博報堂に対するクールビスPRの国家予算が10億円減、インボイスナンバーが欠落した疑惑の請求書は前年同様
環境省から博報堂へ支払われたクールビスPR費が、1年間に大幅に削減されたことが分かった。筆者が環境省から入手した資料によると、2016年度のクールビスPR費(博報堂分)の総計は、約2億8400万円だった。
前年の2015年度は、12億円を超えていたので、大幅なカットが行われたことになる。ただ、カットされた分が、他の広告代理店へ支払われている可能性もある。
2016年度のクールビスPR費(博報堂分)の詳細は、次の通りである。
①平成28年度地球温暖化防止コミュニケーター等養成委託業務に係わる委託費:101,913,903円 【裏付け】
②地球温暖化対策のための低酸素アクション促進事業(クールビス)委託業務に係わる委託費:39,906,696円 【裏付け】
③地球温暖化対策に係わる国民運動普及啓発(イベント等PRの実施)委託業務に係わる委託費:92,000,000円 【裏付け】
④地域における地球温暖化対策の取組動画募集等委託業務に係わる委託費:
49,994,878円 【裏付け】
◇過去には3年間で90億円が博報堂へ
クールビスには多くの企業が参入し、巨大な利権がからんでいる。そのために政府広報(新聞広告やテレビCM等)で、政府が地球温暖化防止をPRして、関連産業を間接的にPRする手法が取られてきた。国費を私企業のPRにあててきたと言っても過言ではない。
そのPR費の出費は巨額で、昔から水面下で問題になってきた。
たとえば2007年には、この問題を民主党の末松義規議員が追及したことがある。その中で、3年間で約90億円のPR費が博報堂1社へ支払われたことが判明している。
2007年には安倍首相と昭恵夫人が、みずから新聞広告(冒頭写真)にしゃしゃり出て笑顔をふりまき、クールビスをPRしたこともある。
◇インボイスナンバーが不在
ところで2015年度のクールビズPRに関して、博報堂が環境省に発行した請求書には、インボイスナンバー(請求書番号)が付番されていなかった。
また、2016年度の請求書にも、やはりインボイスナンバーがない。当然、ある疑惑が浮上する。
インボイスナンバーは、書面の整理番号である。日本国民をマイナンバーでコンピューター管理するように、請求書はインボイスナンバーでコンピューター管理される。そして通常は、見積書や納品書のナンバーとひも付きになっている。
コンピューターと連動した会計システムを導入している企業(ほとんど全企業)は、インボイスナンバーを付番することで、コンピュータにより合理的に経理作業を進める。会計監査とシステム監査も合理的におこなう。
したがって、あえて正常な商取引でインボイスナンバーを外す合理的な理由は存在しない。
博報堂は、社内では付番していると説明しているが、なぜ、社内では付番して、社外向けには、ナンバーを外した別の請求書を送付しているのか疑問が残る。もちろんインボイスナンバーがない請求書の発行が違法行為ではないが、
コンピュータと連動した正規の会計システムとは別に経理処理している疑惑もある。裏金作りでこのような方法がよく使われる。従って、念のために会計検査院が調査する必要があるというのが筆者の考えだ。
誰がインボイスナンバーを外すように指示したのか、官僚も含めて、クールビスのプロジェクトにかかわった関係者を調査する必要がある。