安倍内閣の支持率低下も、低迷を続ける野党各党の政党支持率、背景に根本的な方針の誤りか?
メディアの世論調査が安倍内閣不支持の傾向を顕著に示している。
毎日新聞が21日と22日に実施した世論調査によると、内閣支持率は30%。不支持率は49%だった。
また、朝日新聞が14日と15日に行った世論調査では、内閣支持率が31%で、不支持率は52%だった。
他のメディアによる世論調査も同じような傾向を示している。
もっとも、筆者は日本のメディア企業が実施する世論調査は、恣意的にデータが改ざんされている可能性が多分にあると考え、全面的に数字を信頼していないが。およそ公式のデータというからには、その裏付けを示す必要があるが、発表されるのは、数字だけなので、説得性に欠けるのだ。それに昨今の政治家や公務員、それにメディアの腐敗ぶりを目にしていると、彼らにとって数字の操作ぐらい当たり前の事なのかも知れないと思ってしまう。
が、それはともかくとして、データが大まかな傾向を反映しているという前提で、以下、ある興味深いポイントを指摘したい。結論を先に言えば、いくら内閣の支持率が落ちても、現在の野党の支持率がほとんど上下しない状態が、少なくとも今世紀に入ってから、延々と続いていることである。民主党が政権を取った時代は例外だが、民主党への期待が幻想であることが明確になった後、「分裂民主党」も低い支持率を延々と続けてきた。
たとえば、次に示すのは、共産党の支持率の変遷である。出典はNHKである。
2001年1月 3.0%
2005年1月 2.5%
2010年1月 1.9%
2015年1月 3.7%
2016年1月 4.2%
2017年1月 3.2%
2018年1月 3.6%
18年の期間で、支持率は1%もアップしていないのである。
他の野党についても、同じ傾向が見られる。■出典
◇広義の「レイシストしばき隊」と共闘
共産党の設立は1922年だから、ほぼ1世紀にわたって政治活動を展開してきたわけだが、国民の3%から4%の支持しか得られていない。もちろん戦争に反対した戦前の活動には評価する点が多いが、戦後、一応の言論の自由が保障された社会で、低迷し続けたのは、やはり方針が間違いっていたと考えるのが妥当だろう。
たとえば広義の「レイシストしばき隊」と共闘した「市民運動」は見直すべきだろう。住民の支持を得られていない。「レイシストしばき隊」という言葉を、インターネットで写真検索すると、驚くべき写真が出てくる。もちろん検察で出てきた写真の中には、検索対象とは関係のないものも混じっているが、最初のページに現れる写真の多くは、この反社会的なグループの性格を示している。
◇短期間で政権に就いたFMLN
繰り返しになるが、党を設立して100年のあいだ活動しても、国民の支持が3%か4%しか得られないということは、やはりどこかに問題があるのだ。
これに対して世界には、短期間で政権を取った政党もある。たとえば筆者が取材対象にしている中米のケースを見てみよう。
エルサルバドルの現在の政権党であるFMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)の設立は、1980年10月である。そして、和平を経て、選挙で政権を取ったのは、2009年6月である。設立から26年で政権の座に就いているのだ。
ニカラグアの現在の政権党であるFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)の場合は、元々の設立は1930年代に米国海兵隊がニカラグアを占拠した時代であるが、その後、壊滅し、再建されたのは1960年代である。1972年の大震災で首都が崩壊した後、海外からニカラグアに向けた支援金を、当時の独裁者が横領したのを機に、国民の不満が高まり、1979年にFSLNと住民が独裁政権を倒した。
キューバに至っては、グランマ号がキューバに上陸したのは、1956年で3年後には政権を取っている。
時間をかけて運動を展開しても、基本的な方針を誤ってしまえば、道は開けないようだ。
【参考記事】「しばき現場」の録音からテレ朝「セクハラ現場」録音まで、 録音記録に基づかない主張、被害者が逆に冤罪捏造者にでっちあげられる危険性
写真:エルサルバドルのラジオベンセレーモス局