1. 海上自衛隊が博報堂へ8年で5回もHPの再構築を発注、インボイスナンバーを外した「手作り」請求書で1000万円を請求

大手広告代理店に関連する記事

2017年07月15日 (土曜日)

海上自衛隊が博報堂へ8年で5回もHPの再構築を発注、インボイスナンバーを外した「手作り」請求書で1000万円を請求

昨日(14日付け)に続いて、防衛省から入手した博報堂によるPR活動で発生した請求金額(2016年度分)を紹介しよう。今回は、海上自衛隊である。(陸上自衛隊については、14日付けを参照)。

下記のデータは、博報堂が海上自衛隊へ送った請求書から拾った数字である。

海上自衛隊ホームページ(動画ページ含む)及び携帯サイトの作成、更新及び保守整備  10,152,000

メディアトレーニング:486,000  (6月10日)

メディアトレーニング:486,000  (11月2日)

メディアトレーニング:486,000  (7月8日)

メディアトレーニング:486,000  (1月12日)

自衛官募集CMの放映:2,073,600

メディアトレーニング:432,000(2月15日)

メディアトレーニング:432,000(4月3日)

付け資料・出典

◇8年で5回もHPを再構築

ホームページの作成とメンテナンスに約1000万円支出されているが、これは明らかに不自然だ。と、いうのも2015年度からさかのぼって過去7年間で、海上自衛隊は4回もホームページを再構築しているからだ。今回を加えると8年で5回目になる。不必要としかいえない。

【参考記事】 海上自衛隊のホームページ、博報堂が7年間で4回も再構築、1回につき約1000万円を請求

頻繁にホームページを再構築していることに加えて、価格そのものも異常だ。ホームページ構築費用は、法人用の価格で300万円程度である。個人用の価格であれば、30万円から50万円である。それが相場だ。

メディアトレーニングというのは、マスコミ対応のノウハウを教える講座のことだ。たとえば、広報担当者が記者の質問に答えたくない場合に、「記憶しておりません」と答えるノウハウなど。透明性が求められる公共機関の職員には、不要なものである。

これについても価格が異常に高い。聞くところによると講義は、2時間程度だという。とすれば、価格は5万円から10万円が常識だろう。広報担当者が10人も20人もいるはずがなく、1回やれば十分だろう。

◇故意に外されているインボイスナンバー

陸上自衛隊と同様に、海上自衛隊に提出された請求書も「手作り」のもので、コンピュータで出力されたものではない。、請求書のインボイスナンバーも外してある。(請求書の実物、ここをクリック)この種の請求書には、どのような問題があるのか、14日付けのメディア黒書から、以下、引用しておこう。

通常、企業が発行する請求書には、インボイスナンバーを付番することで、コンピュータと連動した会計処理を可能にしている。手動で処理していると大変な労力を要すからだ。会計処理を迅速に進め、しかも不正の防止にも効力がある。

コンピュータと連動したこの会計処理の原理は、クレジットカードのシステムを思い浮かべると分かりやすい。クレジットカードの番号が分からなければ、コンピュータは作動しない。従ってクレジットカードにナンバーの付番は不可欠である。

現在の会計システムも同じ原理で作動している。もちろん、インボイスナンバーがなくても、処理する方法はあるが、それは合理性の障害になるので、なるべく避けるのが一般原則である。従って正常な商取引では、あえてインボイスナンバーを付番しない合理的な説明はつかない。

博報堂の請求書から、インボイスナンバーが外してある事実は、これらの請求書が正規の会計システムとは別のところで、会計処理されている可能性を示唆している。もし、そうであれば会計監査もシステム監査も受けていないことになる。つまり裏金になっている疑惑があるのだ。

筆者は防衛省に対して、インボイスナンバーを外している理由を問い合わせたことがあるが、「答えません」という回答が返ってきた。

一方、博報堂の監査法人である「あずさ監査法人」は、取材を拒否している。