李信恵氏が鹿砦社を反訴、『カウンターと暴力の原理』など4冊の書籍の販売禁止などを求める、誰が言論出版の自由を殺すのか?
李信恵氏(文筆業)が、16日付けで、鹿砦社に対し、同事件を記録した『カウンターと暴力の原理』など4冊の書籍の販売禁止や550万円の損害賠償などを求める裁判を大阪地裁に提起した。
発端は、2017年9月に、鹿砦社が李氏に対して、ツイッターなどで名誉を毀損されたとして、300万円と謝罪広告などを求める裁判である。今回の李氏による提訴は、それに対する反訴である。代理人は上瀧浩子弁護士と、自由法曹団常任幹事で元「しばき隊」の隊員の神原元弁護士である。
神原元弁護士には、『ヘイトスピーチに抗する人々』(新日本出版社)というタイトルの著書があり、在日韓国人に対する反差別運動にもかかわっている。また、植村隆氏が櫻井よしこ氏を訴えた裁判では事務局長を務めている。
2018年04月27日 (金曜日)
新潟地検が森裕子議員に対する刑事告発を受理、政治資金収支報告書の虚偽記載など
新潟地検は、20日、市民運動家の志岐武彦氏が提起した森裕子議員(自由党)に対する刑事告発を受理した。これにより志岐氏が、問題視している森議員の政治資金集めの手口について検察の再調査が始まる。
告発の容疑は、政治資金収支報告書の虚偽記載(政治資金規正法違反)と詐欺である。
事件の詳細については、2月22日付けのメディア黒書の次の記事に詳しい。
花田紀凱編集長名で飛鳥新社が朝日新聞販売店に朝日批判の書籍を大量に戸別送付、裁判上の戦略か?
『月刊HANADA』(飛鳥新社)の花田紀凱編集長の名前で、小川榮太郎氏の著書、『徹底検証「森友加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(同社)が、東京都や神奈川県下の朝日新聞販売店(ASA)に戸別送付されていることが分かった。複数の新聞販売店からの情報提供で分かった。
朝日新聞は、この本で名誉を毀損されたとして小川氏に対して、5000万円の損害賠償などを請求して裁判を起こしている。著書に同封された花田編集長の手紙によると、「提訴中の書籍広告は掲載しないという新聞各社の内規により広告を打てなくなり、多大な損害を被って」いるという。
書籍の送付は、裁判戦略の一環と思われる。
写真が露呈した民族差別反対「市民運動」のでたらめぶり、立憲民主・有田芳生の写真も確認、国際感覚の欠落か?
「レイシストしばき隊」という言葉で写真をインターネット検索してみると、好奇心を刺激する写真が次々と現れる。もちろんインターネット検索で表示された写真の中には、検索のキーワードとは、直接関係のないものも含まれるので、表示された全写真が「レイシストしばき隊」を撮影したものとは限らないが、少なくとも広義のカウンターグループを撮影したものだと推測できるものが複数含まれている。
筆者は、写真を見ながら、ある種の怒りに駆られた。このようなカウンター運動が国際的にどのような評価を受けるのか、心配にもなる。
一枚の写真を紹介しよう。このページの左上、あるいは次ページの冒頭の写真である
検察が在特会元幹部を名誉毀損で在宅起訴、人間の内心を法律で規制する危険性、ヘイトスピーチを逆手に取った言論規制の強化
共同通信が、4月23日付けで、「ヘイトに名誉毀損罪初適用」「在特会元幹部を在宅起訴」と題する記事を掲載している。短い記事なので、まず、全文を掲載しよう。
拡声器を使って朝鮮学校の社会的な評価をおとしめる発言をしたとして、京都地検が名誉毀損罪で、在日特権を許さない市民の会(在特会)の西村斉元幹部(49)=京都市右京区=を在宅起訴していたことが23日、分かった。20日付。
学校側の弁護団によると、ヘイトスピーチ(憎悪表現)を巡る刑事事件で名誉毀損罪が適用されるのは初。
京都朝鮮学園が昨年6月、西村被告の発言はヘイトスピーチにあたるとして京都府警に告訴、その後地検が任意で捜査していた。■出典
起訴の理由は、名誉毀損である。しかも、民事ではなく刑事事件である。
安倍内閣の支持率低下も、低迷を続ける野党各党の政党支持率、背景に根本的な方針の誤りか?
メディアの世論調査が安倍内閣不支持の傾向を顕著に示している。
毎日新聞が21日と22日に実施した世論調査によると、内閣支持率は30%。不支持率は49%だった。
また、朝日新聞が14日と15日に行った世論調査では、内閣支持率が31%で、不支持率は52%だった。
他のメディアによる世論調査も同じような傾向を示している。
もっとも、筆者は日本のメディア企業が実施する世論調査は、恣意的にデータが改ざんされている可能性が多分にあると考え、全面的に数字を信頼していないが。およそ公式のデータというからには、その裏付けを示す必要があるが、発表されるのは、数字だけなので、説得性に欠けるのだ。それに昨今の政治家や公務員、それにメディアの腐敗ぶりを目にしていると、彼らにとって数字の操作ぐらい当たり前の事なのかも知れないと思ってしまう。
が、それはともかくとして、データが大まかな傾向を反映しているという前提で、以下、ある興味深いポイントを指摘したい。結論を先に言えば、いくら内閣の支持率が落ちても、現在の野党の支持率がほとんど上下しない状態が、少なくとも今世紀に入ってから、延々と続いていることである。民主党が政権を取った時代は例外だが、民主党への期待が幻想であることが明確になった後、「分裂民主党」も低い支持率を延々と続けてきた。
たとえば、次に示すのは、共産党の支持率の変遷である。出典はNHKである。
「しばき現場」の録音からテレ朝「セクハラ現場」録音まで、 録音記録に基づかない主張、被害者が逆に冤罪捏造者にでっちあげられる危険性
財務省の福田事務次官が、辞任後もセクハラを否定し続けている。この事件の有力な根拠になっているのは、セクハラ現場の録音記録である。録音がなければ、記事にはならなかったはずだ。福田氏が名誉毀損の裁判を起こした場合、セクハラがあったことを立証しなければならないのは、被告(おそらくは新潮社とテレ朝の記者)の側になるからだ。
この事件に象徴的に見られるように、最近、明らかな事実を公然と否定する人々が増えている。その典型は、改めていうまでもなく、ナチによるガス室はなかったとか、南京大虐殺はなかったなどという暴言である。
広義のしばき隊事件(M君リンチ事件)でも、事実を捏造する動きがある。
疑惑だらけの政府広報費、安倍政権下で倍増、山本太郎議員が政府広報費に関する質問主意書を提出していたことが判明
参議院の山本太郎議員が、政府広報費に関する質問主意書を提出していたことが分かった。質問主意書の日付は、2016年5月30日。
内容は、第2次安倍内閣が発足したのち、民主党政権の時代に比べて政府広報費がほぼ倍増している事実を前提に、その理由や明細、さらに電通による広報費の寡占実態などを明らかにするように求めている。質問主意書の全文は次の通りである。
福田事務次官のセクハラ問題で麻生財務相が内部告発の勧め、腐敗にメスを入れる恰好のタイミングも、野党議員が反発
財務省の福田淳一事務次官のセクハラ問題に関する麻生財務相の発言が物議をかもしている。次の引用はFNNの記事である。
財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑の調査について、麻生財務相は、相手の女性記者が申し出てこない限り、セクハラの認定は難しいとの認識を示すとともに、「女性の弁護士も入れて、女性が名乗り出やすい状況にしてある」と述べ、調査の進め方に問題はないとの考えを強調している。■出典
麻生財務相は、週刊新潮が報じた被害者の記者(匿名)だけではなく、他の女性記者に対しても、内部告発を奨励している。セクハラの実態を調査する意向を示している。
これに対して野党は、麻生氏は内部告発が極めて困難であることを認識した上で、内部告発を奨励していると批判している。
麻生氏と野党議員との攻防は、多くの問題を含んでいる。手短にまとめてみた。
小泉親子のむなしい安倍批判と政治力学の原理、だれが日本の政治を舞台裏で牛耳っているのか?
加計事件や森友事件、それに自衛隊の日報問題など、深刻な事件の内側が次々と発覚するのを受けて、自民党関係者からも安倍内閣に対する批判の声があがり始めている。たとえば、小泉純一郎氏はAERAで次のように発言している。
「本件は首相案件」。嘘が次々と暴かれ、森友、加計疑惑が底なし沼になってきた。それでも居丈高に開き直る安倍晋三首相に「引き際だ」とついに引導が渡された。「本当ならとっくに辞めてなきゃいけないはず。なのに、バレている嘘をぬけぬけと今も言ってるなぁとあきれているんだよ、国民は――」。安倍氏の「政治の師匠」でもある小泉純一郎元首相の言葉だ。その思いの丈を週刊朝日に独白した。■出典
また、小泉進次郎氏も次のように発言している。日経新聞から引用しよう。
与党内で学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する柳瀬唯夫経済産業審議官の説明に対する批判の声が広がっている。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は11日、都内で講演し「(柳瀬氏が)『記憶の限りでは』という注釈を付けないといけないのであれば『会っていない』と言い切ることはできるはずがない。理解できない」と厳しく批判した。■出典
これらは歓迎すべき発言であると同時に、心配な部分もある。安倍首相が辞任して、次に登場することになる政治家を有権者がどう評価するのかという問題を考える時、有権者を「誤審」に導く危険性を孕んでいるからだ。
たとえば小泉進次郎氏が次期の首相候補になるとする。当然、マスコミは彼の斬新さをアピールするだろう。が、この人が首相になっても、結局は自民党政治を継承する可能性が極めて高い。その必然性はまず伝えない。
政策の方向性は、政治家個人の思想で決定されるわけではない。その時代を牛耳っている勢力が希望する路線を進むものなのである。それが政治の力学だ。従って現在の安倍政治も、究極のところでは財界の要望に応えているだけといえるだろう。逆説的に言えば、安倍氏が財界の要望に応えてくれる鈍感な人物であるから、首相に君臨できていのである。
このあたりの力学を理解していない人が多い。
内閣府・中央省庁と博報堂の取り引きで大量に存在するインボイスナンバーのない請求書、内閣府だけで4年で64億円、会計監査とシステム監査を受けていない可能性
NNNが4月13日~15日にかけて実施した世論調査によると、内閣支持率が26.7%にまで落ち込んだ。この数字に表れているように、安倍首相の評判は地に落ちた。その背景には、森友事件・加刑事件をめぐる対応や防衛省の日報隠蔽問題があることは疑いない。永田町と霞ヶ関に批判の目が向けられている。
しかし、メディアで報じられている腐敗ぶりは氷山の一角に過ぎない。報じられていないた部分が山積されている。
たとえば、内閣府・省庁と一部の企業の間の取引で、実に奇妙な請求書が当たり前に使われてきたことを読者はご存じだろうか。奇妙な請求書とは、具体的にはインボイスナンバーを外した「手作り」の請求書である。昭和時代の八百屋のような請求書が、当たり前に使われているのだ。
私がこの事実に気づいたのは、2016年だった。博報堂が内閣府に発行した政府広報の請求書の中に、この種のものを多量に発見した。以来、取材をしてきたが、当初は経理に関する知識がなかったので、請求書からインボイスナンバーを故意に外す理由が分からなかった。分からないまま、請求額が異常に高いなどの理由で、国税局や金融庁、証券等取引監視委員会などに、調査を求めた。
しかし、調査は行われなかった。職員は、調査する意欲がないようだった。が、いま考えてみると、高校生でも分かる実に単純明快な疑惑なのだ。
2018年04月13日 (金曜日)
「押し紙」と軽減税率適用とメディアコントロールの関係、「押し紙」世界一ではジャーナリズムが成り立たない理由
新聞研究者の故新井直之氏は、『新聞戦後史』の中で、戦前から戦中にかけて言論統制のアキレス腱になっていたのが、公権力による新聞社経営への介入であったことに言及している。具体的には、新聞を制作するために欠くことのできない用紙の統制である。その権限を内閣が掌握したことで、言論統制が可能になったのだという。的確な指摘である。
『新聞戦後史』では、このようなメディアコントロールの原理を内閣が認識していたことを裏付ける資料が引用されている。「新聞指導方針について」(1940年2月12日)と題する内閣情報部の文書である。この文書の中で、用紙の統制がもたらす言論統制の効力について次のように述べている。
換言すれば、政府が之によって新聞に相当の「睨(黒薮注:にらみ)」を利かすこととすれば、新聞指導上の効果は相当の実績を期待し得ることと信ずる。
戦後も同じ原理に基づきメディアコントロールが行われてきた。ただし、そのキーとなったのは、用紙の統制ではない。新聞社による「押し紙」政策の黙認である。黙認することで、新聞社に莫大な利益をもたらすビジネスモデルを持続させ、この「暗部」に公権力のメスを入れさえすれば、いとも簡単に新聞社が崩壊するか、大幅なリストラを迫られる装置を準備したのだ。
悪知恵の結集にほかならない。
中央紙のABC部数、10年間で577万部減、東京新聞社10社が消えたに相当、朝日の一連のスクープと「押し紙」問題の関係
2008年2月から2018年2月までの期間における中央紙のABC部数の変遷を紹介しよう。この10年間で、朝日は約200万部、毎日は約100万部、読売は約150万部、日経は約60万部、産経は67万部を減らしたことになる。中央紙全体でおおむね577万部が消えた計算になる。
この577万部という数字がいかに大きなものであるか、読者は想像できるだろうか?2018年2月度の東京新聞のABC部数が約57万8000部であるから、東京新聞社がほぼ10社なくなったことになる。
詳細は次の通りである。
2018年2月度の新聞のABC部数、朝日は年間で31万部減、読売は29万部減、朝日が高いジャーナリズム性を発揮できる背景に「押し紙」政策の廃止
2018年2月度の新聞のABC部数が明らかになった。ABC部数の低落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。この1年間で、朝日新聞は約31万部減、毎日新聞は約17万部減、読売新聞は約29万部減である。さらに日経も、約28万部を減らしている。
詳細は次の通りである。()内は、前年同月比である。
朝日:5,989,345(-308,108)
毎日:2,840,338(-173,444)
読売:8,560,861(-285,287)
日経:2,445,373(-275,347)
産経:1,516,574(-46,299)
中米グアテマラの「ヒトラー」、リオス・モントが死す、先住民族に対するジェノサイドで2013年には禁固80年の実刑
中米グアテマラの(元)独裁者、リオス・モントが、4月1日に亡くなった。91歳だった。リオス・モントの名前は、日本ではほとんど知られていないが、中央アメリカでは、「グアテマラのヒトラー」として人々の記憶に刻まれている。1982年にクーデターで大統領に就任すると、先住民族に対するジェノサイド(皆殺し作戦)を繰り返した人物である。
1996年に内戦が終わった後、グアテマラでは急速に民主化が進み、戦争犯罪の検証が始まった。リオス・モントは起訴され、2013年に禁固80年の実刑判決を受けた。しかし、憲法裁判所が再審の決定を下し、再審が続いていた。
憲法裁判所が再審を決めたのは、内戦の和平に至るプロセスで、旧軍人に対する恩赦が和平の条件になっていたためである。リオス・モントだけが法廷で裁かれることに、再考を促したのである。
神原元・自由法曹団常任幹事のツィートを検証する、広義の「しばき隊事件」にみる社会病理
広義の「しばき隊」事件とは、差別と闘っているグループの中で、2014年12月、内ゲバがあったとされる件である。メディア黒書でおもに書評のかたちで何度か取りあげたが、その中で浮上してきたのが、客観的な事実は何かという重い問である。
客観的な事実を誤って把握し、それを前提に議論しても意味はない。たとえば南京事件がなかったという誤った歴史認識に立って旧日本軍の戦争犯罪を語っても、議論は噛み合わない。
広義の「しばき隊」事件でも、類似した思考の混乱が見うけられる。事件を起こした人々も認めているように、Mさんに対する暴行は客観的な事実である。Mさんが暴行を受けた際の音声も克明に残っている。それは極めてジャーナリズム(記録)性が高い貴重な記録だ。(次ページの動画参考)
ところが酒場から、突然、次のようなツィートが投稿されたりする。
「しばき隊リンチ事件」「主水事件」「M君事件」等と称された事件に判決が下りた。結論は、共謀なし。李信恵さんの責任はなし。一部に誤った認定はあったが、原告のストーリーは全て否定された。「しばき隊がリンチ事件を起こした」等とデマに踊った人々は猛省すべきである。今後、誹謗中傷は許さない■出典
これは神原元弁護士(自由法曹団常任幹事、しばき隊の元隊員、『ヘイトスピーチに抗する人々』[新日本出版社]の著者)のツィートである。3月19日の夜、酒場から移動通信機器で、軽々しく発せられたものと思われる。
この日の午後、大阪地裁である裁判の判決が下された。Mさんが暴行の加害者と、それを傍観した者を被告として提訴した損害賠償裁判の判決である。この裁判の被告は、5人。このうち神原弁護士は、2人の被告の代理人を務めた。李信恵氏と伊藤大介氏である。
このうち李氏に対する損害賠償請求は棄却された。ただし、次の事実は認定された。
被告普鉉が原告を迎えに出て、同月17日午前2時頃、原告及び被告普鉉が本件店舗内に入ったところ、出入口に最も近い席に坐っていた被告信恵が、原告に対して「なんやのお前」などと言いながら、原告に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。これに対し、被告普鉉が、直ちに「まあまあまあ、リンダさん、ごめんな。」と言い、被告金も「店やし、店やし。」などと言いながら、被告信恵を制止して、原告から引き離した。
一方、伊藤氏に対しては、次のような判決が下った。
被告金及び被告伊藤は、原告に対して、各自79万9740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を払え。
2018年04月06日 (金曜日)
検察審査会へ申し立て、新たに刑事告発、高市早苗議員によるマネーロンダリング疑惑
奈良地検が、筆者と市民運動家の志岐武彦氏による高市早苗議員に対する刑事告発を不起訴にしたのを受けて、筆者らは5日、奈良検察審査会に対して、審査の申し立てをおこなった。
筆者らは、昨年(2017年)、高市早苗議員をマネーロンダリングによる詐欺で刑事告発した。それを奈良地検が受理して、調査していた。しかし、既報したように奈良地検は、最終的にこの事件を不起訴とした。それを受けて、今回、検察審査会の審査を申し入れたのである。
◇事件の経緯
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。つまり議員が、自分の政党支部へ寄付を行い、みずから還付金を受ける行為は違法行為である。
告発の対象にした額は、2012年度分の還付金、約300万円である。この年、高市氏は自分の政党支部へ自分で1000万円を寄付して、約300万円の還付金を受けた。結果、実質的な手持ち資金が1300万円になった。お金を循環させるだけで、このような「利益」を得ていたのだ。
同類の手口を森裕子議員も行っており、筆者らは、新潟地検に刑事告発したが、受理した後、最終的に不起訴にしている。
三井、三菱、住友などに1300億円の都有地を129億6000万円で投げ売り、報じられない五輪・パラ選手村の開発をめぐる官製談合
森友事件と加計事件は、メディアのスポットライトを浴びているが、ほとんど報じられていないのが、東京都による「都有地投げ売り事件」である。都有地に東京オリンピック・パラリンピックの選手村を建設することを口実に、相場で1300億円の土地を、129億6000万円で投げ売りした事件である。坪あたり33万円。9割の値引きという計算になる。
不正の規模は、森友事件や加計事件の比ではない。
売却先は、次の企業である。天下り受け入れの実態も確認してほしい。
日本年金機構から仕事を受注していたSAY企画はファミリー企業か?
日本年金機構の仕事を請け負っていながら、データ入力業務を中国の会社に再委託し、多量の入力ミスを発生させたSAY企画の本社へ足を運んでみた。所在地は、東京都豊島区池袋1丁目48の10にあるビルの中。池袋のビジネス街のはずれで、近くに高い煙突をもつゴミ焼却工場がある。
10階に同社の窓口になっている事務所があるほか、複数の部屋を占有して業務を展開しているようだ。
筆者が最も驚いたのは、事務所が入っているビルのセキュリテーである。誰でも自由に出入りできる。15分ほど事務所の前で人の出入りを観察していたが、まったく警戒もされなかった。
佐賀新聞と販売店の係争、販売店が勝訴、地位保全を認める、背景に典型的な「押し紙」事件
佐賀新聞の販売店主が、店主としての地位保全を求めた仮処分申立事件で、佐賀地裁は、3月29日、店主の申し立てを認める決定を下した。この係争の背景には、「押し紙」問題があり、関係者の注目を集めていた。販売店訴訟で全国的に販売店が勝訴する流れが生まれはじめているなか、今回の販売店勝訴はそれに拍車をかけそうだ。
この事件の発端は、平成28年4月にさかのぼる。店主が佐賀新聞社に対して提出が義務づけられている報告書に、「仕入れ部数2550部お願いします」と記載した。つまり新聞の注文部数が2550部であることを、店主が書面で公式に申し入れたのである。
これに対して佐賀新聞は、店主の要望を拒否。前月と同様の搬入部数2980部を搬入する旨を通知した。そして実際に、2980部を搬入したのである。
この時点で、差異の430部が「押し紙」となった。これを仕入れ価格に換算すると、約86万円(月額)になる。店主は、この86万円の納金を拒否した。
4月以降も佐賀新聞は、店主が発注した搬入部数を認めず、「押し紙」を続けた。店主の方も、「押し紙」に相当する仕入れ代金については、支払いを拒否した。そして平成28年12月の時点で、「押し紙」部数に相当する未払い金は、約705万円に膨れあがった。
もちろんこうした状態に至るまでの間、店主は佐賀新聞に対して繰り返し減紙を申し入れていた。しかし、佐賀新聞は、店主との間に年間の部数目標を定めていることなどを理由に、強引に「押し紙」政策を続けた。そしてあげくの果て、平成28年12月14日に、販売店との商契約を打ち切る旨(契約の更新拒否)を通知したのである。
そこで店主は、地位保全の仮処分を申し立てた。佐賀地裁は、販売店の申し立てを認めた。ただし、地位保全の期間は1年に限定された。
その1年の期間が終了する前の平成29年12月、佐賀新聞は再び販売店との商契約を更新しない旨を伝えた。そこで販売店側は、再び地位保全の仮処分を申し立て、今回それが認められたのである。期間は1年。