滋賀県の広報紙『滋賀プラスワン』、7万部を水増し、新聞発行部数・39万部に対して広報紙・46万部を提供、背景に「押し紙」

新聞に折り込まれて配布される地方自治体の広報紙が水増されているケースが次々と発覚している。

滋賀県が発行する広報紙『滋賀プラスワン』を筆者が調査したところ、滋賀県全域のABC部数(新聞の発行部数)が392,586部(4月の部数)しかないのに、滋賀県当局が464,000部の『滋賀プラスワン』(最新号)を提供していることが分かった。71,414部が水増しになっている。

配達中に折込媒体が破損する「事故」に備えて、通常、卸部数の2%程度は予備紙として認められているが、それに相当する部数は9280部しかない。この部数を差し引くとしても、大幅な水増し状態になっている。

続きを読む »

22万部、埼玉県の広報紙水増し問題、広告代理店を訪問、「折込詐欺」の2つの類型

新聞に折り込むかたちで配布されている埼玉県の広報紙『彩の国だより』が、約22万部水増しされている問題を取材するために、わたしは12月9日、午後、さいたま市にある広告代理店、埼玉県折込広告事業協同組合を訪ねた。JR高崎線の上尾駅で電車を降り、道路地図を頼りに広告代理店へ向かった。

このあたりは東京のベッドタウンで、大小の積み木を無秩序宇に散りばめたような民家の群れが延々と広がっている。もともと農業地帯だったらしく、入り組んだ旧道や農道をそのままアスファルトで舗装し、それに沿って住宅を並べたような印象がある。緑とコンクリートが点在する近代的な生活空間というよりも、衣食住だけを目的とした古びた簡易宿泊所の連なりを連想させる。

続きを読む »

大阪府の広報紙『府政だより』を毎日新聞社系の印刷会社が印刷、請負先の代理店は福岡市のホープオフセット共同企業体、新聞折込部数については情報公開請求中

大阪府の広報紙『府政だより』を毎日新聞社系の印刷会社である(株)高速オフセットが請け負っていることが分かった。高速オフセットは、1986年に「毎日新聞社とその関連会社の出資により設立された」。■出典

社長の橋本伸一氏は、毎日グループホールディングスの取締役でもある。■出典
地方自治体の広報紙の印刷が、新聞社系企業の収入源のひとつになっている実態が明らかになった。

続きを読む »

埼玉県の広報紙『彩の国だより』、22万部水増し、税金の無駄遣い?住民監査請求へ

税金で制作されている埼玉県の広報紙『彩の国だより』が、配布されることなく約22万部も捨てられている疑惑が浮上した。疑惑の裏付けは次の通りである。

12月1日、筆者は埼玉県庁に対して、『彩の国だより』に関する問い合わせを行った。その結果、次の事実が判明した。

続きを読む »

2020年12月07日 (月曜日)

『紙の爆弾』最新号、喫煙を理由とした高額請求の横行、「日本禁煙学会が関与した巨額訴訟の行方」

本日(7日)発売の『紙の爆弾』が、「日本禁煙学会が関与した巨額訴訟の行方」と題するルポを掲載している。筆者は、黒薮である。

既報してきたように、この事件は自宅の密閉した部屋で吸った1日に2,3本の煙草が、隣人(同じマンションの2階)の健康を害したかどうかが争われた。原告家族は、隣人の藤井将登さんの副流煙が原因で、「受動喫煙症」(化学物質過敏症の一種)に罹患したとして4500万円の「お金」を請求したが、横浜地裁裁は請求を棄却した。東京高裁も、一審被告の控訴を棄却した。

ちなみに原告のひとりに約25年の喫煙歴があったことが、審理の中で判明した。

続きを読む »

【全文公開】「ストップ詐欺被害」、新聞(「押し紙」)と一緒に廃棄される地方自治体の公共広告、税金の無駄遣い

住民が負担する税金で制作された地方自治体の広報紙(新聞折込で配布)が水増しされているケースが次々と発覚している。先週の「メディア黒書」では、千葉県流山市と船橋市のケースを取り上げた。【全文を公開】

続きを読む »

前最高裁事務総局長の今崎幸彦氏と元読売新聞論説委員の桝井成夫氏、新聞人と裁判官の関係はどうあるべきなのか?

10年ほど前から注視しているテーマのひとつに、新聞社と裁判所の関係がある。両者は、特別な関係にあるのか、それとも独立した関係にあるのかというテーマである。かりに事件や人を裁くただならぬ特権を付与された裁判官が、特定の組織や個人と特別な関係を持った場合、人脈が幅を利かせている日本社会では、裁判の公平性が保てなくなる可能性が高い。それゆえにわたしは、これを重大なテーマと考えたのである。

2009年2月、読売新聞がわたしを名誉毀損で提訴した。メディア黒書の記事で社会的な評価を低下させられたという理由で2200万円の「金銭」を請求してきたのだ。読売の代理人として登場したのは、喜田村洋一・自由人権協会理事だった。

◆◆
この裁判で筆者と弁護団は、第1審のさいたま地裁、第2審の東京高裁で勝訴した。いずれの裁判所も読売の請求を棄却したのである。しかし、読売は最高裁に上告(厳密には、判例を根拠とした上告受理申立て)した。【続きはウエブマガジン】

続きを読む »

千葉県船橋市でも広報紙の水増し疑惑、広報紙の販売店向け卸部数がABC部数を1万3600部上回る、最大で約3万5000部の水増し

地方自治体の広報紙を広告代理店が水増ししている問題が次々と浮上している。千葉県の流山市でこの問題が発覚したのを機に、筆者は、同県の船橋市を調査した。過去に同市の販売店主から告発を受けたことがあるからだ。

調査の結果、これら2つの自治体でも、広報紙が水増しされている疑惑が判明した。改めて言うまでもなく、水増しの原因は残紙(広義の「押し紙」)である。新聞社のビジネスモデルそのものにある。

参考記事「販売店が読売新聞社を提訴、独禁法の特殊指定について」 : 企業法務ナビ (corporate-legal.jp)

続きを読む »

2020年12月03日 (木曜日)

「電磁波からいのちを守る全国ネット」が楽天モバイルに公開質問状を送付、「マイクロ波に遺伝子毒性がないと考える理由は?」

「電磁波からいのちを守る全国ネット」の運営委員会は、2日、楽天モバイルに対して公開質問状を送付した。

筆者も運営委員を務めている「全国ネット」は、5Gの普及に反対する住民運動や個人を支援している。だれもが直面しかねな重大問題であるからだ。

実際、このところ通信基地局の設置をめぐるトラブルが急増している。「全国ネット」に対して、ほとんど毎日のように、全国から相談が寄せられている。

今回、楽天モバイルに対して公開質問状を送付した理由は、特に楽天に対する苦情が多いからだ。苦情の8割を占める。次がKDDI。

質問内容は次の通りである。(青文字は、筆者による解説) (PDFはここから)

続きを読む »

千葉県流山市で広報紙の大幅な水増し、約3万7000の新聞発行部数に対して約5万5000部を供給

千葉県流山市が発行する『広報ながれやま』が大幅に水増しされていることが分かった。同市の市議からの情報提供に基づいて、筆者が調査したところ、新聞の発行部数が全市で36、836部(2020年4月時点)しかないのに、新聞販売店には55,238部の『広報ながれやま』が搬入されていることが分かった。約2万部が水増し状態になっている。

かりに販売店に残紙があれば、水増し部数はさらに増える。「押し紙」が1部たりとも存在しなくても、大幅な水増し状態になっている。ただ、同市によると販売店がポスティングしている部数が約2000部ある。それを差し置いても、大幅な水増しになっている。

続きを読む »

2020年12月01日 (火曜日)

【臨時ニュース】東京地裁が元店主の請求を棄却、産経新聞「押し紙」裁判

【臨時ニュース】産経新聞「押し紙」で東京地裁は、12月1日、原告の請求を棄却する判決を下した。詳細については、後日報告する。

筆者個人の感想を言えば大きな敗因のひとつは、訴訟をジャーナリズムの土俵に乗せ切れなかったことである。メディア企業を被告とする権力構造の崩壊につながりかねない裁判では、報道により世論を動かさなくては勝ち目がないことがはっきりした。今回、それを痛感した。

原告の主張に一貫した論理と正義があるかどうか以前の問題として、筆者が楽観視していたために報道が消極的になった。今後、「押し紙」報道を強化していきたい。

続きを読む »

2020年11月30日 (月曜日)

明日、12月1日に産経新聞「押し紙」裁判の判決、2つの注目点

 

東京地裁は、明日(12月1日)に、産経新聞を被告とする「押し紙」裁判の判決を言い渡す。判決の日時、場所は次の通りである。

日時:12月1日 13:10分

場所:東京地裁806号法廷

メディア黒書は、判決結果を夕方に速報する。

続きを読む »

PICK UP

【YouTube版】レイバーネットTVが「押し紙」問題を特集

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...

元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文し...

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1...

【YouTube配信6】徹底検証 産経、読売の「押し紙」、新聞...

「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を...

1999年の新聞特殊指定の改訂、大量の「押し紙」を容認する方向...

「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、...

煙草の副流煙をめぐる極論、法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだと...

煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考...

トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資...

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されて...

甲斐弦著『GHQ検閲官』の読後感-モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日 阿蘇の北外輪山に、カルデラの...

2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎...

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった...

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日 (年号は、西暦と和暦...

検察審査会が「不起訴処分相当」の結論、作田学医師の法廷での発言...

横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴に...

統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し...

東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連...

【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性...

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景...

中国レポート②:遼寧省広佑寺、宗教が禁止されているというのは事...

日本で定着している中国に関する情報には、誤ったものがかなり含まれている。たとえば宗教が禁止されているという情...

雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化

『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定...

ニューソク通信がインタビュー(youTube)、作田学医師が主...

横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...

喫煙撲滅運動と専門医師の関係、客観的な事実が欠落した診断書、横...

診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場すると...

中国レポート:好調な経済、破綻はあり得ない、現実の世界と西側メ...

階段を這うように登る4つ足のロボット。荒漠たる大地を矢のように進む時速450キロの新幹線。AI産業に彗星のよ...

患者が退出して3分後に煙草臭、偽証の疑い、作田学医師の証言、横...

喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...

PICK UP

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不...

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙...

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...

西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について―モ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・ 江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月20日 11月28日(木...

関東地区新聞労連役員会における意見発表について -モラル崩壊の...

福岡・佐賀押し紙弁護団・ 江 上 武 幸 (2024年「令和6年」12月19日) 去る11月29日(金...

動画で見る「押し紙」回収の現場

「押し紙」の回収現場を撮影した画像を紹介しよう。新聞社は、回収されている新聞は、「押し紙」ではないと主張して...

「押し紙」関連資料の閲覧制限、問われる弁護士の職業倫理、黒塗り...

「押し紙」裁判を取材するなかで、わたしは裁判書面に目を通す機会に接してきた。弁護士から直接書面を入手したり、...

「香害、すなわち化学物質過敏症」の誤り、1月に2つの判決、横浜...

別稿・事件の概要 来年2025年の1月に、横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が下される。詳細は次...

国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発...

インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が...

モラル崩壊の元凶 ―押し紙― 西日本新聞押し紙訴訟判決期日決...

2024年10月15 (文責)福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士江上武幸 第1 はじめに  西日本新聞...

訴状を公開、毎日新聞の「押し紙」裁判、約1億2000万円を請求...

福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月2...

「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、...

読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」とい...

モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ

福岡・佐賀押し紙弁護団  弁護士 江上武幸(文責) 2024年(令和6年)9月20日 兵庫県で毎日新聞販...

「香害」をめぐる診断と議論、メディアに氾濫する誇張された被害の...

柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調...

―モラル崩壊の元凶、「押し紙」― 西日本新聞・押し紙訴訟の報...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさ...

西日本新聞「押し紙」裁判、証人尋問で残紙部数を把握した機密資料...

長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡...

7月2日に尋問、西日本新聞の「押し紙」裁判、福岡地裁で、「4・...

西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...

国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサ...

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...