東京都議選、自民党と都民ファースト、看板は異なるが中身は同じ、大がかりな騙しの手口がまたまた登場
東京都議会議員選挙が6月23日からはじまる。改めていうまでもなく注目されているのは、小池百合子氏がひきいる都民ファーストがどこまで票をのばせるのかという点である。
各種の世論調査によると、都民ファーストと自民党がほぼ肩を並べているようだ。当然、両者の何が違うのかという点が気になる。
結論を先に言えば、筆者は両者には、根本的に異なる点はないと考えている。まず、小池氏の思想面についていえば、安倍晋三氏に近い。自民党時代には、憲法記念日を祝日から外すように提案したり、戦後の民主教育を批判している。
第1次安倍内閣の時代(2007年)、女性初の防衛大臣に就任した。同年の10月に行われた日本会議の設立10周年大会開催では、次のようなメッセージを送った。
叡智の結果を
『日本会議・日本会議国会議員懇談会設立十周年記念大会』のご盛会をお慶び申し上げます。
誇りある国づくりのため、皆様の叡智を結集していただけますよう祈念しています。
貴会議の今後益々のご発展と、ご参集の皆様の尚一層のご健勝をお祈り申し上げます。
◇公明党と共謀罪と小池
小池氏の思想は、安倍晋三氏とほとんど同じである。ところが加計学園や森友学園の問題で、自民党の形勢が悪くなると自民党を離党した。このような動きに反応しているのが、「仕掛け人」の公明党だ。都民ファーストとの共闘を方針として打ち出している。
公明党は共謀罪という極めて危険な法律の成立に「貢献」した政党である。その政党と共闘するわけだから、小池氏は表向きはクリーンでも、内面は真っ黒だろう。本質的な部分では、安倍氏と同様に「日本会議」派なのだ。
◇新党という偽りの看板
都民ファーストと自民党は、名前は異なるが中身は同じというのが筆者の見方だ。都民ファーストは、落ち目になった自民党の受け皿になり、結局は自民党よりの政策を継続すると見ている。
それどころか都民ファーストは地方政党であるから、地方にさまざまな権限を委ねて、中央政府はスリム化する安倍内閣の新自由主義の政策とも合致しているのだ。新自由主義の流れという点では、財界から見れば「順当」なのだ。
自民党が落ち目になると、かならず新党なるものが登場する。名前だけはいつも斬新だ。新自由クラブ、新進党、民主党、民新党・・・・。その新党に大多数の国民がまんまとだまされる。それがここ25年ほどの同時代の政治史である。このようなパターンの生みの親が小沢一郎氏であることは論を待たない。
◇小選挙区制と小沢一郎氏
1993年、小沢一郎氏は、自民党を飛び出して、新党を結成した。構造改革=新自由主義の導入に躊躇(ちゅうちょ)している自民党に飽き足らなかったのである。財界も小沢氏を支持した。これに慌てた自民党も、ようやく構造改革=新自由主義へと舵を切った。構造改革=新自由主義の導入を2大政党で競う構図が生まれたのである。
このような流れに連動して導入されたのが、小選挙区制だった。その旗振り人は、小沢一郎氏である。そして、結果として自民党が議席の大多数を占めて、安保関連法から特定秘密保護法、それに共謀罪法までとんでもない法律が次々に成立したのである。
最初に構造改革=新自由主義の導入を叫んだのは、小沢氏だったが、結局、これをドラスチックに導入したのは、小泉内閣だった。その結果、社会格差が広がり、民主党政権の時代に若干の修正を迫られたが、結局は安倍政権へと「改革」が引き継がれた。民主党政権が構造改革=新自由主義に歯止めをかけたわけでもなかった。
つまり小沢氏が台頭した時代から、安倍政権の時代まで、共産党や無所属議員などによる反新自由主義の動きはあるものの、基本的には2つの政党が構造改革=新自由主義の導入を争ってきたのである。それが実は、それが日本の政治の諸悪の原因なのだ。
そして今度は、その「騙し」の役割を都民ファーストが引き受けようとしている。この政党が中央へ進出すれば、間違いなく没落する自民党の受け皿になるだろう。
日本の政治の構図は、複雑なようで実は極めて単純だ。