「新聞没落」が現実に、8月度のABC部数、朝日が約37万部減、読売が約40万部減、浮上してきた折込広告の水増し問題
に2019年8月度の新聞のABC部数が明らかになった。新聞没落の傾向に歯止めはかからず、この1年間の減部数は、朝日が約37万部、読売が約40万部、毎日が37万部、日経が約10万部という結果になった。
最近、メディア黒書へ寄せられた複数の情報から察して、「押し紙」は従来に比べると相対的には減ったものの、依然として大量にある。しかし、新聞販売店の経営が悪化して、「押し紙」を減らさなければ、販売網が維持できない状態になっている。ABC部数の大幅な減部数は、その裏返しである可能性が高い。
新聞社経営は限界に来ている。折込広告の需要が大幅に減って、折込広告の収益で、「押し紙」により販売店が受ける損害を相殺できなくなっているからだ。新聞販売網が危機的な状態になっている。
8月度の中央紙のABC部数は次の通りである。()は前年同月比。
朝日:5,421,982(-371,443)
毎日:2,331,493(-368,297)
読売:7,945,137(-400,985)
日経:2,293,805(-99,390)
産経:1,361,847(-79,739)
◆ビジネスモデルの破綻
新聞社経営が限界に達しているのではないかと噂されるようになったのは、わたしの理解では、読売の「押し紙」政策が最高裁で確定(真村訴訟)した2007年の翌、2008年からである。雑誌各社が、「新聞没落」といったタイトルの特集をはじめた。
【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由
しかし、現在も新聞社は経営をなんとか維持している。その理由は、新聞販売店に折込広告の「折り込め詐欺」を暗黙のうちに強いて、その稼ぎを新聞の販売収入というかたちで徴収し続けてきたからにほかならない。
が、折込広告が減って、このようなビジネスモデルが破綻しはじめている。繰り返しになるが折込広告の激減がその原因である。今後、折込広告の受注が少ない新聞社からリストラを迫られる事態になることは間違いない。
ちなみに折込広告には、地方自治体が発行している広報紙も含まれている。広報紙の水増しも東京都江戸川区で発覚して、その悪質な手口が明らかになった。
【参考記事】『広報えどがわ』の水増し問題、江戸川区新聞販売同業組合が区に対してABC部数を超える部数を発注させていた決定的証拠