1. 司法制度

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2018年11月29日 (木曜日)

煙草以外にもある化学物質過敏症のメインな原因、 「煙草の副流煙で病気に、裁判で4500万円」②

隣人の副流煙で化学物質過敏症を発症したので4500万円を支払え。

この裁判には不可解な部分が多い。昨日の記事で述べたように隣人の副流煙で1家3人が化学物質過敏症になったとして裁判を起こした原告が、実は、提訴の2年半前まで煙草を吸っていて重病になった事実が10月の下旬に判明したのだ。訴えられた藤井家は、怒り心頭に達しているのではないか。

被告の藤井氏には弁護士費用が発生している上に、裁判のために自分の仕事のスケジュールを調整しなければならない。それだけでも大きな負担になるうえに、敗訴した場合に発生する金銭負担を考えると気がきではないだろう。

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2018年11月28日 (水曜日)

煙草の副流煙で病気に、裁判で4500万円を請求も実は原告本人が元喫煙者だった

自宅の自室で煙草を吸う権利を剥奪する権限が司法にあるのか?それを問う裁判が、横浜地裁で進行している。

この裁判は先月、マイニュースジャパンで取りあげた。その後の経緯を報告する前に、事件の概要を紹介しておこう。

マンションの2階に住む一家3人が、化学物質過敏症になった。その原因が同じマンションの斜め下に住む被告家族・藤井家の煙草の煙にあるとして、4500万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

筆者は、裁判の全書面を読んだが、客観的に見て原告3人が化学物質過敏症である可能性が極めて高い。そのことには異論はない。しかし、その主要な原因が煙草の副流煙にあるとする原告の考えには疑問を感じた。もちろん煙草の煙も原因のひとつである。しかし、化学物質過敏症の原因は、イソシアネートをはじめ多種多様にわたる。マイニュースジャパンの記事では、原告が発症の原因を煙草だけに限定して、4500万円の損害賠償を求めたことに疑問を呈した。化学物質過敏症とは何かを理解していないのではないかと思ったのである。

また、刑事ら4人の警察関係者が藤井家を訪問して、2度にわたり事情聴取した事実も紹介した。これも通常はありえない。当然、解明が必要だ。

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2018年11月17日 (土曜日)

シンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺?」、三権分立崩壊の実態

裁判所の判決をめぐり司法の公正性や中立性を疑問視する声が広がっている。裁判所は、信用するに値するのか。

次に紹介するのは、2016年2月に「最高裁をただす会」が開いた「裁判所は本当に駆け込み寺?」と題するシンポジウムの動画である。報告者は、弁護士の生田暉雄氏、筆者(黒薮)、元朝日新聞記者でフリージャーナリストの吉竹幸則氏、それに市民運動家の志岐武彦氏の4人。

テーマは次の通りである。

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2018年11月13日 (火曜日)

「え?、どうして私が取り調べを?!」、捜査対象者がその法的根拠と捜査の進捗を知ることができない理不尽さ

まえぶれもなく警察から電話がかかってきて、任意出頭を求められる。ある日、突然、刑事が玄関の戸をノックして、黒い警察手帳を示し、家人に尋問をはじめる。その時になってはじめて自分が捜査対象になっていたことを知る。それまでは、自分が法的にどういう立場におかれていたのかを知ることはできない。あるいは取り調べ後も、法的な根拠が謎のまま放置される。

自分を誹謗中傷して牢獄へ閉じこめようとたくらんだ人物が誰なのかすら知ることができない場合もある。告訴人が、告訴の事実を記者会見などで明らかにした場合は少なくとも告訴人の像は明確になるが、この場合も被疑者は毎日、警察からの呼び出しに怯えながら暮らすことになる。従って刑事告訴は、告訴人の責任を伴う。完璧な根拠を公にする自信がなければ、やってはいけないことなのだ。

この1年の間に警察がらみの事件を2件取材した。1件は、元衆議院議員の三宅雪子氏が、5人の元支援者を告訴して、Twitterで「告知」した事件である。が、その後の経緯は、今年の7月の段階で「捜査中」という以外に、まったく分からない。5人は精神的な拷問に等しい苦痛を味わっている。聞くところによると、被疑者にされた人の中には体調をくづしたひともいるらしい。

過剰な個人情報の保護が5人を苦しめているのだ。

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2018年11月08日 (木曜日)

三宅雪子氏による刑事告訴から1年半、捜査機関の動きが見えない、ついに「告訴は虚偽では」との声も

2017年5月10日は、元衆議院議員の三宅雪子氏が、みずからが起こしたある刑事告訴をツイッターで「告知」した日である。それから1年半。その後の経過は報告されていない。筆者が7月に三宅氏を取材したさいには、捜査中とのことだった。

ちなみに三宅氏による告知は、次のようなものだった。

「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」

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2018年11月06日 (火曜日)

量産型懲戒請求を受けた小倉秀夫弁護士が第3者に対して起こした裁判、1人につき10万円、推定総額9600万円の請求額は妥当なのか

弁護士懲戒請求について考察させられるある訴訟が東京地裁で進行している。この裁判の原告は小倉秀夫弁護士。被告は東京都内に在住するAさんである。発端は別の次の事件である。

900人超を大量懲戒請求で提訴へ 請求された2弁護士
全国の弁護士会に大量の懲戒請求が出された問題で、東京弁護士会の弁護士2人が「不当な請求で業務を妨害された」として、900人超の請求者に各66万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こすことを決めた。請求者1人ごとに訴えるため、900件超の訴訟となる。まずは2日、6人を相手に提訴する予定だ。

  訴訟を起こすのは北周士、佐々木亮の両弁護士。昨年以降、計4千件の懲戒請求を受けた両弁護士は今年4月、約960人の請求者を相手に訴訟を起こす考えをツイッターで表明。■出典 

繰り返しになるが裁判の発端はこの事件である。この事件になぜ小倉弁護士が関係して、訴訟まで起こすことになったのだろうか。事件の経緯を追ってみよう。

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2018年09月14日 (金曜日)

三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理

(本稿は、『紙の爆弾』(9月号)に掲載したルポ、「三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理」をウエブサイト用に修正したものである。登場人物は、三宅氏を除いて仮名。敬称略とした。)

 

「心理作戦」という戦法がある。相手に精神的なゆさぶりをかけて、自分に有利な状況を作る戦術のことである。たとえば仮病で同情を惹く。暴力団員を装って交渉を優位に進める。その中でも最近、とりわけ増えているのが、裁判提起など法的措置をほのめかして、相手を恫喝する手口である。それは著名人についても例外ではない。

2017年5月10日、1件の「告知」がインターネット上のツイッターに投稿された。

「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」

これを投稿したのは、元衆院議員の三宅雪子である。刑事告訴が事実であるにしろ、単なる「心理作戦」であるにしろ、告知に自分のアカウントがあった5人は動揺した。

三宅のツイッターのフォロワーは、約5万8000人。ツィートの拡散が繰り返されると少なくとも15万人ぐらいの人の目に「告知」が知れるだろう。

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2018年09月01日 (土曜日)

米国の独立テレビ局「Democracy Now!」 が伝えた歴史的判決の瞬間、日本の検察官と裁判官に必見

三権分立の崩壊が加速して、司法の場に「政治判断」が幅をきかすようになってしまった日本。その一方で、世界に視線を向けると、急速に民主主義を成熟させているかつての発展途上国がある。

中米グアテマラ--。1960年代の初頭から96年まで、軍事政権に対峙するゲリラ活動があった国で、とりわけ70年代の後半から80年代にかけては、グアテマラ民族革命連合(URNG)と政府軍の対決のもとで、暴力の嵐が吹き抜けた。

81年と82年の2年間だけでも、グアテマラの最高学府・サンカルロス大学の教授97人が殺害されている。宗教関係者の殺害は207件。殺されたジャーナリストは47人である。政府軍と警察による犯罪である。

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2018年08月23日 (木曜日)

弁護士に対する大量懲戒請求事件を考える、1億円に近い「和解金」が入る構図に

このところ、「弁護士から裁判提起をほのめかされたことがある」という情報提供が相次いで寄せられている。個々の件について調査中なので、いまの段階では、弁護士名の公表はひかえるが、武道の有段者が素人を恫喝しているような印象がある。

柔道や空手の流派によっては、路上での武術の使用は禁止されているが、法律の専門家には規制がない。

この種の事件でいま問題になっているのは、弁護士が大量の懲戒請求を受けた件である。組織的に行われた「攻撃」である。一説によると懲戒請求の件数は、1人の弁護士につき900件を超えているという。懲戒理由は同じらしい。

これに対して、弁護士側は懲戒請求者全員に対して、損害賠償裁判を起こすことを宣言した。その方針を記者会見を開いて発表した弁護士もいる。ただし、実際に提訴に及ぶ前に和解に応じる旨も明らかにした。

その和解条件のひとつに、不当懲戒を認めて10万円を支払うというものがある。

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2018年07月19日 (木曜日)

恫喝裁判の対策、係争を容赦なくジャーナリズムの土俵に乗せること

「訴えてやる」という言葉を頻繁に聞くようになったのは、ここ数年である。日常会話の中にも、ツイッターの舞台でも、「訴えてやる」とか、「法的措置を取る」といった恫喝めいた言葉が飛び交っている。

そもそもこうした現象が生まれた背景に何があるのだろうか。筆者は小泉純一郎氏が、首相時代にみずから本部長に就任して着手した司法制度改革が原因だと考えている。

2001年6月に発表された司法制度改革審議会意見書には、名誉毀損賠償額の高額化の必要性を述べた記述がある。郵便事業と同様に、裁判をも市場原理にのせようという意図があったのではないか。

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2018年07月09日 (月曜日)

死刑制度のない国、激増傾向に、1970年は13カ国、2017年には106カ国

7月6日の午前、松本智津夫死刑囚ら7人のオウム関係者に対する死刑が執行された。これを機に、死刑の是非をめぐる議論が盛り上がっているようだ。1日の7件もの死刑を執行し、しかも、その日、西日本の大水害とも重なったにもかかわらず、安倍首相ら自民党の関係者が宴会を開いたことも、批判に拍車をかけた要因のようだ。

死刑についての是非は、国際的には、否定的な傾向が強まっている。アムネスティ・インターナショナルのデータによると、1970年の段階では、死刑制度を持たない国は、たったの13カ国だったが、2017年には106カ国に急増している。

アジアでは、韓国は既に死刑制度を廃止している。これに対して、中国は死刑制度を維持している。中米ニカラグアでは、1979年の革命までは死刑制度があったが、革命後、廃止され、内戦時の戦争犯罪を裁く裁判では、最高刑が懲役30年という前提で行われた。グアテマラも廃止しており、2013年には、元独裁者リオス・モントに対して禁固80年の判決が下っている。

世界的には、民主化と連動して、死刑制度も廃止の方向へ向かっているのだ。

死刑を廃止した国数は次のように変遷してきた。

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2018年05月21日 (月曜日)

集団による弁護士懲戒請求事件、「反訴」した弁護士側の請求方法に問題、被告を増やすことで賠償金の高額化を狙ったスラップまがい

大量の懲戒請求書が特定の弁護士に送付された事件が話題になっている。次のような内容である。

  とあるブログを発端として、各弁護士会に対し、大量の懲戒請求が届いた問題で提訴の動きが進んでいる。神原元弁護士は5月9日、請求者らに損害賠償を求めて東京地裁に提訴。佐々木亮弁護士と北周士弁護士も5月16日に記者会見し、6月下旬から訴訟を起こすことを明かした。

しかし、この問題で負担が生じているのは、請求を受けた弁護士だけでない。彼らが所属する弁護士会にも郵送費用などが発生している。■出典

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