1. 大手広告代理店に配慮か?テレビ朝日の匿名記事、「遺伝子組換え等のイベントで金銭払い“肯定ツィート”」

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2018年08月17日 (金曜日)

大手広告代理店に配慮か?テレビ朝日の匿名記事、「遺伝子組換え等のイベントで金銭払い“肯定ツィート”」

テレビ朝日が「遺伝子組換え等のイベントで金銭払い“肯定ツィート”」(15日)と題するニュースを配信した。この記事は、日本のマスコミの体質を露呈している。コメントする前に全文を紹介しよう。

遺伝子組み換え作物などの教育イベントについて、主催者側のPR会社が、一部の学生に金銭を支払ったうえで、肯定的なコメントをSNSに投稿させていたことが分かりました。専門家からは疑問の声が上がっています。

  日本モンサントは、2日に大学と共催で、遺伝子組み換え作物などの教育イベントを行いました。高校生や大学生ら54人が参加しましたが、PR会社が金銭を支払った学生27人に対し、ツイッターにイベントに関する肯定的な感想を投稿するよう促していたことが分かりました。投稿のなかには、「遺伝子について楽しく学べた」「遺伝子組み換えって危険なイメージがあったけど変わった」などがあります。

こうした宣伝手法について、日本モンサントとPR会社は、「投稿は学生の意思で、業界のガイドラインを遵守(じゅんしゅ)し、#ambassadorと書かれているため宣伝だと分かる」としていますが、投稿時、この表記のない書き込みが複数ありました。

PR会社は「学生側のミス」と主張しています。遺伝子組み換え食品について、政府は、安全性が確認できたものに限り流通を認めていますが、内閣府の調査によりますと、減少傾向にあるものの、35%が「不安を感じる」と答えています。こうしたテーマの宣伝方法として、消費者問題に詳しい弁護士は疑問を呈しています。

  日弁連消費者問題対策委員会・板倉陽一郎弁護士:「社会を二分するような問題に『こちらが良い』と何となく思ってもらうための手法。違法ではないが、難しい問題を皆で議論しないといけない時に簡単にどっちかに誘導しようというのは皆、不幸だと思う」■出典

◇故意に主語を省略する

まず、奇妙なのは記事で批判の対象となっているPR会社の社名が匿名にしてあることだ。PR会社とは、恐らく大手広告代理店である。モンサント社の名前は出ているが、広告代理店の方は匿名なのだ。

だれが金銭を払い、ツィッターを使って世論を誘導したのかを報じていないのである。PR会社は公的な要素が強く、匿名にする必然性はまったくないのに、自粛しているのである。

記事のタイトルもおかしい。主語が省いてあるのだ。本来であれば、広告代理店の名前を主語にしなければならない。日本のマスコミは、主語を故意に外す手口をよく使う。

たとえば筆者が取材している携帯電話基地局についての報道でも、主語を省いた例がある。読売が2011年9月に「増える環境過敏症」と題する連載記事を5回に渡って連載したのだが、4回目の記事に次のような表現がある。

同市(筆者注:延岡市)大貫町の三階建てマンション屋上にアンテナ三本が建ったのは〇六年秋。

アンテナが自力で建つはずがなく、本来であれば行為の主体を明確にするために、次のよう書くのが、初出記事の原則である。

KDDIが同市大貫町の三階建てマンション屋上にアンテナ三本を立てたのは〇六年秋。

日本のマスコミが自粛に自粛を重ねてきたことは周知の事実となっているが、いくら批判されても体質はまったく変わっていない。

 

【参考記事】なぜ遺伝子組み換え食品は危険なのか?米国で危険が指摘されている商品を日本で普及させる安倍内閣の愚策、種子法の廃止から猛毒イソシアネートの放置まで