最高裁で確定した時期である。この時期、雑誌が盛んに「押し紙」問題を取り上げた。が、読売が週刊新潮と筆者に対して、名誉毀損裁判を提起したのを機に、ぴたりと第2波がやんだ。

※読売は真村裁判が「押し紙」を認定したとする主張を否定している。次の記事を参照にしてほしい。

【参考記事】新聞の偽装部数「押し紙」を考える集会の講演画像が完成、江上武幸弁護士が真村裁判を語る

この裁判には、喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売の代理人として登場して、歴史的に見ても読売、1部も「押し紙」は存在しないと堂々と主張した。

第3波は、今年の2月に朝日新聞の記者が日本記者クラブで、公取委の杉本和行委員長に「押し紙」問題について質問したのを機として起こった。

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2016年10月11日 (火曜日)

アスカの業務を麻痺させた博報堂の変則的な金銭請求方法、郵政事件の検証も不可欠

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、鍵を握る博報堂の営業マン・清原亮一(仮名)氏の陳述書を閲覧した。9月15日付けのこの陳述書は、2015年秋に博報堂がアスカに対して起こした約6億1000万円の未払金を請求する訴訟のなかで作成・提出されたものである。

興味深いことに、この陳述書は、メディア黒書が指摘してきた両企業の取り引き形態をおおむね認めている。メディア黒書では、アスカの南部社長と清原氏が直接にPR活動について話し合い、業務内容を決めていたと報じてきた。

陳述書の冒頭で清原氏は、次のように述べている。

 当社と被告との間の広告取引は、全て、代表取締役である南部昭行氏(以下、「南部社長」と言います)から直接了承をいただいて進めてきたものであり、当社の請求が過剰・不当ということはあり得ないですし、覚書や債務承認契約の効力に問題はありません。

南部社長から「直接了承」を得ていたから、アスカは未払金にあたる約6億円を支払うべきだという論理である。

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2016年10月10日 (月曜日)

博報堂がアスカから訴えられた64億円過払い訴訟で分かった、大手広告代理店「騙しの手口」――手抜き制作、視聴率改ざん、CM間引き、架空請求…

広告代理店による騙しの手口が明るみに出はじめた。電通が先月、デジタル広告の掲載料金を水増請求していた件で記者会見を開いて謝罪したが、業界2位の博報堂も今年5月と8月、化粧品・自然食品の通販会社アスカコーポレーション(本社・福岡市、以下アスカ)から、過払い金として約64億円の返済を求める2件の訴訟を起こされていたことがわかった。

請求項目は、通販情報誌の制作で過去データを流用し手抜きしていた問題から、テレビCMなどの番組提案書の放送枠にビデオリサーチの視聴率を改ざんして書き込んだ問題、1508件のテレビCMを「間引き」した疑惑まで、多岐にわたる。

放送しなかった通販番組についても放送料を請求したり(架空請求)、縦枠の新聞広告に横枠用の広告を制作し、そのまま掲載してしまうといった低レベルの問題も発覚。アスカから膨大な量の放送確認書(2010~2014年)を入手して精査した筆者が、「不正のデパート・博報堂」の実態を詳報する。【続きはマイニュースジャパンで】

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2016年10月08日 (土曜日)

新聞の偽装部数「押し紙」を考える集会の講演画像が完成、江上武幸弁護士が真村裁判を語る

10月2日に東京都板橋区の板橋文化会館で開かれた「押し紙」問題を考える会の記録動画が完成した。今回、紹介するのは、「押し紙」の説明(黒薮)と江上武幸弁護士の講演である。

江上弁護士は、真村裁判の経緯について話した。この裁判は単に読売の販売政策が争点になっただけではなく、ひとりの販売店主を14年間も法廷に縛り付けた事実があり、今後、人権問題の観点から長期に渡る検証課題になりそうだ。

また、読売の滝鼻太郎広報部長は、自社の「押し紙」政策を否定(下の記事を参照)しており、この点についても、真村裁判の判決に照らし合わせた再検証が不可欠になっている。

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2016年10月07日 (金曜日)

『紙の爆弾』が「郵便不正事件の真相『不正DM』利用を手引きした『博報堂』」と題するルポを掲載

7日に発売の『紙の爆弾』が、「郵便不正事件の真相『不正DM』利用を手引きした『博報堂』」と題するルポを掲載している。

郵便不正事件とは、「2009年に大阪地方検察庁特別捜査部が、障害者団体向けの郵便料金の割引制度の不正利用があったとして、障害者団体・厚生労働省・ダイレクトメール発行会社・広告代理店・郵便事業会社等の各関係者を摘発した郵便法違反・虚偽有印公文書作成事件」(ウィキペディア)である。

博報堂の関係者もDMの発行会社に対して営業を行った。現在、博報堂と係争中のアスカコーポレーション(本社・福岡市、以下、アスカ)も、DMの使用を勧誘されたという。名刺が残っている。この事件は、アスカの地元、福岡を中心に展開したのである。

ベスト電器をはじめとする多数の企業関係者のほか、博報堂エルグの執行役員も逮捕された。有印公文書偽造で厚生労働省の元局長・村木厚子氏らは逮捕後に無罪となり、逆に担当検事の前田恒彦氏らが最高検察庁に逮捕された。これも謎が多い事件だ。

結局、この事件は真相が完全に解明されないまま消えてしまった。

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2016年10月06日 (木曜日)

博報堂が東京・福岡の「渡航費」として165万円を請求、暴露される広告代理店による過剰請求問題

先月、電通が自社のPR業務の中で過剰請求があったことを認めたのを機に、広告業界の闇が輪郭を現しはじめている。

周知のように、ウェブサイト『ビジネスジャーナル』(8月25日)が、博報堂と係争中のアスカコーポレーション(以下、アスカ)・南部昭行社長へのインタビューを掲載した。この中に博報堂による請求の水増しについて次のような質問と回答がある。

---具体的には、どのようなかたちで水増しが行われていたのでしょうか。

南部 たとえば「渡航費」という部分です。東京から福岡までの出張経費が渡航費として1回100万円以上の単位で請求されていました。ほかの取引先は、そのようなことは一度もなかったので、びっくりしました。もちろん、そうした費用を請求するなどという話は事前になく、正直呆れました。《全記事》

この件に関して、筆者が取材したところ、「渡航」に関連した請求に複数の疑惑があることが分かった。

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2016年10月05日 (水曜日)

アクセスジャーナルが博報堂事件の連載を開始

アクセスジャーナルで、博報堂事件の連載が始まった。その背景には、9月23日に電通が記者会見を開き、自らの過剰請求を認め、大手広告代理店による不正請求が氷山の一角である可能性が高まった事情があるようだ。

博報堂事件の発端は昨年の秋、博報堂がアスカコーポレーション(以下、アスカ)に対して、約6億1000万円の未払い金を請求する裁判を起こしたことである。これに対してアスカは博報堂が過剰請求をしていたとして、今年に入り2件の裁判を起こした。賠償請求額は総額で約64億円。この中には、視聴率の偽装を根拠に番組提案書の無効を求めるものも含まれている。

アスカ側は積極的に情報を開示しているが、博報堂は取材を拒否している。

■アクセスジャーナル

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2016年10月04日 (火曜日)

内閣府に対して情報公開請求、「博報堂が内閣府に送った請求書の全部」、「テレビCMの放送確認書の全部」

筆者は内閣府に対して2件の情報公開を請求する文書を3日に送付した。公共広告に投じられる「税金」が、広告代理店・博報堂に不当に大きな規模で流れている疑惑があり、調査する必要があるからだ。

内容は次の通りである

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2016年10月03日 (月曜日)

【臨時ニュース】新潟地方検察庁が森ゆうこ議員に対する刑事告発を受理、マネーロンダリングの疑惑

【臨時ニュース】

新潟地方検察庁が、森裕子氏に対する刑事告発を受理した。この事件は、今年の6月にメディア黒書で紹介した次の記事で指摘した類である。

■一市民を提訴した森裕子参院議員候補が過去にマネーロンダリング、政治資金収支報告書で判明

その後、A氏と黒薮の連名で東京地検特捜部に刑事告発を行った。しかし、特捜部が不受理を決定したので書面を修正し、今度は新潟地方検察庁に書面を提出した。

3日の午後、A氏の自宅へ、新潟地方検察庁から刑事告発を受理したとの連絡があった。同庁は捜査に入る。

森氏は2013年に市民に対して名誉毀損裁判を提起して敗訴。その後、A氏と筆者が裁判の検証や政治資金収支報告書の精査を行う中で、マネーロンダリングの疑惑が浮上。刑事告訴となっていた。

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2016年10月03日 (月曜日)

風化せぬ読売・真村事件、ひとりの販売店主を14年間も法廷に立たせた事実をどう評価するのか      

読売新聞の販売政策が争点となった真村裁判が始まったのが、2002年だから、今年で14年になる。裁判は先日、ようやく終わった。この事件には、読売から3件の裁判を起こされたわたしを含めて、さまざまな人々が登場する。

読売側の弁護団も、初期とは完全に入れ替わった。途中からは、喜田村洋一自由人権協会・代表理事も東京から福岡へかけつけ、読売のために働くようになった。

読売は、弱小のYC広川を経営する真村氏を相手に必死の戦いを繰り広げたのである。

10月2日、「新聞の偽装部数『押し紙』を考える」と題する集いが、東京板橋区の板橋文化開会で開かれ、真村弁護士団の江上武幸弁護士が真村事件について講演した。

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2016年10月01日 (土曜日)

「内閣府広報費」開示は“黒塗り”だらけ、本日発売の『ZAITEN』が報道

 本日、発売の『ZAITEN』(財界展望社)に、広告代理店関連の記事が2本掲載されている。

一本は、筆者(黒薮)が書いた記事で、タイトルは「広告代理店に気を遣う行政の異様 『内閣府広報費』開示は“黒塗り”だらけ」。これは博報堂が内閣府に請求した公共広告とCMの代金にさまざまな疑惑がある点を指摘したものである。

もう一本は、元博報堂の社員で、『原発プロパガンダ』(岩波新書)の著者・本間龍氏の執筆で、タイトルは、「公共広告もエージェントが差配  電通・博報堂の『新型メディア支配』。

『ZAITEN』は全国の書店で販売されている。

 

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2016年10月01日 (土曜日)

2日に「押し紙」を考える全国集会、江上武幸弁護士が読売裁判の14年を語る

 明日(10月2日)に、「押し紙」問題を考える全国集会が開催される。集会では、江上武幸弁護士が読売裁判について講演する。

読売裁判は2002年に始まり、先日、ようやく終結した。この間、筆者(黒薮)を含む、多数の人々が事件にかかわった。筆者だけに限っても、4件の裁判と、1件の弁護士懲戒請求(対象弁護士は、読売の代理人・喜田村洋一自由人権協会代表理事)を経験している。

また、パネルディスカッションでは、江上弁護士の他、評論家の天木直人氏、行橋市議の小坪慎也氏がメディアについて意見を述べる。

場所:板橋文化会館(大会議室・東京都板橋区)《地図》

日時:10月2日(日) 午後13時開場、13:30開演

入場は無料

詳細は、次のリンク先で。

■「押し紙」問題を考える全国集会の詳細

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2016年09月30日 (金曜日)

週刊金曜日が連載ルポの3回目を掲載、「化粧品通販アスカを欺いた博報堂の”手口”」

 本日(30日)発売の週刊金曜日に化粧品などの通販会社・アスカと博報堂
の係争を取材したルポルタージュ(黒薮執筆)の3回目が掲載されている。タイトルは、「化粧品通販アスカを欺いた博報堂の"手口"」 。

意外に知られていないが、この事件の構図は、郵政民営化の時期に起こった疑惑まみれの事件-いわゆる郵政事件と基本的に同じである。郵政民営化が小泉構造改革の象徴的な政策であった事情も関係したのか、事件の全容をメディアが報じることはほとんどなかったが、総務省は綿密な調査報告書を残している。

第3回目の記事では、調査報告書の一部を紹介している。

結論を先に言えば、博報堂は郵政のCという人物を接待付けにして、郵政4社のPR業務を独占することに成功し、その後、とんでもない高額請求を行っていたのだ。これについては、当時の朝日新聞も若干報じている。次の記事である。

■日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円

このような「被害」が郵政から他企業にまで拡大した。その典型例がアスカとの係争である。

メディア黒書は、被害を受けた企業から情報収集を行っている。情報の提供先は:

 ℡048-464-1413

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2016年09月29日 (木曜日)

博報堂事件、アスカが博報堂の不正請求を見落とし続けた理由

アスカコーポレーションと博報堂の係争で、解明しなければならない疑問のひとつに、「なぜアスカは、博報堂から請求される金額をよく精査せずにそのまま支払っていたのか?」という点がある。これは極めて大事なポイントである。

博報堂がアスカのPR業務を独占したのは2008年からである。それから裁判の提訴に至るまでの期間は約8年間。アスカがこの期間の経理を検証したところ、不正な請求の実態が明るみに出て、総額で約63億円にものぼる巨額訴訟へと発展したのである。

たとえば不正請求の例として、朝日放送がらみの事件を紹介しよう

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2016年09月28日 (水曜日)

スラップ問題対策チーム設置に関する申し入れに対する日弁連の回答、熱意のない文面「今後の会務活動の参考とさせていただきます」

既報したように、今年の7月5日、寺澤有氏、林克明氏、それに筆者(黒薮)のフリーランスライター3名は、日本弁護士連合会に対して、スラップ対策チームを設置するように申し入れた。当日は、申し入れに参加できなかったが三宅勝久氏も、申入れ文書には署名した。

このほど日弁連から、筆者宛てに次の回答が届いた。

■日弁連からの回答

読者は、この回答の文面を読んでどう感じるだろうか。スラップ問題の対策への熱意を感じるだろうか。躍動感やエネルギーを感じるだろうか。

筆者はまずなによりも、日弁連の事務総長たる人物がこの程度の文書しか書けないことにびっくりした。普通の作文のレベルではない。しかも、それを送付する勇気にも驚いた。文書は記録として残るのだ。

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2016年09月27日 (火曜日)

元最高検察庁刑事部長の松田昇氏の再就職先、博報堂DYホールディングスだけではなく、3月から読売巨人軍にも、官民汚職の温床に

裁判官や検察官などの国家公務員が退官後に民間企業に再就職するケースが後を絶たない。このような行為を広義に「天下り」と呼ぶ。目的は、現役の国家公務員に対して、先輩の影響力を発揮し、自らの再就職先のために便宜を図ることであると言われている。

官民汚職の温床にほかならない。「天下り」は前近代的な悪しき慣行のひとつであると言えよう。

縦の人間関係が支配的な日本では、退職者を部外者として扱う習慣もない

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2016年09月26日 (月曜日)

 海上自衛隊のホームページ、博報堂が7年間で4回も再構築、1回につき約1000万円を請求

博報堂が海上自衛隊に対して「平成」22年7月15日から、「平成」28年6月10日までの期間に、発行した請求書を情報公開請求によって入手した。総額は4645万9650円だった。

筆者がはじめて防衛省に対して情報公開を請求した際、防衛省は請求書の量が膨大なので、開示までに2年ぐらいの日数を要すると説明していたが、予想外に早く開示してきた。総額はそれほど多くはない。

ただ、単価が異常に高額に設定されているものがある。

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2016年09月24日 (土曜日)

電通が2億3000万円の過剰請求で謝罪、博報堂は裁判と取材拒否、単純とも複雑ともつかない事件の概要

【サマリー】電通が記者会見を開いて、過去に111社から約2億3000万円を過剰請求をしていたことを謝罪した。同じタイプの事件が博報堂でも起こっており、広告代理店によるPR業務の実態が業界全体で問われることになりそうだ。

電通はみずからの非を認めて謝罪したが、博報堂は裁判で争っている。取材も拒否している。博報堂事件の概要を説明しよう。

■博報堂の経営陣

広告業界にとって衝撃的な事件が起きた。

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2016年09月23日 (金曜日)

週刊金曜日が博報堂の視聴率偽装を報道、経理システムにも疑問符

 本日(23日)発売の『週刊金曜日』が「マスコミタブー 大手広告代理店・博報堂」(執筆者・黒薮)の第2回目の記事を掲載している。テレビCMなど放送番組の制作に際して、広告代理店が広告主に提示する番組提案書に記する視聴率を、博報堂が改ざんして放送枠を買い取らせていた問題などを取り上げている。

また、博報堂独特の会計にも言及している。週刊金曜日の目次は次の通りである。

■週刊金曜日の目次

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2016年09月22日 (木曜日)

既成メディアは、記者の総入れ替えを断行せよ、伏魔殿「都庁」を監視出来ない記者クラブ

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)

豊洲市場地下の汚染土壌は、これまで何度も安全性が問題になって来た。既成メディアは東京都庁の記者クラブにいながら、地下空間の存在を今まで何故見抜けなかったのか。権力監視の使命を果たせない記者と配属責任のある経営者は、読者への責任の自覚が問われている。

一連の豊洲市場問題で石原慎太郎元東京都知事は、都庁を「伏魔殿」と評した。自ら「伏魔殿」の親分であったことを棚上げにした無責任極まりない発言だ。でも、無責任と言う点では、今頃になって豊洲市場問題を鬼の首でも取ったかのように報道する既成メディアも同様だ。

舛添要一前都知事の政治資金報道では、週刊文春に先を越された。豊洲市場では、小池百合子知事の登場でやっと明らかになった。「税金を使って記者クラブにいるメディアは、何をしていたのか」と、言われても当然だろう。だが、それで都庁担当記者の責任や記者クラブの在り方が、メディア内部で問われたという話も耳に入って来ない。それこそが問題なのだ。

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2016年09月21日 (水曜日)

博報堂事件、業務を依頼していないのに勝手に請求、油断したスキを狙った「置き引き」型

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、次々と博報堂による騙しの手口が明らかになっている。

今回、紹介する騙しの手口は、アスカが依頼していない業務に対して博報堂が料金を徴収していたとされる例である。もっとも博報堂は取材を拒否しているので、以下、アスカ側からの情報提供に基づいた記述になるが、裏付け資料を見る限りでは、極めてトリッキーな手口が使われている。

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2016年09月20日 (火曜日)

「黒薮哲哉」名義で多量のなりすましメール、武富士による盗聴レベルの犯罪、宛先は九州の弁護士ら

メディア黒書に対する攻撃なのか、このところ「黒薮哲哉」を名乗った「なりすまし」メールが、おもに出版関係者に送られている。また、わたしが住んでいるマンションの管理会社の管理人のメールにも送られた。

管理人のPCメールアドレスなど、わたしが知るよしもなく、わたしに関する情報を収集していることを誇示するのが目的ではないかと思う。

メディア黒書は、さまざまな事件を扱うので、どの事件の関係者が「なりすまし」メールを発信しているのかは不明だが、PCに侵入して他人のメールアドレスを盗み出すか、あらかじめスパイが集めたメールアドレスを共有しなければ、このような「ネット犯罪」はできない。

かつて武富士がやった盗聴と同じレベルの悪質さだ。

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2016年09月19日 (月曜日)

10月2日に『押し紙』問題の全国集会、新聞ジャーナリズムの正義と「押し紙」政策は共存できるのか?

10月2日に東京・板橋区の板橋文化会館で予定されている講演会とパネルディスカッション『新聞の偽装部数「押し紙」』の開催まで2週間を切った。

「押し紙」問題と新聞ジャーナリズムの正義は共存できるのか?これはかねてから筆者が考え続けてきたテーマである。新聞批判といえば、とかく新聞紙面の批判が主流となり、たとえば『創』などのメディア関連の雑誌を過去にさかのぼって調べてみると、少なくとも1970年代ごろから、新聞の「紙面批判」が繰り返し行われてきたことが分かる。40年前の人々も新聞に絶望していたのである。

つまり新聞批判といえば、紙面批判を意味する昔からの同じパターンが繰り返されてきたのだ。記事の質を嘆き、新聞記者の職能を罵倒し、心がけを改めて不屈の精神を手に入れれば、新聞ジャーナリズムは再生できるという観念論の視点からの議論が延々と繰り返されてきたのである。

そこには新聞社のビジネスモデルの中から客観的な問題点と原因を探ろうとする科学的な姿勢は皆無だった。紙面の劣化を記者個人の能力、あるいは不見識の問題として片づけてしまう主観主義の傾向があったのだ。

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2016年09月16日 (金曜日)

『週刊金曜日』で「マスコミタブー・大手広告代理店・博報堂」の連載開始、第1回目のタイトルは、『テレビCMの「間引き」疑惑が浮上』

 本日(16日)発売の『週刊金曜日』で「マスコミタブー・大手広告代理店・博報堂」の連載が始まる。執筆者は黒薮。第1回目のタイトルは、『テレビCMの「間引き」疑惑が浮上』。

メディア黒書でも報じてきたように、博報堂とアスカコーポレーションの間で起きた大規模訴訟の中で、博報堂によるCM「間引き」疑惑や視聴率偽装の疑惑が浮上している。さらに内閣府など公的機関に対する博報堂からの請求書にも、請求額が黒塗りになっていたり、日付がない不自然なものが多数見つかっている。

連載では、これら一連の問題をとりあげる。

週刊金曜日は、全国の書店で販売されている。

■週刊金曜日の目次

 

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2016年09月15日 (木曜日)

日立キャピタルが最高裁へ4年間で1億8000万円を請求、月間のサーバー料が370万円にも、日付のない請求書の山

最高裁の元長官・竹﨑博允(写真)氏の現役時代の経理には、さまざまな疑問点がある。たとえば既報したように、裁判員制度に関する出費が高額になっている事実である。日付が付されていない請求書が多量にある事実である。

次に示すのは、日立キャピタル(株)が、「平成21年」から「平成24年」の約4年間に最高裁事務総局に請求した項目の明細である。総額は1億8037万円。

■日立キャピタル(株)の明細

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2016年09月14日 (水曜日)

内閣府の職員が情報公開資料を露骨に「黒塗り」、新聞・テレビへ流れた税金の使途を隠蔽

特定秘密保護法が運用されるようになってのち、情報公開制度が形骸化しはじめている。「国家公務員」が肝心な情報を黒ぬりにしたうえで、書面を開示する傾向が顕著になっている。まったく愚かな行為だ。

次に示す内部資料(PDF)は、博報堂が内閣府に送付したテレビ・新聞関連の請求書の全部である。今年の8月に内閣府が、筆者の情報公開請求に基づいて内閣府の職員が公開したものだ。

■博報堂の請求書

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2016年09月13日 (火曜日)

博報堂事件でアスカが主張、「アフィリエイト(成功報酬型のインターネット広告)で水増しがあった」

アフィリエイトとは、成功報酬を基本とした広告のことで、インターネットの普及と共に新しいPR戦略として登場した。たとえば広告主が自社のバーナー広告をウエブサイトに張り付けてもらい、その結果、ここを窓口として新規顧客を獲得する。この場合、広告主はウエブサイトに対して成功報酬を支払う。

当然、新規の顧客が多ければおおいほど、成功報酬も高くなる。新規の顧客が少なければ、成功報酬も少なくなる。いわば完全な成果主義スタイルの広告と言えよう。

アスカコーポレーションが博報堂に対して起こした過払金返還請求訴訟(請求額は約15億円)の中でも、アフィリエイトをめぐる争点がある。新規の顧客獲得数を、博報堂が水増ししていたというのがアスカの主張である。

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2016年09月12日 (月曜日)

チリの軍事クーデターから43年、映像ジャーナリズムの最高傑作『チリ潜入記』

チリの軍事クーデターから、43年が過ぎた。

ラテンアメリカの諸紙によると、クーデターで亡くなった「サルバドール・アジェンデ元大統領と1973年の軍事クーデターを記憶するための儀式、オマージュ、それに祈念行事が9月11日に各地で行われた」(チリの国営新聞『LaNacion』)

1970年にチリは、大統領選挙で社会党のサルバドール・アジェンデが当選して、社会党、共産党、キリスト教民主党の連立政権(UP)が成立した。これは世界史上ではじめて、選挙によって成立した社会主義をめざす政権だった。

しかし、米国のニクソン政権は、チリに多国籍企業が進出していることなどから、アジェンデ政権に猛反発して、経済封鎖などさまざまな策略をめぐらせる。資本家の〈ストライキ〉まで起こり、チリ経済は混乱に陥った。

しかし、1973年の総選挙でUPが勝利して合法的にアジェンデ政権を倒せないことが明らかになると、米国CIAがピノチェット将軍と共謀して、軍事クーデターを断行。アジェンデ政権の支持者に銃弾が襲い掛かった。国立サッカースタジアムでは、連行されてきた多くの人々が命を落とした。歌手のビクトル・ハラも銃弾に倒れたひとりである。

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2016年09月10日 (土曜日)

郵政事件で浮彫になった博報堂の営業戦略、PR業務の1社独占と高額請求の手口、アスカの被害は氷山の一角か?

アスカコポーレーションと博報堂の係争を理解する上で欠くことが出来ないのは、俗にいう郵政事件の中身である。郵政民営化は、国策として推進された事情があるので、郵政事件に関する報道は、皆無ではないにしろ、極めて限定的で、その全容は報じられていない。

しかし、事件である以上は、完全に闇の中に消し去ることはできない。事実、事件に関する調査報告書の類は存在する。

改めていうまでもなく筆者が、郵政事件をクローズアップするのは、郵政を舞台に博報堂が繰り広げた策略と極めて類似した策略が、アスカに対しても適用されていたからだ。結論を先に言えば、企業方針を決める権限を持つ上層部と一般社員の間に、博報堂が介在して巧みに方針をねじまげ、PR業務を乗っ取ってしまう策略である。

が、この点に言及する前に、数少ないマスコミ報道の中から、郵政事件の異常さを物語る記事を紹介しよう。この記事は、はからずもPR業務の「乗っ取り」が招く恐るべき実態を描いている。2009年10月4日付けのAsahi.comの記事である。

■日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円

記事が述べているように、博報堂は日本郵政グループ(持株会社を含めて4社)との間で、PR業務を独占する契約を交わしたが、「同社との間で覚書や合意書などの契約書類」は交わしていなかった。しかし、契約額は2年間に368億円にもなっていたという。

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福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...

西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について―モ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・ 江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月20日 11月28日(木...

関東地区新聞労連役員会における意見発表について -モラル崩壊の...

福岡・佐賀押し紙弁護団・ 江 上 武 幸 (2024年「令和6年」12月19日) 去る11月29日(金...

動画で見る「押し紙」回収の現場

「押し紙」の回収現場を撮影した画像を紹介しよう。新聞社は、回収されている新聞は、「押し紙」ではないと主張して...

「押し紙」関連資料の閲覧制限、問われる弁護士の職業倫理、黒塗り...

「押し紙」裁判を取材するなかで、わたしは裁判書面に目を通す機会に接してきた。弁護士から直接書面を入手したり、...

「香害、すなわち化学物質過敏症」の誤り、1月に2つの判決、横浜...

別稿・事件の概要 来年2025年の1月に、横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が下される。詳細は次...

国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発...

インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が...

モラル崩壊の元凶 ―押し紙― 西日本新聞押し紙訴訟判決期日決...

2024年10月15 (文責)福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士江上武幸 第1 はじめに  西日本新聞...

訴状を公開、毎日新聞の「押し紙」裁判、約1億2000万円を請求...

福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月2...

「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、...

読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」とい...

モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ

福岡・佐賀押し紙弁護団  弁護士 江上武幸(文責) 2024年(令和6年)9月20日 兵庫県で毎日新聞販...

「香害」をめぐる診断と議論、メディアに氾濫する誇張された被害の...

柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調...

―モラル崩壊の元凶、「押し紙」― 西日本新聞・押し紙訴訟の報...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさ...

西日本新聞「押し紙」裁判、証人尋問で残紙部数を把握した機密資料...

長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡...

7月2日に尋問、西日本新聞の「押し紙」裁判、福岡地裁で、「4・...

西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...

PICK UP

国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサ...

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...

読売新聞押し紙訴訟 福岡高裁判決のご報告 ‐モラル崩壊の元凶「...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 2024(令和6年)5月1日 長崎県佐世保...

読売「押し紙」裁判、喜田村洋一(自由人権協会代表理事)らが勝訴...

読売新聞「押し紙」裁判の続報である。読売の代理人を務める自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士らが、大阪高裁...

しばき隊による大学院生暴行事件、加害者が取材していた作家を提訴

添付した写真は、2014年12月の深夜に、大阪北新地で40分に渡って殴る蹴るの暴行を受けた大学院生(当時)の...

読売新聞「押し紙」裁判、判決日を3月28日に急遽変更、不自然な...

大阪高裁は、3月7日に予定していた読売新聞(大阪)を被告とする「押し紙」裁判の判決日を、急遽延期した。新しく...

市民運動の外圧に屈した『週刊金曜日』、タブーなき編集方針はどこ...

次の記事は、『紙の爆弾』(2023年10月号)に掲載した記事のネットでの再掲載である。原題は、「週刊金曜日 ...

台湾の蔡英文総統と全米民主主義基金(NED)のずぶずぶの関係、...

米国の外交政策を考えるときに、欠くことができない視点がある。それは全米民主主義基金(NED = Nation...

化学物質過敏症の診断をめぐる新しい流れ、一定の割合で精神疾患

化学物質過敏症がクローズアップされるようになっている。化学物質過敏症は、文字どおり、ある種の化学物質を体内に...

横浜副流煙裁判を描いた映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立...

映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立映画賞(London Independent Film Award)...

市民運動に対するタブー 『週刊金曜日』と『人権と利権』の書籍広...

株式会社金曜日の植村隆社長が鹿砦社の『人権と利権』に「差別本」のレッテルを張った事件からひと月が過ぎた。7月...

多発する携帯電話の基地局設置をめぐるトラブル、楽天モバイル、人...

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが絶えない。この1年間で、わたしは40~50件の相談を受...

ジャニー喜多川のパワハラ、報道のタイミングが25年遅れた 

ジャニー喜多川の性癖が引き起こしたパワハラにようやくマスコミの光があたった。とはいえ報道のタイミングがあまり...

新刊の『新聞と公権力の暗部』-(「押し紙」問題とメディアコント...

新刊の『新聞と公権力の暗部』-(「押し紙」問題とメディアコントロール)《鹿砦社》の書店販売が開始された。 ...

「押し紙」驚愕の実態 新聞社不正収入35年で3兆円以上、統一教...

◆「押し紙」による不正収入は年間932億円規模 田所 実態として日本には5大紙を含め地方紙もたくさんあ...

【転載】「日本では、主要メディアと政府との距離が非常に近い」─...

情報には国境がなく、知ろうとする意思さえあれば、名も知れぬ国の天気や画像や中継動画までをも確認することができ...

ウィキリークスの創立者ジュリアン・アサンジをめぐる問題、言論弾...

ウィキリークスの創立者ジュリアン・アサンジをめぐる問題、言論弾圧という西側諸国の汚点 黒薮哲哉 ウィキ...

新聞業界から政界へ政治献金598万円、103人の政治家へ「お小...

昨年の11月に総務省が公開した2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598...

原告準備書面(2)(3)、藤井敦子陳述書の公開、日赤医療センタ...

横浜副流煙裁判の「反訴」で原告が裁判所へ提出した3件の書面を公開しよう。3件の書面は、事件の核心をずばり突い...

毎日新聞社長室へ公開質問状、「押し紙」問題についての見解、販売...

企業には広報部とか、広報室と呼ばれる部門がある。筆者のようなルポライターが、記事を公表するにあたって、取材対...