文部科学省、“どんぶり勘定”で国家予算を博報堂へ支出、800万円の仕事と8000万円の仕事の違いに疑問
文部科学省が博報堂に依頼した「学校と地域の新たな協働体制の構築のための実証研究」と題するプロジェクトの成果物を開示した。
結論を先に言えば、成果物は、次のウエブサイトと、4枚の成果報告書だけである。
成果報告書の肝心な部分、たとえば「実証研究組織の構成」は黒塗りになっている。黒塗りにしなければならない程の情報とはとても思えないのだが。おそらく黒塗りの「クセ」が身に付いているのだろう。
◇どんぶり勘定の契約額
このプロジェクトの契約日は2015年の8月17日である。契約額は、8,004,355円。同じ年度に内閣府が、やはり博報堂との間で交わした「日本人の海外留学促進事業」のプロジェクトの契約額、約8000万円に比較するとはるかに安い。
しかし、成果物を見る限り、ロゴマークを含むウエブサイトの制作を除いて、ほとんど何もやっていないようだ。
博報堂の仕事を検証していると、社会通念に照らし合わせた場合、契約価格が異常に高いという印象を受ける。さらに発注する省庁の側も、どんぶり勘定で国家予算を支出しているとしか感じられない。
たとえば「学校と地域の新たな協働体制の構築のための実証研究」の契約額は、既に述べたように約800万円で、「日本人の海外留学促進事業」は、約8000万円である。両者の成果物に10倍の差があるとはとても思えない。
ちなみにメディア黒書のウエブサイト構築費は30万円である。法人を対象とした価格設定をするにしても、300万円が限度だろう。中小の制作会社に発注すれば、経費を大幅に削減できるのだ。しかも、職能はかわらない。
文部科学省では、天下りが問題になっているが、過去にどのような企業とどのような取り引きをしてきたのか、厳密に調査する必要があるのではないだろうか。300万円で構築できるウエブサイトに、800万円も支払えば、背任の疑惑が浮上するだろう。
◇再審請求
なお、文部科学省が開示した上記の2つの資料の大半が黒塗りになっていた問題(参考:冒頭写真)については、開示を求める再審請求を申し立てている。文部科学省が国民の知る権利を優先するのか、博報堂とのビジネス関係を優先するのか、まもなく答えが出るだろう。請求が棄却された場合は、訴訟になるだろう。
【参考記事】ウエブサイト9ページに2100万円を支出、国家公務員と博報堂の異常な金銭感覚、背任・詐欺の疑いも?