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2016年09月01日 (木曜日)

視聴率の偽装がCPO(1顧客獲得あたりの費用)に及ぼす影響

本稿は昨日(8月31日)付けの記事の続編である。

→広告代理店の職能比較、CPO(1顧客獲得あたりの費用)は電通と東急が7万円、博報堂は150万円

既に述べたようにCPOとは、新規の顧客一人を獲得するために費やした販促費用のことである。CPOの金額が低ければ、低いほど、効率的に新規の顧客を獲得していることになる。逆に金額が高ければ、高いほど販促費の規模に見合った顧客獲得が出来ていないことを意味する。

博報堂と係争中のアスカコーポレーションよると、2008年を境界線として、同社のCPOは急激に悪化する。この年から、博報堂がアスカのPR業務を独占するようになっていた。それまでは東急エージェンシーと電通が中心的な位置を占めていた。

東急エージェンシーと電通の時代のCPOは、7万円程度(非公式の数字)で、博報堂の時代になってから、次のような金額になった。

2009年   220,876円
2010年   240,643円
2011年   220,019円
2012年   432,065円
2013年   922,760円
2014年 1,139,010円
2015年 1,538,897円

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2016年08月31日 (水曜日)

広告代理店の職能比較、CPO(1顧客獲得あたりの費用)は電通と東急が7万円、博報堂は150万円

数値は、職能を客観的に測定する目安である。米国大リーグのピート・ローズ選手の持つ通算最多安打記録・4256安打を超えたイチロー選手の打率が常に高かったように、数値は職能レベルを如実に反映する。

読者は、CPO(コスト・パー・オーダー)とは何かをご存じだろうか。これは新規の顧客一人を獲得するために費やした販促費用のことである。CPOの金額が低ければ、低いほど、効率的に新規の顧客を獲得していることになる。逆に金額が高ければ、高いほど販促費の規模に見合った顧客獲得が出来ていないことを意味する。

大手広告代理店の職能も、このCPOで客観的に測定できる。次に示すのは、アスカコーポレーションが公表している博報堂のCPOである。

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2016年08月29日 (月曜日)

博報堂事件、アスカがまったく気づかなかった2つの不正、視聴率の改ざんと放送確認書の偽造

化粧品の通販業を営むアスカコーポレーション(本社・福岡市)が、博報堂に対して総額で約60億円の返還を請求する2件の裁判を提起したのを受けて、アスカの南部昭行社長は、ウエブサイト「ビジネスジャーナル」のインタビューで次のように、提訴に至る事情を説明している。

きっかけは、博報堂が昨年10月、当社に対して6億1000万円の未払い請求を行ってきたことです。私自身は争い事を好みません。昨年の段階で丸く収めることを考え、博報堂さんと問題を解決しようと譲歩してきました。

ところがなんの音沙汰もなく、いきなり差し押さえを請求をしてきたのです。ものごとにはルールがある。「それならこちらにも言い分がある。受けて立ちましょう」ということになったのです。過去の請求でおかしな点が多々ありました。それを黙って不問にしてきた部分もあります。

そこで、実際に博報堂との取引がどのようなものだったのか、さかのぼって徹底的に調べることにしたのです。調査が進んでいくなかで、次々に驚愕の事実が明らかになってきました。

過去の不正とは、ホームページ関連の過剰請求である。その他の点については、気づかなかったことをアスカ側も認めている。係争になってから過去の取り引きを精査した結果、はじめて数々の不正が明らかになったのである。

■事件全体の構図

その中でも、とりわけ重大な不正が2点ある。

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2016年08月26日 (金曜日)

放送確認書の偽造疑惑についての元広告代理店社員の証言、「こんな放送確認書は見たことない」

Mnetを運営する放送局・CJE&MJapanの放送確認書が偽造された疑惑について、元広告代理店の社員の証言を入手した。

この証言は、放送確認書が何者かによって偽造されたと主張しているアスカが、元広告代理店の社員から聞き取り調査を行った際の議事録である。

しかし、議事録を紹介する前に、放送確認書の偽造疑惑について説明しておこう。

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2016年08月25日 (木曜日)

Business Journalが博報堂事件を大きく報道、タイトルは「博報堂、60億円の水増し請求疑惑!取引先が提訴…依頼無視し嘘連発、低レベルな仕事」

  ウエブサイトBusiness Journal(25日)が、博報堂とアスカコーポレーションの係争についての記事を掲載している。アスカの南部昭行社長へのインタビュー記事で、タイトルは、「博報堂、60億円の水増し請求疑惑!取引先が提訴…依頼無視し嘘連発、低レベルな仕事」。経済ジャーナリスト・松崎隆司氏の執筆である。

リードの部分を引用しておこう。

 博報堂から水増し請求を受けたとして、アスカコーポレーションの南部昭行社長は5月20日、博報堂を相手取り15億3000万円の不当利得の返還請求を行った。さらに8月16日には、47億8631万円の同請求も行った。博報堂といえば日本第2位の広告代理店だが、なぜ南部氏は同社に対して60億円を超える返還請求を行うに至ったのか。同氏にその真意を聞いた。

インタビューの本文リンク先は次の通りである。

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2016年08月23日 (火曜日)

チャンネルMnetに質問状、放送確認書の偽造疑惑について

放送確認書が偽造された疑惑が浮上している。

既報したように、チャンネルMnet(CJE&MJapan株式会社)の放送確認書である。疑惑の根拠は次の「ミス」である。最初に問題の書面を示そう。

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2016年08月22日 (月曜日)

内閣府が開示した博報堂の請求書、日付けの欠落とテレビ局名の隠蔽、CMを本当に放送したか否かも不明、裏金づくりの温床に

博報堂から内閣に対して請求した新聞を媒体とした「広報実施業務等」の金額が、2015年度だけで約20億3300万円に達していることが、情報公開資料によって分かった。

これらの金額が博報堂を介してそのまま新聞社や放送局に流れ込むわけではないが、日本のメディアがいかに広告代理店に依存しているかを示すデータといえるだろう。広告代理店が報道のタブーになっているゆえんにほかならない。

テレビのスポットCMを通じた広報活動関連費用に関しては、すべて黒塗りになっている。非公表である。どの放送局で放送されたのかも分からない。たとえば、次の書面だ。

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2016年08月19日 (金曜日)

公共広告1件で2億6000万円、情開資料に見る政府広報の実態、知る権利は後退

 下に示す画像のは、博報堂が内閣府へ送った請求書である。博報堂が制作した5段広告で、全国71紙に掲載された「社会保障と税の一体改革(マイナンバー制度)」と題する公共広告に対する請求で、金額は2億6373万6410円である。

掲載日は、媒体によって異なるが、いずれも2015年10月中である。

掲載紙数は71紙あっても、版下は同じものを使うわけだから、上記の金額は尋常ではない。無駄な予算が新聞社と広告代理店に流れていることが分かる。

国会議員の定数を減らして、国民の参政権を縮小するよりも、先にこうした無駄づかを中止すべきだろう。

各新聞社へいくら支払われたのかを示す明細は、親切にもメディアに配慮してすべて黒塗りにしている。次に示すとおりである。なぜか書面の発行日が欠落しているが本物である。

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2016年08月17日 (水曜日)

博報堂に対して48億円を請求、アスカが視聴率の改ざん・偽装で提訴、番組提案書の無効を主張

アスカコーポレーションは、8月16日、博報堂に対して2件目の訴訟を起こした。請求額は約47億9000万円。ウソの視聴率が記入された博報堂の番組提案書により、CMや通販番組の制作「契約」に誘導されたとして、番組提案書そのものの無効と返金を求める裁判である。

耐震強度の偽装から食品偽装まで、「偽装」が地球規模で広がっているなか、今度は視聴率の偽装による番組提案という深刻な問題が司法の場へ持ち込まれたのである。裁判所が、この視聴率偽装をどう裁くかが注目される。

裁判の中では、当然、博報堂の営業マンが偽装工作に果たした役割や、CM「間引き」疑惑も検証対象になる。

博報堂に対して約15億円を請求している前訴では、放送関係の請求は含まれていなかったが、今回提訴された訴訟では、請求対象が放送関係の不正に絞られている。法廷でCM制作の裏面などが暴露される可能性が高い。

テレビは業績不振からV字回復を遂げたが、かりに同じ騙しの手口が業界全体に広がっていれば、放送界の実態が根本から問われることになりかねない。

博報堂とアスカの間で勃発している放送関係の係争について、概略を説明しておこう。

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2016年08月16日 (火曜日)

博報堂事件、他社の公式文書を勝手にPDF化、問われる職能

  博報堂の正社員や非正規社員の職能が問われている。

たとえば今年の3月、博報堂が管理を請け負っていた「いわて県民情報交流センター」(盛岡市)で、入場者を水増しして報告していた事実が発覚している。その方法は子どもじみた幼稚なもので、アルバイトに入場者カウンターを何度も通過させるというものだった。(朝日新聞)

また、昨年、岩手県大槌町から津波記録誌の編集を請け負っていたが、「怠慢」編集を理由に契約を解除されている。記述の一部を別の記録誌からぱくっていたことも明るみにでている。(産経新聞)

さらに過去には、2009年に発覚した障害者団体向けの郵便料金の割引制度を悪用した事件で逮捕者を出している。当時、アスカに対しても、この割引制度を悪用するように話を持ちかけていた。

博報堂が上場企業(東証)だから完璧な業務を遂行して当然とまでは言わないにしても、上場企業として問題が多い。ただ、社員たちに悪意があるのかどうかは分からない。普通にやっている業務が、第3者の目には、異様に写るだけのことかも知れない。

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2016年08月13日 (土曜日)

電通・東急エイジェンシーと博報堂のPR業務の比較、CPOの違いが顕著に

  10桁CMコードは、CMの「間引き」を防止する目的で、1999年12月から導入された。このあたりの事情について、当時の『放送ジャーナル』は、次のように報じている。

テレビCM業務の合理化と放送事故の防止を目指した、放送広告業界統一のCMコード【10桁CMコード】の運用が、昨年12月1日放送分のCM素材から正式にスタートした。

 97年、99年に発覚したCM不正取引問題を契機に、日本広告主協会(主協)が民放連や日本工区業協会(業協)に求めていた、再発防止策としての「電波重畳によるCM放送確認システム」が10桁CMコードを使用することで一本化された。

 99年2月、主協、業協、民放連、全日本シーエム放送連盟、日本テレビコマーシャル制作社連盟のCM関係5団体で構成する「共通コードプロジェクト会議」(2000年3月に日本ポストプロダクション協会が参加し6団体に)が発足。1年余りの検討の後、最終合意が昨年9月に成立し、広告主コード(4桁)と素材コード(6桁)を組み合わせ10桁のコード体系とすることが決まった。

そして同11月、業協内に「共通コード管理センター」(Code Control Center:略称CCC)が開設され、10桁CMコードの完全実施を進めていくことになったわけだ。

 同センターは業協と民放連が共同設立した任意団体で、主協・業協・民放連の3団体の合意のもと、10桁CMコードのうち、4桁の『広告主コード』の発番、管理を行い、広告主・広告会社・CM制作会社・放送会社におけるCM業務の合理的遂行に寄与することを目的としている。さらに、この「10桁コード」の各業界における普及促進活動を推進していくことになる。

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2016年08月10日 (水曜日)

博報堂事件、放送確認書そのものを何者かが偽装した疑い、確認書の発行日とCM放送日に矛盾

博報堂事件の焦点のひとつは、CMの放送確認書をめぐる諸問題である。最初に、CMが放送された際にコンピュータが自動的に出力する10桁のCMコードが放送確認書に印字されていないものが多数あることが判明した。

CMの本数にすると1500本を超えている。特に衛星放送のスーパーネットワーク社が際だっていて、メディア黒書の集計によると934本にもなる。

次ぎに、CMコードが非表示になっている放送確認書をさらに詳しく調べたところ、放送確認書そのものが偽装された可能性が極めて高いものがあることが分かった。メディア黒書が検証対象にしているのは、チャンネルMnetの放送確認書である。

まず、下記の放送確認書の①と②に注意してほしい。

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2016年08月09日 (火曜日)

博報堂事件、チャンネルMnetの放送確認書の不自然さ、解消するべき博報堂の最高検察庁人脈

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、重要テーマとなっているのが、CMが放送された証となる放送確認書の解釈と偽装(あるいはミス)疑惑である。

この記事の前篇は→博報堂事件、住所を間違った「にせもの」放送確認書の疑惑が浮上

前篇では、チャンネルMnetの放送確認書に記された同放送局の住所が間違っている事実や、3月に放送したCMの放送確認書が2ヶ月もの時間を経たあと、5月末にようやく発行されている事実など、不自然な点を指摘した。

これに対して読者から反応があった。

チャンネルMnetの放送確認書の実物をPFDで公開したところ、匿名の読者から、ある指摘が寄せられた。放送確認書の本記欄の部分、つまりCMの放送時間帯などを記したセクションが、パソコン画面の張り付け、つまり印字ではなく、パソコン上の画像ではないかという指摘である。

本来、放送確認書は印字が原則である。

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2016年08月08日 (月曜日)

博報堂事件、住所を間違った「にせもの」放送確認書の疑惑が浮上

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、最も注目されているテーマのひとつが、CMの「間引き」疑惑である。CMの「間引き」とは、CMを放送する契約を放送局が履行せず、「放送した」と偽り、料金だけを徴収する不正行為である。

1990年代の後半に、福岡放送、北陸放送、それに静岡第一テレビでCM「間引き」が発覚して、テレビ界を揺るがした。

これを受けて民放連などが、対策に乗り出し、コンピュータを使った防止システムを導入した。コンピュータが人間の不正を監視するよになったのである。

広告主を不正から守る制度が構築されたのである。

おおまかな使用のステップは次の通りである。、放送予定のCMに10桁のCMコードを付番する。それをコンピュータに入力する。CMが放送された順番に、機械が放送確認書の10桁CMコードを印字する。

2006年からは、10桁のCMコードが付番されていないCMは受け付けないのが原則になっている。

CMが放送されなかった場合は、もちろんCMコードは印字されない。災害などでCM放送が中止になりCMコードが非表示になった場合は、広告代理店が広告主に事情を説明して理解を求め、放送時間を変更してCMの放映回数を増やすなどの「ペナルティー・サービス」が実施される。

この機械によるCM「間引き」防止のシステムが導入された後、CMを放送せずに料金だけを徴収する事件は、過去のものになったと言われてきた。実際、わたしが関係者らを取材したところ、口を揃えたように、「今は、ありえない」という答えが返ってきた。

ところがアスカが自社で保有していた放送確認書を調べたところ、10桁CMコードが表示されていないCMが多量に発見されたのだ。メディア黒書でそれを確認したところ、その本数は現時点で1500件を超えている。これらのCMに対する「ペナルティー・サービス」が行われていなければ、詐欺ということになる。

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2016年08月06日 (土曜日)

防衛庁が情報開示請求の決定を延期、大手広告代理店に対する莫大な予算の実態

防衛庁に対して筆者が、電通と博報堂が防衛庁に送付した各種の請求書を全部(1年分)開示するように求めた情報開示請求の決定が9月9日まで延期された。

この情報開示請求は、大手広告代理店が法外な金額を税金から支出させているとの指摘が増える状況下で、調査の必要性が高まった事情が背景にある。

この問題は、メディア黒書でも取り上げたことがある。

たとえばわたしの手元に(株)朝日広告が最高裁に対して送付した請求書の写しがある。業務の名目は、「裁判員制度広報のメディアミックス企画及び実施業務」である。これはわたしが情報公開制度を利用して入手したものである。

裁判員制度をPRすることを目的とした広告制作に関する請求だ。

総額は6億8663万7400円(2008年4月のデータ)。

■裏付け資料

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2016年08月05日 (金曜日)

CM「間引き」問題で博報堂の遠藤常二郎弁護士に公開質問状、10桁CMコードの人的な「記載」は不正行為

博報堂事件の重要な検証点のひとつに、CMが放映されたことを証明する10桁CMコードが印字されていない多量の放送確認書が発生した原因である。

いずれも博報堂が制作したもので、その本数は1500件を超えている。

このうちの約900件は、博報堂が50%の株式を有する衛星放送局「スーパーネットワーク」で放映がスケジュールに組み込まれたCMである。(最終的な数値はまだ確定していない)。

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2016年08月03日 (水曜日)

博報堂事件のCM「間引き」疑惑、CM10桁コードに使用について電通と東急が「衛生放送のCMでも使う」とコメント

博報堂事件の重大な関心事のひとつに、アスカコーポレーションを広告主とするテレビCMが多量に「間引き」されていた疑惑がある。

※事件全体の構図については、ここをクリック

CM間引きとは、広告主から料金だけを徴収して、実際にはCM放送をスキップする不正行為で、1990年代の後半に福岡放送、北陸放送、静岡第一テレビで発覚して大問題になった。そこでテレビ・広告の関係者が、再発を防止するために、コンピュータがCM「間引き」を監視するシステムを開発・導入した。

それは人的な作業を排したシステムで、コンピュータが人間の不正を監視する画期的なものだった。以後、CM「間引き」は、一切できなくなったというのが、放送界の常識となった。

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2016年08月01日 (月曜日)

博報堂系のスーパーネットワーク社にCM「間引き」の疑惑と温床、10桁のCMコードは未使用

博報堂とアスカコーポレーションの係争の中で、アスカのCMが多量に「間引き」されていた疑惑の根拠を再整理しておこう。

■参考:博報堂事件の全体の構図

日本の放送界には、コンピュータでCMが放送されたか否かを監視するシステムが定着している。これについては筆者が、日本広告主協会、民放連、それに衛星放送協会の取材によっても判明した。さらにメディア総研にも確認した。

民放連と衛星放送協会については、会員社に対してCMコードの使用を徹底する方針を取ってきた。

放送界がこのようなシステムを徹底したのは、1990年代の後半に、福岡放送、北陸報道、静岡第一テレビでCMの「間引き」事件が発生したからである。CM「間引き」を防ぐために、米国の監視システムを参考にして、CMに10桁コードを付し、コンピュータがCM「間引き」を監視するシステムを導入したのである。

アスカが過去の放送確認書を調査したところ、CMコードがないCM本数が1500件を超えていることが分かった。これについては、メディア黒書でも調査した。詳細は、次のエクセルに示したとおりである。(数値は、まだ確定していない。)

■CMコードの非表示件数(エクセル)

CMコードの非表示だけで、CMが放送されていないと判断するには十分だが、次の点も一応は考慮しなければならない。

たとえばプロ野球の中継が延長されたり、災害が起こって番組が変更になった場合などに、CMが放送されないことがある。この場合はもちろんCMコードは非表示になる。

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2016年07月30日 (土曜日)

1500件のCM「間引き」疑惑、CMコードについての博報堂・遠藤弁護士の誤った認識と弁解

多岐にわたる博報堂がらみの経済事件における取材対象のひとつに、CM(コマーシャル)の「間引き」疑惑がある。

※事件の全体の構図については、次の解説記事を参照に。

   ■解説記事・全体の構図

CM(コマーシャル)の「間引き」とは、クライアントと放送局(広告代理店を含む)が契約で取り決めたCMを、放送局が秘密裏にスキップして、料金だけを徴収する行為を指す。1997年に福岡放送でこの問題が発覚したのを皮切りに、その後、北陸放送と静岡第一テレビでもCM「間引き」事件が明らかになった。

そして今また新たなCM「間引き」事件が浮上している。疑惑の段階だが、取材を通じて、わたしは不正の確証を得ている。しかも、今回のケースは、大手広告代理店・博報堂がらみの疑惑である。

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2016年07月29日 (金曜日)

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

メディア黒書で断続的に取り上げている博報堂事件とは何か?こんな問い合わせが読者から寄せられた。そこで本稿では、事件の輪郭を説明しておこう。輪郭が分かれば、これは極めて単純な経済事件であることが分かる。

結論を先に言えば事件の中身は、博報堂が後付けの見積書によってアスカコーポレーションに提示した業務内容(もちろん金銭を含む)に実在しなかったり、消化不良になっている項目が多数含まれている疑惑である。枝葉末節はあるにしろ、事件の中心はこの部分にほかならない。

もちろん現在の段階では、疑惑である。確定ではない。

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2016年07月27日 (水曜日)

福島の被災地でもビジネス感覚の博報堂、アスカ支援のクリスマスイベントで「後付け」の高額請求1250万円

2011年3月11日に東北地方に襲いかかった大惨事の後、ボランティアの人々が、北から南から続々と被災地へ向かった。

その中で、ビジネスに視線を光らせるメディア企業があった。電通の最大のライバル、福岡では、電通を撤退させたこともある博報堂である。

◇メディアを巻き込んだ前代未聞の経済事件

博報堂とアスカコーポレーションの係争にみる経済事件では、メディア黒書が指摘してきたように博報堂によるさまざまな「不正」が発覚している。

たとえば通販情報誌を制作する際の博報堂による過去データの流用である。博報堂かテレビ局によるCMや通販番組の「間引き」疑惑である。博報堂がタレント料金が不自然に高くつり上げた疑惑である。さらには、次に紹介するイベントをめぐる「臨時」請求の件も見逃すわけにはいかない。

一見、さまざまな事件が交錯して複雑に感じられるこの経済事件であるが、根底にあるものは単純明快だ。後付けの「御見積書」により博報堂が請求対象にした膨大な業務が正しく実施されていたのかという点である。さらに架空請求や水増し請求はなかったのかという検証点である。

これらの点が裁判の争点になることはほぼ間違いない。司法判断とは別に、筆者は、不正の事実を複数つかんでいる。

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2016年07月25日 (月曜日)

福岡などを舞台とした「障害者郵便制度悪用事件」の発覚時、博報堂九州支社長を務めていた井尻靖彦氏が日本広告審査機構(JARO)の事務局長を務めている実態

福岡などを舞台とした「障害者郵便制度悪用事件」の当時、博報堂九州支社長を務めていた人物が公益社団法人・日本広告審査機構(JARO)の事務局長を務めていることが分かった。事務局長を務めているのは、博報堂の九州支社長などを歴任した井尻靖彦氏である。

JAROは、広告代理店や広告主からなる民間の自主規制機関で、ウェブサイトによると、次のような活動を展開している。

今日まで、消費者に迷惑や被害を及ぼすウソや大げさ、誤解をまねく広告を社会から無くし、良い広告を育む活動を行っています。消費者からの苦情や問い合わせをもとに、JAROは公平なスタンスで広告を審査し、問題のある場合は広告主へ広告の改善を促しています。

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2016年07月22日 (金曜日)

取材拒否の博報堂が発行した「後付け」見積書の疑問、代筆放送確認書とCMコード非表示の整合性はあるのか?

博報堂に対して繰り返し取材を申し入れているが、今のところ応じる気配はない。21日も広報部に取材を申し入れたが、係争中を理由に断られた。どうやら取材には応じないという社の方針があるのではないか。

取材対象の事件は、博報堂とアスカコーポレーションの係争である。昨年の12月に博報堂がアスカコーポレーションに対して約6億円の損害賠償を起こしたのに対して、今年5月、アスカコーポレーションも逆に約15億円の過払い金の返済を求めて提訴した。

その中で放送確認書のCMコードが非表示になっている事実や、博報堂がテレビ局に代って放送確認書を代筆していた事実、それに不可解な見積書の存在などが輪郭を現わしたのである。

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2016年07月20日 (水曜日)

博報堂が制作した不可解な新聞広告、前代未聞「世界初」のレイアウト

新聞のテレビ欄にレイアウトされた奇妙な広告。もともとは横長の長方形の広告なのに、それが新聞紙面上で縦にレイアウトされているので、読者は顔を横に寝かせるか、新聞紙面を反転させなければ、広告のキャチフレーズが読みにくい。写真で紹介されている商品も横転しているよう見える。

この爆笑を誘う前代未聞の広告が掲載されたのは2012年11月15日付け西日本新聞である。広告のクライアントであるアスカコーポレーションが言う。

「確かに弊社が西日本新聞に広告を掲載するように博報堂に依頼しましたが、その後、このような広告が掲載されていたことには気づきませんでした。通常、広告を出したときは、掲載紙が送られてくるのですが、その記憶もありません。こんな広告を掲載すると、読者は『この会社はバカか』と思うでしょう」

広告を制作したのは、博報堂である。次のPDFが問題の広告である。左下の細長い広告、「世界初」の箇所に注意してほしい。

■問題広告の出典

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2016年07月18日 (月曜日)

取材を要する奇妙な博報堂の見積書と、CMコードの非表示・代筆放送確認書の関係

博報堂とアスカコーポレーションの裁判の中で、次々と疑惑が浮上している。その中でもとりわけ放送倫理の観点から問われているのは、視聴率の偽装とCMコードが無表示になった放送確認書、それに通販番組の「休止→料金の請求→番組枠の転売」である。

放送に関係したこれら一連の問題をアスカが本格的に調査するようになった引き金は、わたしが取材したところ、博報堂の遠藤常二郎弁護士らが執筆した原告準備書面(2)だった。

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2016年07月15日 (金曜日)

博報堂の広告マンに電通も歯が立たずに撤退、京都きもの友禅とHISを巻き込んだ奇妙な「広告事件」

博報堂とアスカコポレーションの係争の中で、広告にまつわる奇妙な事件が発生した。アスカが発行する月刊通販誌に他社の広告が掲載されたのだが、広告主と博報堂の間で、取り引き契約が結ばれていなかった疑惑があるのだ。

事実、アスカに対する広告料金の支払いも行われなかった。博報堂も「広告費の差引計算がなされていない事実は」裁判書面(第2準備書面)の中で認めている。

ただ、損害額については、アスカが1260万円としているのに対して、博報堂は「否認」している。

この事件の渦に巻き込まれた広告主は、着物や宝飾の販売などを業としている京都きもの友禅と、旅行代理店のHISである。

支払いが履行されなかった広告が掲載された年月日は次の通りである。

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2016年07月12日 (火曜日)

博報堂事件、BPO(放送倫理・番組向上機構)に申し入れの総括、「番組休止→料金請求」3ケースと、ビデオリサーチ視聴率のかさ上げの事実

BPO(放送倫理・番組向上機構)という団体をご存じだろうか。この団体は端的に言えば、「放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関」(ウェブサイト)である。

視聴者から番組などに関する申し立てを受けて、BPOが重要と判断した問題に関して、意見を表明してきた。

このBPOに対して、筆者は先週、次の4件の申し立てを行った。

朝日放送が「噂のお買い得セレクション」(2011年3月15日、27:42~29:12の放送予定)を休止したにもかかわらず、クライアント(通販のアスカコーポレーション)に対して、CMを仲介した博報堂から料金が請求されていた問題。

■裏付け資料

テレビ北海道が「テレショップ」(2011年3月15日と22日、27:00~27:30の放送予定)を休止したにもかかわらず、クライアントに対して、CMを仲介した博報堂から、料金が請求されていた問題。

■裏付け資料

テレビ愛知が「サーズデープレゼント」(2011年3月17日の10:30~11:00の報道予定)を休止したにもかかわらず、クライアントに対して、CMを仲介した博報堂から、料金が請求されていた問題。

■裏付け資料

博報堂がクライアントに提示した番組提案書の中に記された視聴率のデータが偽装(ビデオリサーチのデータ)されていた問題。

■視聴率偽装一覧(エクセル)

  注:但し、上記資料の14ページのデータは、出典となっている番組提案書に記された数値が何を指しているのか曖昧なので、参考の数値とする。紛らわしい数値の提示により、クライアントに数値の意味を誤解させ、意図的に高い視聴率のような印象づけをさせようとする意図が感じられる。

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2016年07月10日 (日曜日)

博報堂事件、テレビ北海道とテレビ愛知でも「番組休止→料金請求」が発覚、休止番組を転売の疑惑も

通販番組が休止になったにもかかわらず、番組企画を仲介した広告代理店の博報堂が、放送枠の主であるアスカコーペレーションに料金を請求していた事件が拡大の様相を見せている。「番組の休止→料金請求」の不正パターンは1件でないことが分かった。

東日本大震災の混乱時期の事件で、博報堂に悪意があったかどうかは分からない。悪意があったとすれば、「火事場泥棒」ということになる。

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2016年07月09日 (土曜日)

防衛省に対して情報公開請求、「電通と博報堂が陸・海・空自衛隊に提出した請求書の全部」を開示せよ

筆者は防衛省に対して、8日、次の内容で情報公開請求の書面を送付した。

電通と博報堂が陸・海・空自衛隊に提出した請求書の全部

■情報公開請求書PDF

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2016年07月08日 (金曜日)

朝日放送による「番組の中止→料金請求」問題で放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立て、

BPO (放送倫理・番組向上機構)に対して筆者は次の申し立てを行った。

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番組名:噂のお買い得セレクション

放送局名:朝日放送

放送日:2011年3月15日

放送時間:27:42~28:12

続きは、次のPDFで。

■申し立て内容、証拠①、証拠②(全3ページ)

ここで示した「噂のお買い得セレクション」をめぐる問題は、筆者が取材しているテレビ関連の事件の一部に過ぎない。氷山の一角だ。視聴率の偽造やCMの「間引き」疑惑なども発覚している。

博報堂の事件は、日本の放送界を舞台とする前代未聞の経済事件の様相が強い。テレビ界の在り方が根底から問われているのである。ある意味では、新聞社の部数偽装問題よりも深刻だ。テレビは圧倒的な影響力を持つからだ。

それが後述するように、関係者の極端な「拒否反応」を生んでいる原因かも知れない。

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