1. 公正取引委員会に対して異議申立て、「押し紙」関連の公文書の大半を不開示に

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2025年09月17日 (水曜日)

公正取引委員会に対して異議申立て、「押し紙」関連の公文書の大半を不開示に

今年4月21日、筆者は公正取引委員会に対し、「押し紙」問題に関する公文書の公開を求めて情報公開請求を行った。しかし、該当文書の大半が不開示とされた。

そこで筆者は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、公正取引委員会の茶谷栄治委員長(冒頭写真)に対して異議を申し立てた。

以下に、異議申立書の全文を掲載する。申し立てに至る経緯については、次の記事で詳しく紹介している。

■公取委が「押し紙」に関する公文書を黒塗り、情報公開請求で新聞協会との談合疑惑が浮上、迷宮の中、新聞特殊指定を骨抜きにした理由

異議申立書

茶谷栄治・公正取引委員長殿

                   埼玉県●●市●●町、号
                          黒薮哲哉

行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定に基づき、公正取引委員会が令和7年6月27日付けで筆者に通知した「行政文書開示決定通知書」の内容に異議を申し立てる。わたしは、平成7年4月21日付けで、公正取引委員会の原一弘・経済取引局取引部長に対して、情報公開請求を行ったが、意図的な情報隠蔽が行われた。請求内容は次の通りである。

「『1998年(平成10年)1月に公正取引委員会が下した(株)北國新聞社に対する「押し紙」の排除勧告の後、1999年(平成11年)8月に公正取引委員会が新聞特殊指定を改訂して、従来の「注文部数」を「注文した部数」に変更(「新聞業における特定の不公正な取引方法」の箇所)するまでの期間に、公取委と新聞公正取引協議会(黒薮注:日本新聞協会)の間で行われた話し合いの全記録。』」

請求の趣旨を端的にいえば、おおむね「1998年(平成10年)1月」から「1999年(平成11年)8月」の期間に、「公取委と新聞公正取引協議会の間で行われた話し合いの全記録」の情報開示である。しかし実際に公正取引委員会が開示した文書は、平成10年3月3日付けの「新聞業の景品規定の見直しについて」と、それに付随するメモ書きの1件にとどまった。

ところが、「1998年(平成10年)1月」から「1999年(平成11年)8月」の期間に「公取委と新聞公正取引協議会の間で行われた話し合い」は、複数回に及んでいることが業界紙各紙で明らかになっている。1998年10月以降に限っていえば、日本新聞協会が発行する『新聞経営』(1999年3月号)にも、両者が話し合いを行った日程が記録されており、この期間だけでも12回行われている。

【該当日程】
•1998年:10月8日、12月1日
•1999年:2月9日、3月5日、3月18日、4月21日、4月28日、5月12日、5月13日、5月17日、5月27日、8月9日

当時、日本新聞協会の「新聞再販と特殊指定に関するプロジェクトチーム」の座長であり、読売新聞社の渡邊恒雄社長の腹心であった滝鼻卓雄氏も、『新聞経営』(日本新聞協会発行、1999年3月号)の中で、両者が複数回にわたり「話し合い」を繰り返した経緯を報告している。

したがって、本件情報公開請求の窓口となった公正取引委員会の原一弘・経済取引局取引部長は、請求内容の主旨に従って全記録を開示すべきである。改めて、法律に基づき職務を誠実に履行するよう求める。

添付資料:『新聞経営』(日本新聞協会)の12ページから25ページ