2018年03月30日 (金曜日)

日本年金機構のデータ入力事件、過去に博報堂が起こした郵政事件の構図と類似

日本年金機構がデータ入力を外部の会社に委託して、大量の入力ミスを発生させた事件が発覚した。データ入力を請け負っていたのは、SAY企画という会社である。大量の入力ミスを発生させた原因は、SAY企画が入力業務を中国の会社に再委託していたからである。ある経営コンサルタントは、次のように話す。

「日本で入力すれば1件、最低でも80円ぐらいのコストがかかりますが、中国で入力すれば5円ぐらいです。75円が丸儲けという構図になっています」

このSAY企画に関してはさまざまな情報が飛び交っているが、実体はよく分からない。マスコミがなぜか詳しい報道を避けているからだ

実は、この事件とよくにた手口の事件が過去にも発生していたのを、読者はご存じだろうか。心身障害者用の「低料第3種郵便物の割引制度」を悪用した事件で、2008年10月に朝日新聞のスクープによって明らかになった。

手口は単純で、企業がPR活動などの手段として利用するダイレクトメール(広告の一種)を、心身障害者用の「低料第3種郵便物の割引制度」を使って、低料金で発送して、経費を削減するというものだった。もちろん企業は、心身障害者ではないので、この制度の利用は違法行為である。

驚くべきことに、この事業の営業には広告代理店・博報堂の子会社が関与していた。

なぜ、広告代理店が関与していたのか、ある種、不思議な気もするが、それに先だって、大がかりな裏工作が郵政と博報堂の間で進行していたことが、当時の総務省の文書に残っている。

 

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2018年03月29日 (木曜日)

多発するスラップ訴訟、対策は名誉毀損裁判を多発する弁護士のブラックリストの共有

最近、司法の世界ですっかり定着した言葉のひとつに「スラップ」がある。
日本では、「いやがらせ裁判」とか、「訴権の濫用」というニュアンスで使われているが、この言葉の発祥国である米国では、「公的な活動参加に対する戦略的な訴訟」(Strategic Lawsuit Against Public Participation)という意味である。従って、日米では、スラップの意味が若干異なっている。

たとえば左巻健男氏の次のツィートである。

ニセ科学はすぐにスラップ訴訟を言い出す傾向がある。いや、賢いニセ科学は批判されてもスルーする。批判を相手にするよりは、ずっと多数の信じる人らに買って貰えばいいからだ。焦っている、凋落している、可笑しげな顧問や関係者がいるニセ科学がスラップ訴訟を言ったりやる傾向を感じる。

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2018年03月28日 (水曜日)

新聞販売網再編の前夜、新聞社が「押し紙」を排除しはじめた本当の理由

このところ顕著になっているのが、新聞のABC部数の減部数である。坂道を転げ落ちるように、新聞の公称部数が下降線をたどっている。しかし、新聞部数の激減を単純に読者離れと解釈することはできない。結論を先に言えば、読者数は微減で、激減しているのは「押し紙」である。

ABC部数の中には多量の「押し紙」が含まれているので、ABC部数の減少が読者数の減少と錯覚してしまうのだ。

下記、青の数字は2017年11月のABC部数で、()内の赤の数字は10年前、つまり2007年11月のABC部数である。

朝日 6,136,337(8,010,922)
毎日 2,942,247(3,882,063)
読売 8,713,985(9,983,032)
日経 2,702,584(2,882,495)
産経 1,519,645(2,167,187)

この10年間で、朝日新聞は約187万部、読売新聞は約127万部、毎日新聞は約94万部の減部数となった。

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2018年03月27日 (火曜日)

広義の「しばき隊事件」の大阪地裁判決が認定した事実、暴力は客観的な事実

広義の「しばき隊」事件。差別と闘っているグループの中で、2014年12月、集団暴力があったとされる事件である。被害者のMさんが、刑事処分のあと、民事裁判で損害賠償を求めた裁判の判決が、19日に大阪地裁で下された。現場にいた5人のうち、3人に対して損害賠償命令が下された。

この裁判は客観的にみれば原告の勝訴である。しかし、原告・被告とも判決内容には不服があるようだ。双方が控訴することはまず、まちがいない。

ところでメディア黒書で既報したように、判決が下った19日の夜、被告の李信恵氏の代理人を務めている神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が、次のようなツィートを投稿した。

「しばき隊リンチ事件」「主水事件」「M君事件」等と称された事件に判決が下りた。結論は、共謀なし。李信恵さんの責任はなし。一部に誤った認定はあったが、原告のストーリーは全て否定された。「しばき隊がリンチ事件を起こした」等とデマに踊った人々は猛省すべきである。今後、誹謗中傷は許さない

ツィートの出典

神原弁護士は、「原告のストーリーは全て否定された」と述べている。わたしは真意を確かめるために、同弁護士に取材を申し入れたが、現時点では返事がない。わたしが、「原告のストーリーは全て否定された」という記述に違和感を感じたのは、判決の中で裁判所が認定した事実を確認したところ、暴行の事実が複数認定されていたからだ。

神原弁護士は、「李信恵さんの責任はなし」と述べているが、判決文の事実認定は次のようになっている。Mさんが事件の現場となった居酒屋に到着した直後の状況である。

(ア)被告普鉉が原告を迎えに出て、同月17日午前2時頃、原告及び被告普鉉が本件店舗内に入ったところ、出入口に最も近い席に坐っていた被告信恵が、原告に対して「なんやのお前」などと言いながら、原告に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。これに対し、被告普鉉が、直ちに「まあまあまあ、リンダさん、ごめんな。」と言い、被告金も「店やし、店やし。」などと言いながら、被告信恵を制止して、原告から引き離した。

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2018年03月26日 (月曜日)

東京都の迷惑防止条例改正、言論規制の道具に、考察が必要な「差別者」批判の方法

東京都の警察消防委員会で、22日に、「東京都迷惑防止条例」の改正案があっさりと成立した。この改正案は、警視庁から提出されたもので、共産党を除く会派が賛成した。

改正された条例によると、電子メールやSNSなどによる「つきまとい行為」や、「住居等の付近をみだりにうろつく」行為、さらに「名誉を害する事項を告げること」なども条例に抵触することになる。また、写真撮影の容認範囲も著しく限定された。そのためか、東京都版の共謀罪ではないかとの声も上がっている。

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2018年03月24日 (土曜日)

「しばき隊事件」の大阪地裁判決を検証する、神原元弁護士は何を根拠に「原告のストーリーは全て否定された」とコメントしたのか? 暴行現場の録音記録との著しいギャップ

2014年に起きた「カウンター」、あるいは「しばき隊」と称するグループのメンバーが、大学院生のMさんに暴言と暴力で襲いかかり、ひん死の重症を負わせた事件で、司法判断が下った。この事件では、刑事処分のあと、Mさんが損害賠償を求めた民事訴訟が行われている。その第1審の判決が19日に下されたのだ。大阪地裁が下した判決の概要は次の通りである。

(1)被告エル金および被告伊藤大介は原告に対し、79万9,740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(2)被告凡は、原告に対し、1万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(3)原告の被告エル金に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(4)原告の被告凡に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(5)原告の被告伊藤に対するその余の請求をいずれも棄却する。

(6)原告の李信恵及び松本英一に対する請求をいずれも棄却する。

(7)被告伊藤及び松本の反訴をいずれも棄却する。

(8)訴訟費用は、被告エル金に生じた費用の11分の4及び原告に生じた費用47分の1を被告エル金の負担とし、被告凡に生じた費用の220分の1と原告に生じた費用の188分の1を被告凡の負担とし、被告松本に生じた費用の5分の3と原告に生じた費用の188分の33を被告松本の負担とし、被告伊藤に生じた費用の188分の53を被告伊藤の負担とし、その余を原告の負担とする。

(9)この判決は第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

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2018年03月22日 (木曜日)

多発する著名人による名誉毀損裁判、辛淑玉氏のケースを考える、言論統制を招く危険性

名誉毀損裁判(刑事)の起訴数が安倍内閣になってから急に増えているというデータがある。

データの出典

グラフを見れば分かるように、安倍内閣が成立した2012年あたりから、急激に上昇しているのである。しかも、刑事事件としての名誉毀損裁判である。

通常、名誉毀損で提訴する場合、刑事ではなく、民事で訴える。刑事事件として訴えるケースは少ない。その名誉毀損の刑事裁判が増えているということは、それ以上に民事事件が増えている可能性が高い。

実際、筆者が情報収集した範囲だけでも、「またか」とあきれるほど名誉毀損裁判が多発している。しかも、言論人や社会的な影響力がある人が原告となるケースが増えているのだ。

最近(3月16日)も、社会運動家であり文筆家の辛淑玉氏が、フリージャーナリストの石井孝明氏に550万円の損害賠償を求める名誉毀損裁判を起こした。そして、おそらくは知人である神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が、ツイッター上で次のように呟いている。

辛淑玉さんの隣にいる俺は、連中がやったことのあまりの酷さに怒り、被害者である辛さんの話に涙をこらえた。いい加減にしろ日本!

東京MXテレビ:沖縄番組「ニュース女子」 BPO、人権侵害認定 再発防止勧告 - 毎日新聞

出典

「いい加減にしろ日本!」の意味は不明瞭だが、辛淑玉氏の名誉を毀損した責任が日本にあるというのであれば論理が飛躍している。右派の人々に揚げ足を取られるだろう。

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2018年03月20日 (火曜日)

「押し紙」裁判で販売店勝訴の流れ、販売店の「和解勝訴」が相次ぐ

先日、ある新聞販売店が保管している商取引に関する資料を見る機会があった。驚いたことに、通常の「押し紙」のほかに、「補正」という口実で、さらに「押し紙」を上乗せしていたことが分かった。裁判を起こせば、まず勝訴できる案件だった。「補正」を口実とした請求に対する疑義は、実は複数の店から口答で筆者のところへ寄せられていたが、このたび書類で確認することができた。スポーツ紙でも、「押し紙」が行われていた。

他の販売店では、英字紙の「押し紙」も確認できた。

 

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2018年03月19日 (月曜日)

【書評】『SEALDsの真実』と『しばき隊の真実』、広義の左翼勢力の劣化の背景に何があるのか?

これら2冊の書籍は、それぞれ独立したタイトルを付しているが、両方とも広義に左翼と呼ばれている勢力の劣化を扱っている。『SEALDsの真実』では、SEALDsの化けの皮を剥ぎ、『しばき隊の真実』では、しばき隊の実態とそれを支える「知識層」に対する疑問符を投げかける。わたし自身が日ごろから感じていたことを、ほぼそのまま代弁している。

福島の原発事故の後、金曜日の夕方になるとどこからともなく国会周辺に人々が集まってきて、大きな群衆となり、安倍政権に対して「NO」の声を表明する運動が広がった。原発、安保、特定秘密保護法、共謀罪など、時期によりその中心テーマは変化したが、市民が意思を統一して、自分たちの主張を表明するようになったのである。こうした中から台頭してきたのが、SEALDsだった。メディアは、SEALDsを新しいかたちの学生運動として賞賛した。新しい市民運動の広告塔になったのだ。

しかし、水面下では彼らに対して批判の声を上げる人々もいた。たとえば辺見庸氏である。

◇SEALDs、しばき隊、共産党

「だまっていればすっかりつけあがって、いったいどこの世界に、不当逮捕されたデモ参加者にたいし『帰れ!』コールをくりかえし浴びせ、警察に感謝するなどという反戦運動があるのだ」「国会前のアホどもよ、ファシズムの変種よ、新種のファシストどもよ、安倍晋三閣下がとてもよろこんでおおられるぞ」(辺見氏のブログ、削除済み)

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2018年03月16日 (金曜日)

幻冬舎の見城徹社長が名誉毀損とした月刊誌『ZAITEN』の記述、高橋三千綱氏のコメントに関する論考、言葉狩りは自殺行為

1月に幻冬舎の見城徹氏が経済誌『Zaiten』を発行する財界展望社を訴えた。請求額は500万円。ただし提訴時は1000万円。

訴因は、同誌の1月号の特集「安倍をたらし込む『新型政商』の正体、幻冬舎 見城徹 この顔に気をつけろ!」という総タイトルの下で、掲載された4本の記事である。見城氏のこれまでの軌跡、安倍晋三首相との関係、テレビ朝日の早河洋社長とのかかわり、見城氏の自宅に関することなどを記述したもので、20ページになる。

具体的に見城氏は、何をもって名誉毀損を主張しているのだろうか。名誉毀損としている多数の表現や記述の中から、ひとつの例を紹介しよう。筆者には、まったく名誉を毀損しているとは読めないのだが。

ちなみに名誉毀損裁判では、「一般読者の通常の注意と読み方」をした時、これらの記述が名誉を毀損しているか、あるいはプライバシーを侵害していないかが争われる。「一般読者の通常の注意と読み方」という抽象的な判断基準が設けられているわけだから、当然、読者が受ける印象も異なる。

 

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2018年03月15日 (木曜日)

NHKがハガキで約11万円の請求書を送りつける、集金員がアパートに押し入ろうとしてもみ合いに

NHK受信料の集金方法が強引になっている。
筆者のもとに知人(かりにAさん、女性、埼玉県)から、NHKの強引な集金の手口を裏付ける証拠が送付されてきた。この人は、来日して約1年で、テレビを設置してから3カ月と話している。ところが請求額が11万円を超えていた。

経緯は次の通りである。NHKの集金員がAさんのアパートを訪ねてきた。受信料の支払いを求めてきたので断ったところ、集金人は部屋へ押し入ろうとした。そこでAさんは、NHKの男の肩に手をあてて戸口で男をブロックした。

後日、一枚のハガキ状の請求書がAさんのところへ届いた。そこには11万円を超える請求額や振込先銀行の口座が書かれていた。

NHKの手口は、想像していた以上に悪質になっている。防犯カメラの画像を解析しなければ、この男の「暴力」がどの程度だったのか分からないが、たとえ被害者側に支払い義務があるとしても、11万円の根拠がよく分からない。ハガキによる請求という手口も、筆者はこれまで聞いたことがなかった。

 

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2018年03月14日 (水曜日)

朝日新聞や見城徹氏も…有力者による名誉毀損裁判が相次ぐ理由 スラップ訴訟めぐる議論呼ぶ

政治家やメディア企業が、自分たちに向けられた批判言論に対して裁判で対抗するケースが増えている。昨年の12月だけでも、少なくとも3件の提訴が話題になった。松井一郎・大阪府知事、橋下徹・元大阪府知事、朝日新聞社である。

まず、6日に松井知事が米山隆一・新潟県知事に対して、ツイッターで名誉を毀損されたとして550万円を請求する裁判を起こした。15日には、橋下氏がインターネットメディア・IWJの代表・岩上安身氏に対して、やはり名誉毀損裁判を起こした。訴因は、ツイッターに投稿されていた橋下氏に関する第3者のツィートを、岩上氏がリツィートしたことだった。請求額は100万円である。

そして25日に朝日新聞社は、単行本『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による
戦後最大級の報道犯罪』で名誉を毀損されたとして、著者の小川榮太郎氏と版元の飛鳥新社に対して5000万円を請求する名誉毀損裁判を起こした。

さらに今年1月には幻冬舎の見城徹社長が、経済誌「ZAITEN」を発行する財界展望社に対して、特集記事で名誉やプライバシーを毀損されたとして、1000万円の支払いなどを請求する裁判を起こした。請求額はその後、500万円に減額された。【続きはビジネスジャーナルで】

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2018年03月13日 (火曜日)

博報堂と中央省庁・内閣府との不可解な商取引、インボイスナンバーが欠落した「手作り」の請求書が内閣府だけで年間20億円分

財務省で森友学園に関する文書が書き換えられていた事件が発覚したが、省庁における不可解な工作は、日常化している可能性が高い。この事件は、朝日新聞が報じたから、大問題になったのであるが、同程度に深刻な国家公務員の腐敗は水面下で広がっている。

2016年から17年にかけて広告代理店・博報堂と省庁(内閣府を含む)の商取引を詳しく調査したところ、筆者は不可解な事実を次々と発見した。

最も奇妙に感じたのは、省庁から博報堂へ宛てた請求書の中に、インボイスナンバーが外してあるものが多数含まれていた事実である。

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2018年03月12日 (月曜日)

朝日新聞社が「押し紙」を含む部数内訳を把握していることが判明、日経の「押し紙」も明るみに、朝日のABC激減の背景に「押し紙」排除の方針か?

朝日新聞社が新聞販売店における部数内訳を把握していることが、元販売店主からメディア黒書に提供された資料で分かった。このところ急激にABC部数を減らしている朝日であるが、これは同社が「押し紙」の実態を把握した上で、「押し紙」を排除する方針に転じている可能性を示唆する。読者が激減しているわけではない。

メディア黒書に送られてきた資料の名称は、「全国ASA部数調査・朝刊単売価格調査・日経電子版ダブルプランの調査のお願い」と題するもので、実配部数や即売部数、それに予備紙(「押し紙」)などの実態の報告を求めている。

しかも興味深いことに、朝日新聞の本紙だけではなく、販売店が扱っている日経新聞やスポーツ紙も調査対象になっている。

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2018年03月09日 (金曜日)

BPOが「ニュース女子」に名誉毀損の勧告、「のりこえねっと(辛淑玉共同代表)」と「しばき隊」のグレーな関係

BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会が8日、TOKYO-MX放送が1月2日と9日に放送した「ニュース女子」に対して、「名誉を毀損した」とする勧告を公表した。この番組は沖縄の基地問題をテーマとした放送内容で、「米軍ヘリパッド建設に反対する人たちを『テロリスト』と表現したり、『日当をもらっている』『組織に雇用されている』などと伝えたりした。また、日当については『のりこえねっと』が払っていると指摘した」ものである。

出典:「ネットのデマを社会に拡散した」 ニュース女子で「人権侵害」の団体が見解

BPOへ申し立てを行っていたのは、「のりこえねっと」の辛淑玉共同代表である。辛氏が個人的に申し立てたのか、それとも共同代表のメンバーと協議して申し立てたのかは不明だが、「のりこえねっと」が批判の対象になった番組をBPOの審判にかけたのだから、内部で事前の協議があったと見るのが妥当だろう。ちなみに、共同代表は次の方々である。

「のりこえねっと」共同代表一覧

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2018年03月08日 (木曜日)

朝日新聞による森友文書のスクープを考える、「押し紙」とメディアコントロールの深い関係

朝日新聞が、森友文書が書き換えられた可能性を報じた。このスクープは安倍政権に決定的な打撃を与えそうだ。高く評価できる報道だ。

朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

 ■出典:森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える

最近、朝日新聞の報道は、かつてに比べて格段によくなった。その原因が記者の奮起にあることはいうまでもないが、それを同じ程度に、いや、それ以上に重要な別の要素もある。それは朝日新聞の経営が健全になって、公権力が介入するスキがなくなってきた事である。

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、新聞ジャーナリズムを腐敗させてきた本当の原因は記者の職能不足ではなく、「押し紙」を柱としたビジネスモデルにほかならない。「押し紙」は独禁法違反なので、公権力は「押し紙」を口実にすれば、いつでも新聞社に介入できる。日本の新聞業界には、それを警戒して、政府批判を自粛する空気がある。逆説的にいえば、公権力は「押し紙」を取り締まらないことで、メディアコントロールの構図を維持してきたのである。

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2018年03月07日 (水曜日)

森裕子議員に対する刑事告発の不起訴に関して、新潟地検・小島健太検察官から回答、白紙の理由書を正当化

メディア黒書の2月26日付け記事で掲載した2人の検察官に対する質問状に対する回答期限が6日で終了した。新潟地検・小島健太検察官からは、電話で回答があったが、奈良地検・皆川剛二検察官からは回答がなかった。

新潟地検・小島健太検察官と奈良地検・皆川剛二検察官に公開質問状、高市・森両議員の不起訴に関して

回答を紹介する前に手短に、経緯を説明しておこう。(経緯をご存じの読者は、「事件の経緯」の節をスキップして下さい)。

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2018年03月06日 (火曜日)

【書評】しばき隊の本質を見抜けない「知識人」の劣化、かつての同和問題と同じ分断工作の構図、『ヘイトと暴力の連鎖』など鹿砦社取材班の4冊

 

2月27日付けのメディア黒書で『カウンターと暴力の病理』を紹介した後、その前段にあたる図書にも目を通してみた。

実は、この本に先立って、「しばき隊」による内ゲバ事件をテーマとする3冊の本が、同じ鹿砦社から出版されている。出版順に次の3冊である。

『ヘイトと暴力の連鎖』(2016年7月)
『差別と暴力の正体』(2016年11月)
『人権と暴力の深層』(2017年5月)
『カウンターと暴力の病理』(2017年12月)

『カウンターと暴力の病理』については、すでに書評した。

シリーズものの本は、とかく斜め読みしたくなるものだが、それをさせない力をこれら4冊は秘めている。それは恐らく渾身の力で取材に取り組んだ成果ではないかと思う。この事件について訴えたいという取材班の思いが、力強いルポルタージュを生んだのだろう。たとえば 『人権と暴力の深層』の次のくだりである。怒りの感情が読みとれる。

(略)M君リンチ事件から目を背けながら、今なお「人権」「反差別」「リベラル」などと、耳障りの良い言葉を平然と口にするような恥知らすは枚挙に暇がない。こういう輩を〈偽善者〉という。(略)
 エル金(暴力事件の主犯)一人に全ての責任を押し付けてM君リンチ事件の「幕引き」を図っている、「リベラル」を自称するこの者たちは、決定的な敗戦の責任を何一つ取らなかった旧日本軍の指導者や、森友学園問題において籠池泰典一人に全ての責任を押し付けて疑惑から逃れた安倍晋三夫妻や松井一郎と何一つ変わらない。
 われわれ取材班は、このような醜悪な〈偽善者〉を看過しない。今後もこれらの者たちの責任を追及し続ける。〈偽善者〉に逃げ道はない。

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2018年03月02日 (金曜日)

これは意外?読売・真村訴訟の判決で認定されているABC部数改ざん手口、PC上に架空の配達地区と架空読者を設定

新聞販売に関係した諸問題のなかで、メディア黒書でもあまり取りあげてこなかったテーマのひとつに、ABC部数の改ざん問題がある。これは裏をかえすと帳簿上で、「押し紙」部数を実配部数として計上する手口のことである。

当然、「押し紙」には読者がいないが、帳簿上では、「押し紙」の読者が存在するかのように改ざんするのだ。手口はいたって簡単だ。

新聞販売店の業務にパソコンが導入されていなかった時代は、ABC協会による調査が入る直前(新聞社から事前に通知がある)に、販売店は総出で偽の帳簿を作っていた。故高屋肇氏(毎日新聞の元店主)によると、ウソの名前と住所を延々と帳簿に書き連ねて、搬入部数と読者数(架空読者を含む)をほぼ一致させていたのだという。ABC協会の調査員も、帳簿を詳しく調査することはなかったという。

が、その後、新聞販売店の業務にもパソコンが導入された。それに伴い、今度は、パソコン上で、架空の読者を設定するようになった。少なくとも、筆者が取材した真村訴訟(被告・読売新聞社西部本社)のケースでは、パソコン上に架空の配達区、架空の住所、架空の読者が設定されていたことが司法認定された。

真村訴訟とは、YC広川(福岡)の真村店主が店主としての地位保全を求めて読売新聞を訴えた裁判である。2007年に真村氏の勝訴が最高裁で確定している。従って、読売によるABC部数の改ざん方法を考える上で、裏付けが確かな例といえるだろう。

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2018年03月01日 (木曜日)

『財界にいがた』が志岐氏の手記「森裕子参議院議員を不起訴にした検察は正義を捨てたのか!?」を掲載、森議員によるマネーロンダリング一覧表を公開

『財界にいがた』(3月号)が、志岐武彦氏の「森裕子参議院議員を不起訴にした検察は正義を捨てたのか!?」と題する手記を掲載している。同誌のウエブサイトに、全文の3分の1程度が掲載されている。次のリンク先でアクセスできる。

「森裕子参議院議員を不起訴にした検察は正義を捨てたのか!?」

メディア黒書で繰り返し伝えてきたように、この事件では政治献金の還付金制度を利用した策略が問題になっている。

【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。この条項を無視して、議員が自らの政党支部に寄付すれば、マネーロンダリングになってしまう。1000万円を寄付すれば、資金が1300万円にふくれあがることになる。

森氏は、2013年に読売新聞からこの問題を指摘され、今後は中止することを公言した。ところがその約束を守らなかったのだ。そのことを志岐氏は問題視しているのである。

参考までに『財界にいがた』が掲載した森氏によるマネーロンダリングの一覧表を紹介しておこう。還付金の額は、最大で約2700万円にもなる。財源は血税である。

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