2014年11月19日 (水曜日)

鳩山検審に架空審査会の疑惑、いわくつきの請求書で浮上した裏金づくりの舞台裏、志岐武彦氏が新事実を指摘

小沢一郎氏に対して2010年9月に起訴議決を下した東京第5検審が架空だったのではないかという疑惑に続いて、鳩山検審(東京第4検審)も架空だった疑惑が浮上している。小沢検審について調査し、『最高裁の罠』を著した志岐武彦氏が入手した新資料で、重大な疑惑があることが分かった。

疑惑の内容を説明する前に、鳩山検審の発端となった鳩山事件にふれておこう。

鳩山事件とは、鳩山元首相が母親から18,000万円の譲渡を受け、秘書がこれを支援者120人からの献金として政治資金収支報告書に記載した事件である。市民から告発を受けた検察は、「私は秘書が偽装したことを知らなかった」とする鳩山氏の上申書をもらって、鳩山氏の取り調べをせず不起訴とした。これを不服とした市民が、2010年1月検審に申し立てをし、東京第四検審に割り振られた。小沢事件の起訴相当議決が発表された前日の4月26日に、東京第四検審は「不起訴相当」議決を発表した。(志岐氏のブログ「一市民が斬る)

◇架空審査会と裏金
結論を先に言えば、志岐氏は次の2点を疑惑として指摘している。

①検審が架空だった疑惑

②裏金づくりが行われた疑惑

「①」と「②」は、表裏関係になっている。実際には開いていない審査会を開いた事にして、事務処理するわけだから、架空の審査員の旅費や日当を支出しなければ辻褄があわなくなる。そこで架空の審査会には、必然的に、裏金づくりが連動するのだ。

こうした不正な経理処理を計画した場合に、不可欠になる書類のひとつがニセの請求書である。ニセの請求書により、たとえば旅費を支出して、架空審査員の口座(裏口座)に振り込むことで、裏金づくりは成立する。

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2014年11月18日 (火曜日)

訴訟のリスクを理解していない基地局の地権者、ドコモのように賃料が年間3000円のケースも

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルで、盲点になっているのが、賃料と引き換えに基地局の設置場所(たとえば、ビルの屋上や畑)を貸す地権者の責任である。

これまで九州では、7件の裁判が起きているが、被告はすべて電話会社で、地権者の責任が問われたことはない。

しかし、わたしが現場を取材した限りでは、基地局設置に反対している住民は、電話会社だけではなくて、地権者に対しても怒りを感じている。住民の健康を犠牲にして、賃料収入を得ているからだ。

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2014年11月17日 (月曜日)

朝日は派閥官僚体質の病根を絶て、社長辞任では解決しない朝日の再生

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

原発、従軍慰安婦報道批判を受け、朝日新聞社の木村伊量社長の辞任が発表された。しかし、社長辞任で何も解決しない。

今、安倍政権が、特定秘密保護法で人々の「知る権利」を根こそぎ奪いながら、集団的自衛権を容認し、「戦争の出来る国」にひた走っている。的はずれの批判で朝日が委縮。安倍政権に対抗する力を失い、権力監視のための調査報道など本来果たすべきリベラルジャーナリズムの役割まで朝日が放棄すれば、「いつか来た道」である。その時、反撃に出なければならない朝日の姿があまりにも弱々しいことこそ、問題なのだ。

「『報道の自由』を守れとは、朝日社員なら誰でも言います。しかし、『本気で言えば唇寒し』との空気がこの組織に流れて、もうどれほどの時間が経ったのでしょうか。このままにしておけば、やがて取り返しのつかない事態になります」。

私がこの手紙を当時の箱島信一社長に直接送ったのは、今から9年前の2005年。週刊朝日がサラ金会社から「編集協力費」名目で訳の分からないカネを受け取った武富士問題や若い記者による記事盗用など不祥事が表面化する直前のことだった。

「公共事業は諸悪の根源」シリーズを通してお読みの本欄の読者なら、もうとっくにご存知のはずだ。私は朝日から思わぬ記事の差し止めを受け、抗議したら記者職を剥奪、ブラ勤にまでされた。朝日内部で闘い、不当差別訴訟でも争った。だから、朝日のジャーナリズムとしての力が、何故ここまで落ちたかは、一番よく知っている。

でも、バッシング勢力の尻馬に乗るつもりはなかった。この時期は出来る限り、沈黙を守るつもりでもいた。私は木村社長とは、名古屋本社・社会部や東京・政治部でも一緒に仕事をした仲でもある。正直、朝日幹部の中で最も官僚タイプでない彼なら、改革の道筋をつけてくれるのではないか、との淡い期待も描いていた。

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2014年11月14日 (金曜日)

ソフトバンクの資料で裏付けられた総務省の電磁波対策の誤り、現在の基準値を10万倍厳しくできる決定的根拠

携帯電話の基地局設置をめぐり各地で住民とのトラブルを起こしているソフトバンクが、神戸市の住民グループに提示した資料が興味深い。「電波測定結果報告書」と題する次の書面である。

「電波測定結果報告書」PDF

ソフトバンクの広報部は、13日、この書面が間違いなく同社が作成したものであることを認めた。それはある意味では、大変な勇気である。無線通信事業を展開している企業にとって、極めて不利に作用するからだ。

この資料の存在は、11日付け「黒書」でも紹介した。次の記事である。

参考記事: マイクロ波の規制値を大幅に厳しくできる決定的証拠、ソフトバンクが測定した電力密度は国の規制値の5204万分の1

簡単に概略を説明しよう。神戸市鈴蘭台でソフトバンクと住民の間で、基地局設置をめぐるトラブルが発生した。住民は、基地局の撤去を求めている。一方、ソフトバンクは、基地局の安全性を主張する。

その根拠としてソフトバンクが住民に提出したのが、「電波測定結果報告書」である。そこにはソフトバンクが、現地で測定した電波密度が示されている。たとえば次の数値である。

SBの測定値:0.000019215808μW/c㎡

(電波測定結果報告書では、[mW/c㎡]の単位が使われているので、規制値の単位と同様に[μW/c㎡]に換算した)

「0.000019215808μW/c㎡」が総務省が定めた規制値をクリアーしているから、基地局は安全だというのがソフトバンクの主張である。
その総務省が定めている規制値とは、次の値である。

総務省の基準値:1000μW/c㎡

ソフトバンクが測定した数値は、規制値の5204万分の1である。実際、そのことがこの書面には明記されている。

ちなみに世界一厳しい規制値(厳密には、目標値)を設けているのは、ザルツブルク市である。

ザルツブルク市の目標値:0.0001μW/c㎡

ソフトバンクが公表した測定値は、「0.000019215808μW/c㎡ 」であるから、ザルツブルク市の目標値を軽々とクリアーしているのだ。

さて、ここからが重要事項だ。

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2014年11月13日 (木曜日)

携帯ビジネス関連の企業から、自民党の政治資金団体へ多額の献金、日本電機工業会から5000万円、ドコモから600万円、東芝から1400万円、2大政党制の影のカラクリ

携帯電話に関連したビジネスを展開する企業と自民党の政治献金を通じた関係が明らかになった。

自民党の政治資金団体・日本国民政治協会の政治資金収支報告書(2012年度分)によると、携帯電話3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)のうち、NTTドコモとKDDIが政治献金を送っていることが分かった。内訳は次の通りである。

1、NTTドコモ:600万円

■裏付け資料

2、KDDI:  300万円

■裏付け資料

ちなみにNTT関連では、次の企業も献金を行った。

NTTデータ:300万円
NTT都市開発:100万円

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2014年11月12日 (水曜日)

14日に特定秘密保護法違憲訴訟の原告団と弁護団が集会とデモ行進、19日には第3回口頭弁論

12月10日の特定秘密保護法施行が近づくなか、フリーランスのライターやカメラマン、それに編集者など43名が起こした違憲訴訟の原告団と弁護団が11月14日に、「秘密に光を!」と題する集会とデモ行進を行う。スケジュールは次の通りである。

【集会】

日時:11月14日(金) 17時~19時

場所:弁護士会館 5階 508号室

【デモ行進】

日時:11月14日(金) 19時50分~

出発場所:日比谷公園霞門(弁護士会館の向かい)

集会では、北大生の「私戦予備及び陰謀罪」の容疑で、警視庁公安部から自宅を家宅捜索されたジャーナリストの常岡浩介氏が、「私に対する強制捜査は秘密保護法施行の前哨戦だった」と題して講演するほか、違憲訴訟で尋問の申請を行う予定者が発言する。

メディア関係者はいうまでもなく、だれでも参加できる。

また、19日には特定秘密保護法違憲訴訟の第3回口頭弁論が行われる。スケジュールは次の通りである。

【第3回口頭弁論】

日時 11月19日(水曜日)15時30分~

場所 東京地裁103号法廷(大法廷)

参考:特定秘密保護法とは何か?『特定秘密保護法が12月10日に施行、突然の逮捕、「えっ、どうして私が」』

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2014年11月11日 (火曜日)

マイクロ波の規制値を大幅に厳しくできる決定的証拠、ソフトバンクが測定した電力密度は国の規制値の5204万分の1

次のPDF書面は、ソフトバンクが2003年2月7日に神戸市鈴蘭台にある携帯基地局の周辺で測定した電力密度である。

電波測定結果報告書PDF

この地区では、ソフトバンクの携帯基地局を撤去させる住民運動がある。ソフトバンクは、住民に安全性をPRするために、電力密度の測定を行い、公表したのだが、その数値は驚くべきものだった。何に驚いたのかといえば、数値の異常な低さである。

その「異常な数値」に言及するまえに、比較の基準にする代表的な規制値を紹介しておこう。

日本の総務省が定めている規制値は:1000μW/c㎡

 EUの提言値:0.1μW/m2 (室内は0.01μW/c㎡  )

  ザルツブルク市の目標値:0.0001μW/c㎡

これに対してソフトバンクが神戸市で測定した数値は、たとえば、③の地点では、次のようになっている。

0.000019215808μW/c㎡

(電波測定結果報告書では、[mW/c㎡]の単位が使われているので、規制値の単位と同様に[μW/c㎡]に換算した)

この数字を見て、読者は違和感を感じないだろうか?まず、世界一厳しいザルツブルク市の目標値である0.0001μW/c㎡よりも、はるかに安全な数値になっていることである。

ザルツブルク市の場合、目標値であるから、実際には目標値よりも高い数値が観測される可能性が高い。しかし、そのザルツブルク市の目標値を、ソフトバンクは軽々とクリアーしているのだ。

総務省が定めている規制値1000μW/c㎡と、ソフトバンク測定の0.00001921580μW/c㎡を比較すると、約5204万分の1になる。

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2014年11月10日 (月曜日)

司法の信頼ゆらぐ検察審査会制度を利用した東京地裁の経理疑惑、森本総務課長の説明とは裏腹に、会計検査院の公文書には1355万9000円の残金の記録

たとえば架空の会議を開いたことにして重要事項を決定する場合、会議に「参加」した「架空の参加者」に対する旅費や日当も支払ったことにして、帳簿に記入しなければ、会議開催の事実と経理の辻褄が合わなくなる。

結果、必然的に不正経理が発生する。が、裏金づくりの目的は、必ずしも金銭が第一目的とは限らない。アリバイづくりが主要目的になるケースもある。

小沢検審が架空だったのではないかとする疑惑の調査で、志岐武彦氏らが新たな事実を明らかにした。

志岐氏らが、東京地裁の森本総務課長に、小沢検審では、審査員に対する旅費支払いが大幅に遅れるケースが繰り返されていた理由--逆説的に考えると審査員が実在しないから、大幅な延滞が繰り返されても問題にならなかった可能性がある--を尋ねたところ、資金がショートしたと説明したことは、7日付けの「黒書」で報じたが、その後、市民オンブズマンの石川克子氏の調査により、十分な資金があった可能性が高いことが分かった。会計検査院の公文書でそれが判明した。

■会計検査院の公文書

この点を説明する前に、経理疑惑の経緯を再度確認しておこう。

◇志岐氏による取材経緯

MEDIA KOKUSYOでは、小沢検審が架空だった可能性を裏付ける客観的な資料を、志岐氏から入手して紹介してきたが、かりに小沢検審が架空だったとすれば、帳簿類も改ざんされていると考えるのが自然だ。

経理帳簿に関して、志岐氏の調査で次の事実が判明している。

審査員に支払う旅費の支払い手続きは、審査会が開かれた後、延滞することなく行われる。

ただし、2つだけ例外があった。それは小沢検審とH検審(匿名)だった。

このうち、小沢検審では、支払い手続きが大幅に遅れたり、複数回に及ぶ審査会に要した旅費を、後付でまとめて処理している。審査員が実際にいれば、通常はこのような処理はできない。次に示すのは、延滞状況をまとめたものである。

考:延滞状況のまとめ

「③」の理由を東京地裁の森本総務課長に質問したところ、次のように答えた。

「予算枠を超えたのでその資金手当てができず、支払手続を先送りした。3月19日に1人だけ支払ったのは立替え金額が大きいと判断したからである。」

つまり資金がショートしたという説明だった。

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2014年11月09日 (日曜日)

特定秘密保護法が12月10日に施行、突然の逮捕、そして「えっ、どうして私が」

【黒薮哲哉】 昨年12月に安倍内閣が成立させた特定秘密保護法が、12月10日から施行される。この法律は、戦前の治安維持法に匹敵する恐ろしい法律だという評価がほうぼうから聞こえてくるが、具体的にはどのような性質の法律なのだろうか。

厳密に説明すれば複雑になるが、ごく端的に言えば、日本が軍事大国化-解釈改憲の採用、名護市における新米軍基地の設置等-する状況のもとで、日米共同の軍事作戦を行う際に不可欠になる情報共有事項のうち、作戦上、秘密にしなければならない事柄を「特定秘密」として指定できる環境を整備するための法律である。【続きを読む】

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2014年11月08日 (土曜日)

松島みどり議員が去った法務省のシステムに疑問を呈す

発売中の「THEMIS」で、編集人の横田が「松島みどり前法相に続き 上川陽子法相でも法務官僚に動揺なし」というタイトルの記事を書いています。

脇が甘く傲慢な女性大臣が幸手も検察が支配する法務省人事は粛々と進む・・という小見出しの通り、ガチガチの人事システムに縛られた、「離れ小島」のような法務省。【続きを読む】

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2014年11月07日 (金曜日)

「小沢検審」にみる不可解な旅費支払い、島から来た審査員に4万円、支払遅れが6回にも

「架空」とは、「事実に基づかず、想像によってつくりあげること」(goo辞書)である。文藝の世界で架空の世界を創造しても問題はおきない。

ところが貨幣経済に支配された現実の世界で「架空」を設定すると、辻褄あわせのアリバイを設定しなければならない。

たとえば会議を開いていないのに、会議を招集したことにする。この架空会議の辻褄をあわせるために、参加者に旅費を出費したことにする。日当を払ったことにする。そのためにの経理帳簿を作成する。こうしたプロセスが必要になる。

◇「小沢検審」架空説

2010年9月14日に小沢一郎氏に対する起訴議決を行った東京第5検審(小沢検審)が架空だったのではないかという疑惑は、メディア黒書で繰り返し取り上げてきた。この問題を調査してきた志岐武彦氏は、『最高裁の罠』の中で、架空説を展開した後も、精力的に取材を続けている。

志岐氏が架空と推論する根拠については、次の記事を参考にしてほしい。

参考記事:『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』(紙の爆弾3月号)

今回、ここで紹介するのは、「小沢検審」架空説を裏付ける新たな根拠である。結論を先に言えば、架空審査会(小沢検審)に参加した「架空審査員」の可能性がある人々の旅費に関連した不可解な事実である。

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2014年11月06日 (木曜日)

携帯基地局のマイクロ波の規制値は世界的に緩い傾向、背景に人的被害よりも産業優先の国策

携帯基地局から発せられるマイクロ波の規制値には、グレーゾーンが多い。それゆえに誤解を招きやすい。

次に示すのは、2011年に総務省が発表した「平成22年度 電波防護に関する国外の基準・規制動向調査」と題する文書に記された国別の規制値である。1800メガヘルツの基地局を対象とした換算値である。

米国:1000μW/c㎡

カナダ:1000μW/c㎡

スウェーデン:900μW/c㎡

ノルウェー:900μW/c㎡

デンマーク:900μW/c㎡

ベルギー:225μW/c㎡

フランス:900μW/c㎡

英国:900μW/c㎡

ドイツ:900μW/c㎡

オーストリア:900μW/c㎡

スイス:6.6μW/c㎡

イタリア:100μW/c㎡(被曝限界) 、10μW/c㎡(注意値)

ギリシャ:441μW/c㎡

ロシア:100μW/c㎡

ポーランド:10μW/c㎡

この資料によって、わたし自身、マイクロ波の規制値に関する事実認識を改めなければならないことを自覚した。

これまでわたしは日本の規制値(日本:1000μW/c㎡ )だけが特別に緩やかで、欧米では規制値が厳しい傾向があると考えてきた。「黒書」にもそれを前提とした記述がある。

しかし、客観的に見ると、世界的に規制値が緩やかな傾向があり、例外的にスイスやポーランドなど低い国があると考えるのが、より事実に近いようだ。

あるいは、欧米では国とは別に、自治体や機関が独自にマイクロ波の規制値(厳密には、提言値や目標値)を定めているケースがあり、これらの数値は、国が定めている数値よりも極めて厳しいというのが事実である。

たとえばオーストリアの規制値は、900μW/c㎡ であるが、同国のザルツブルグ市の目標値は次に示すように極めて低い。

ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡

また、EUの提言値は次の値になっている。

EU:0.1μW/c㎡ (室内0.01)

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2014年11月05日 (水曜日)

特定秘密保護法が12月10日に施行、逮捕、そして「えっ、どうして私が」

昨年12月に安倍内閣が成立させた特定秘密保護法が、12月10日から施行される。この法律は、戦前の治安維持法に匹敵する恐ろしい法律だという評価がほうぼうから聞こえてくるが、具体的にはどのような性質の法律なのだろうか。

厳密に説明すれば複雑になるが、ごく端的に言えば、日本が軍事大国化-解釈改憲の採用、名護市における新米軍基地の設置等-する状況のもとで、日米共同の軍事作戦を行う際に不可欠になる情報共有事項のうち、作戦上、秘密にしなければならない事柄を「特定秘密」として指定できる環境を整備するための法律である。

しかし、問題は「特定秘密」の範囲が、際限なく拡大され、日米共同作戦に関連した「秘密情報」の領域をはるかに超え、公権力が隠したい情報の多くが、「特定秘密」として指定できる仕組みになっている点だ。

事実、特定秘密の指定を行う権限を持つ行政機関は、軍と警察に関連した機関だけではなくて、原発を含む次の19機関に及んでいる。

①国家安全保障会議
②内閣官房
③内閣府
④国家公安委員会
⑤金融庁
⑥総務省
⑥消防庁
⑦法務省
⑧公安審査委員会
⑨公安調査庁
⑩外務省
⑪財務省
⑬厚生労働省
⑫経済産業省
⑬資源エネルギー庁
⑭海上保安庁
⑮原子力規制委員会
⑯防衛省
⑲警察庁

これら19の行政機関が特定秘密に指定した情報は、特定秘密保護法の対象になる。

特定秘密の指定対象になる情報は、次の4項目である。

 防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止

これら4項目を見る限り、特定秘密の指定範囲は極めて限定されているように感じられるが、拡大解釈が一人歩きする可能性が高い。

一例をあげると、次のような状況が想定できる。

Aさんの自宅近くに携帯電話の基地局が設置された。Aさんは携帯電話から発せられるマイクロ波で体調を崩し、基地局の所有会社を総務省に問い合わせた。すると、

「基地局は緊急時における大事な無線通信網です。テロの標的になるといけないので、情報開示できません」

 と、言われた。

 説明に納得できないAさんが、その後もしつこく情報開示を求めた場合、Aさんは逮捕→裁判というリスクを背負う。

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2014年11月04日 (火曜日)

ABC部数激減のイギリスの新聞、フィナンシャル・タイムズは前年比で-15.65%、ABC部数を反映しない日本の新聞

次に示すのは、イギリスにおける新聞の部数変動である。The Sunなどタブロイド判の大衆紙を含む。下記の引用は、The Sunを例に引くと、次のようなデータ構成になっている。

The Sun・・・新聞社名、2,258,359・・・2013年8月のABC部数、 
(2,502,691)・・・2012年8月のABC部数、-9.76・・・対前年比

The Sun: 2,258,359(2,502,691)-9.76

Daily Mirror: 1,045,971(1,088,724)-3.93

Daily Star: 547,955(600,304) -8.72

Daily Record: 252,575(276,270)-8.58

Daily Mail: 1:802,083(1,914,126)-5.85

Daily Express: 530,631(550,502)-3.61

Daily Telegraph: 557,536(584,089)-4.55

The Times: 391,643 (407,720)-3.94

Financial Times: 236,281(280,124)-15.65

The Guardian: 189,646(204,271)-7.16

The Independent: 68,696(81,804)-16.02

i: 295,179 (281,530)4.85

イギリスの主要な新聞は、「i」を除いて、すべて部数を減らしている。しかも、なかには「Financial Times」(フィナンシャル・タイムズ)のように、前年比でマイナス15.65%にも達している新聞社もある。

これに対して日本の新聞の減部数率は、昨年の9月から今年の9月までの1年で、中央紙が4.16%、中央紙以外が4.59%である。

イギリスでは全般的に日本の新聞よりも早いスピードで新聞ばなれが進んでいる。しかし、日本のABC部数は必ずしも、実際に販売されている新聞の部数を正確に反映しているとは限らない。

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2014年11月03日 (月曜日)

革マルとの関係が指摘された民主党の枝野議員、NTT労組の政治団体からは、08年度に400万円、12年度に200万円

政治献金の問題で、意外に盲点になっている領域のひとつに左翼や労働組合からの政治献金がある。もっとも、なにをもって特定の組織を「左翼」、あるいは「労働組合」と定義するのかは、議論の余地があるが、少なくとも表向きは反体制派ということが条件になるようだ。

安倍晋三首相が、「フェイスブック」で、「革マル派との関係が指摘される連合傘下のJR総連などから政治献金を受けていた民主党の枝野幸男幹事長を批判」(産経新聞)した。これが事実かどかは知らないが、「左翼」からの献金に関していえば、最も問題にしなければならないのは、NTTグループの労働組合で構成する政治団体「アピール21」から民主党への政治献金である。

2012年度(公表されている最新の政治資金報告書)の政治資金報告書によると、「アピール21」から多数の民主党議員に、「寄付」の名目で100万円単位の献金が行われている。「寄付」だけでも、35人に対して約2700万円が支出されている。

■2012年度政治資金報告書のうち「寄付」の明細

革マル派との関係が指摘された枝野氏の場合は、200万円の献金を受けている。

ちなみに同議員は、2008年度には、「アピール21」から、400万円の「寄付」を受けている。

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2014年11月01日 (土曜日)

吉田清治氏の証言と朝日の報道は本当に日韓関係を悪化させたのか?木村幹教授の客観的な論考

【黒薮哲哉】10月18日に「草の根アカデミー」の招きで、朝日バッシングを批判する講演を行った。タイトルは、「朝日バッシングと御用メディア&御用文化人」。次の動画(日本海賊TV)は、その時のものである。【続きを読む】

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2014年10月31日 (金曜日)

年間減部数率は地方紙が4.59%、中央紙が4.16%、衰退を逆手に取った言論統制

新聞の公称部数を示す9月のABC部数によると、以下に示すように中央紙よりも、地方紙(ブロック紙・子ども新聞等を含む)の方がより部数を減らしている。減部数率が高い。

地方紙の総計部数:1566万9925部(対前月差は、7万2273部)

これに対して中央紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)の総計部数は次の通りである。

中央紙の総計部数:2412万840部(対前月差は、3万4079部)

9月度の減部数率を整理すると次にようになる。

 地方紙の減紙率:0.46%(対前月比)
 中央紙の減紙率:0.14%(対前月比)

しかし、この1年の部数動向は、次に示すように、地方紙も中央紙もほどんど変わらない。

 中央紙の減紙率 4.16%(対前年比)
 地方紙の減紙率 4.59%(対前年比)

相対的に新聞産業の衰退が進んでいることを示している。

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2014年10月30日 (木曜日)

朝日バッシングの9月に読売が増やした部数はわずか8770部、9月のABC部数で判明、国民が見放したジャーナリズム

従軍慰安婦の問題で朝日新聞に対するバッシングが始まったのは、8月の下旬だった。この機に乗じて、読売新聞が「朝日叩き」のリーフレットをポスティングすると同時に、新聞拡販に乗り出したことは周知の事実である。

が、読売は肝心の購読者を増やすことに成功したのだろうか。次に示すのが9月のABC部数である。(括弧)内は対前月差。

【2014年9月ABC部数(読売朝刊)】  
読売(北海道) 210,259(-535)
読売(東京) 5,684,468 (9,102)
読売(中部) 159,489(181)
読売(大阪) 2,293,649 (17)
読売(西部) 797,781(-139)
読売(北陸) 96,968(144)
読売(合計) 9,242,614 (8,770)

結論を先に言えば、読売新聞が9月中に増やした部数は、全国でたったの8770部だった。読売の9月のABC部数は、924万2614部であるから、その1000分の1に満たない。拡販戦略に失敗したと評するのが妥当だ。

一方、週刊誌や月刊誌が「読者ばなれ」を報じていた朝日新聞は、本当に部数を減らしたのだろうか?

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2014年10月29日 (水曜日)

高市早苗総務大臣は3700万円、中川秀直元議員は4000万円、不透明なパーティー参加費による政治家の収入

政治と金の問題が浮上している。

わたしの手元に2010年度の自民党奈良県第2選挙区支部の政治資金収支報告書がある。高市早苗総務大臣のもので、数年前に入手した。

このうち収入欄の一部を紹介しよう。

高市早苗さんをみんなで激励する会:22,070,000(H22.5.17)
(イブニングセミナー&懇親会)  

高市早苗さんをみんなで激励する会:15,240,000(H22.12.8)

(裏付け資料PDF)

日本新聞販売協会:400,000(H22.10.29)

松庵山専行院:500,000(H22.3.18)

アイテック株式会社:500,000(H22.4.23)

株式会社 昭和:1,000,000(H22.5.13)

株式会社 日経サービス:2,000,000(H22.5.14)

高市氏が新聞業界から献金を受けていることは有名だが、ここでわたしが指摘したいのは、「高市早苗さんをみんなで激励する会」のパーティー収入である。2回のパーティーで得た総額3731万円の中身である。

中身の明細がなく、これでは政治資金の流れを公開しているとはいえない。

たしかに、パーティー参加費を支払った者の名前などを明かす義務はないが、有権者から見れば、だれが「献金」したのか気になる。

ちなみに政治資金パーティーの場合、参加費が20万円を超える支払いをした者は、氏名、住所などを公表しなければならないが、20万円に満たなければその必要がない。「パーティー参加費」の明細は、ブラックボックスの中だ。

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2014年10月28日 (火曜日)

視覚障害者にも容赦しないソフトバンク、今年4月から多摩市で携帯基地局の設置をめぐるトラブル

巨大ビジネスを展開するソフトバンクが、住民との間で次々とトラブルを起こしている。今年になってわたしが把握したものだけでも、3件。そのうちのひとつ、東京都多摩市のケースを紹介しよう。人権問題の側面が顕著に現れている。

◇携帯基地局と癌のリスク

初老にさしかかったころ両眼の視力を失った吉田綾子(仮名)さんは、今年の春から電磁波問題に巻き込まれている。吉田さんの自宅は、屋上に携帯基地局が設置された低層マンションの真向かいにある。窓を開けると、目と鼻の先に基地局が聳えているが、吉田さんはそれを自分の眼で確かめることができない。

ソフトバンクがこの基地局を設けたのは、半年前の4月だった。今のところ同社は、住民の抗議を受けて基地局を稼働させていないが、稼働が始まると、光が遮断された吉田さんの世界に容赦なくマイクロ波が忍び寄ってくる。

携帯基地局から放射されるマイクロ波による人体影響は、日本ではあまり報じられないが、世界的な問題になっている。二〇一一年にWHOの外郭団体である国際癌研究機関が発がん性の可能性を認定するなど、マイクロ波は健康リスクを高めると考えるのが常識になっている。世界各地で行われてきた疫学調査でも、危険を示す結果が導き出されている。

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2014年10月27日 (月曜日)

安倍首相が「共同通信加盟社編集局長会議」に参加、進むマスコミと政府の病理、背景に新聞に対する消費税の軽減税率適用問題など

蛙(かえる)を入れた器に冷水を注ぎ、コンロにかけて緩やかに加熱すると、蛙は水温の上昇を知覚できず、死にいたる。環境に順応すると神経が麻痺して、とんでもない悲劇を招きかねない。

10月24日、共同通信に加盟する新聞社編集局長らが集う「共同通信加盟社編集局長会議」が開かれ、安倍晋三首相が参加した。権力監視の役割を担っている新聞社の編集局長の会議に一国の長が参加するという非常識なことが起きたのである。世界に類なき異常事態である。

共同通信の加盟社は次の通りである。

北海道新聞、道新スポーツ、室蘭民報、東奥日報、デーリー東北、秋田魁新報、山形新聞、岩手日報、河北新報、福島民報、福島民友、下野新聞、茨城新聞、上毛新聞、千葉日報、神奈川新聞、埼玉新聞、日本経済新聞、産経新聞、SANKEI EXPRESS 、夕刊フジ、The Japan Times 、毎日新聞 、スポーツニッポン 、報知新聞 、日刊スポーツ 、サンケイスポーツ 、東京新聞 、東京中日スポーツ 、山梨日日新聞 、信濃毎日新聞 、新潟日報 、静岡新聞 、中日新聞 、中日スポーツ 、中部経済新聞 、伊勢新聞 、岐阜新聞 、北日本新聞 、富山新聞 、北國新聞 、北陸中日新聞 、福井新聞 、日刊県民福井、大阪日日新聞 、京都新聞 、奈良新聞 、神戸新聞 、デイリースポーツ 、山陽新聞 、中國新聞 、日本海新聞 、山陰中央新報 、四國新聞 、愛媛新聞 、徳島新聞 、高知新聞 、西日本新聞 、西日本スポーツ 、大分合同新聞 、宮崎日日新聞 、長崎新聞 、佐賀新聞 、熊本日日新聞 、南日本新聞 、沖縄タイムス 、琉球新報

首相官邸のウエブサイトに掲載された安倍首相のあいさつによると、「皆さんの前でこうやってお話をさせていただくのは3年連続」だという。わたしは安倍首相が3年前から編集会議に参加していた事実は知らなかった。

一国の長が全国の新聞社が共同で開催する編集会に参加した例を、わたしは知らない。軍事政権の国でも、こうしたことはあり得ない。それどころか軍事政権下の新聞社の中には、命がけで戦っているところも少なくない。

安倍首相自身がマスコミの影響力、あるいは世論誘導の道具としてのマスコミの利用価値を十分に自覚していることは、編集会議の場における次の発言でも明らかだ。

 本日お集まりの加盟社の皆さんを全部合わせると、発行部数はなんと3000万部であります。日本の全世帯の半分以上が、皆さんの新聞をとっている計算になります。社会への影響力は、凄まじいものがあると思います。

■出典:首相官邸

編集会議に参加した首相側も、参加を許可した新聞社側も、まったくジャーナリズムのルールをわきまえていないことになる。

新聞人の感覚は完全に麻痺(まひ)している。30年も40年も報道の仕事に携わってきて、一体、何を学んで来たのだろか?ここにも別の深刻な社会病理がある。

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2014年10月24日 (金曜日)

MEDIA KOKUSYOの有料会員(有料読者)の登録削除のお知らせ

有料会員(有料読者)の登録削除のお知らせ

MEDIA KOKUSYOの「有料会員(有料読者)」の登録を、25日付けで全員削除しました。これまでシステムの不具合でご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

来月に最後の決済が行われます。

既に何度か報告しましたが、ここ2年ぐらいの間、課金システムの不具合(登録できない、有料画面にアクセスしようとすると、契約が切れている、等の表示が出て、アクセスできない)が続いてきました。修復にも失敗しました。今後、サイトを構築したGMOクラウド社に対しては内部調査を依頼し、場合によっては損害賠償も視野に入れて対処します。

なお、サーバーの引っ越しはすでに完了しており、修復は最後の段階に入っています。カード会社も変更しました。有料会員の登録を削除したのも、カード会社の変更に伴うものです。

再登録の準備が完了した時点で、再度、告知します。
これまでの支援にお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いします。

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2014年10月23日 (木曜日)

吉田清治氏の証言と朝日の報道は本当に日韓関係を悪化させたのか?木村幹教授の客観的な論考

10月18日に「草の根アカデミー」の招きで、朝日バッシングを批判する講演を行った。タイトルは、「朝日バッシングと御用メディア&御用文化人」。次の動画(日本海賊TV)は、その時のものである。

■講演「朝日バッシングと御用メディア&御用文化人」

以下、いくつかのポイントを紹介しておこう。まず第一に、朝日が報じた吉田清治氏の証言が日韓関係を悪くしたとするネオコンの主張が事実なのかという点である。第二に、新聞記事の「誤報」に対して「謝れ」と主張するメンタリティーの評価である。

◇日韓関係悪化の本当の原因は?

朝日バッシングの中で週刊誌や月刊誌が組んだ特集記事の中には、皮肉なことに、比較的客観的に書かれていて、説得力のあるものも含まれている。

たとえば『中央公論』(2014年11月)に掲載された「朝日報道は実際、韓国にどのような影響を与えたか」と題する木村幹(神戸大学大学院教授)の論考である。さすがに研究者だけあって、客観的な事実に基づいて書かれた記事で、学ぶべき点がある。

木村氏は、日本の新聞が従軍慰安婦に関する記事を掲載した後、韓国のメディアがどのように反応したかを調査し、吉田証言によって、韓国の世論が大きく動いた事実はないと結論づけている。韓国のメディアが敏感に反応したのは、吉田証言よりも、むしろ1992年1月11日付けの朝日が報じた記事だという。それは慰安所の経営に軍が関与していたことを示す資料の存在をスクープしたものである。このあたりの事情について、木村氏は次のように述べている。

基本的には韓国の言説は、我が国のそれとは独自に展開している。その意味において、問題となっている朝日新聞の「誤報」がもたらした韓国側への影響はあくまで限定的である。

しかし、だからといって、慰安婦問題の展開において朝日新聞の「他の報道」が与えた影響が小さかったとは言えない事例がある。その代表例が一九九二年一月十一日になされた「軍関与示す資料」発見というスクープ報道である。注意しなければならないのは、この記事が少なくともその本文においては「誤報」ではないことである。この報道は、慰安婦への政府の「関与」は存在しない、と繰り返してきた日本政府の公式見解を覆す「内容」を持つものであった。

だからこそ、韓国メディアは即日、これを大々的に報道し、韓国の元慰安婦支援団体の運動も活気づき、デモ参加者は六倍にまで増加した。朝日新聞の報道のなかで、韓国における慰安婦問題の展開に最も大きな影響を与えたのは一連の「誤報」ではなく、間違いなくこの報道である。

ちなみに吉田証言に対して韓国が敏感に反応した記事をあえてあげるとすれば、木村氏によると、1991年11月22日付け北海道新聞の記事、「朝鮮人従軍慰安婦の強制連行『まるで奴隷狩りだった』-日本人元責任者が痛恨の告白-千葉在住の吉田さん」だという。原因は、①タイトルがセンセーショナルだったこと、②元慰安婦・金学順氏が実名を公表した時期で、韓国でも慰安婦問題の関心が高まっていたことなどである

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2014年10月22日 (水曜日)

朝日バッシングに見る国際感覚の欠落、雑誌ジャーナリズムにおける海外との質の差が顕著に

8月の下旬から始まった朝日新聞に対するバッシングは醜(みにくい)の一言に尽きる。これで雑誌の部数も大幅に減りそうだ。たとえ安倍首相から、新聞や書籍、それに雑誌に対する消費税の特別軽減措置を、「プレゼント」してもらっても、ダメージを回復するのは難しいかも知れない。

次に示すのは、10月初旬までに、週刊誌4誌が掲載した朝日関連の記事に割かれたページ数である。統計を取る作業を簡素に進めたために、多少、数字に誤差が生じた可能性はあるが、少なくともおおまかな傾向は反映している。

【週刊新潮】 
8月28日:5
9月4日 :4
9月11日:10
9月18日:12
9月25日:14
10月2日:9
10月9日:3
計:57ページ

【週刊文春】 
8月28日:4
9月4日 :10
9月11日:16
9月18日:10
9月25日:15
10月2日:17
10月9日:15
計:87ページ

【週刊現代】 
9月6日 :6
9月27日:4
10月4日:4
10月11日:5
10月25日:4
計:23ページ

【週刊ポスト】 
8月22日:4
8月29日:10
9月5日 :4
9月12日:7
9月26日:8
10月3日:12
計:45ページ

【注】連載コーナーで作家が取り上げた朝日関連記事は含まない。

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2014年10月21日 (火曜日)

小渕優子議員の自民群馬県第5選挙区支部から、東京ドームへ入場料84万円、明治座から寄付金24万円

小渕優子経産相が有権者を明治座に招待したり、ワイン、ベビー用品、化粧品、下仁田ネギなどの「品」を送っていたことが問題になっている。公職選挙法の第199条が、選挙区内の有権者に対する利益供与を禁止しているからだ。

実は小渕氏のお金の使い方については、わたしも2010年ごろに検証したことがある。その際に入手した政治資金収支報告書(群馬県選挙管理委員会・自由民主党群馬県第5選挙区支部)の2008年度分が手元にある。

それによると収入の欄に「観劇費」という項目は見あたらない。それにもかかわらず支出の欄に「会場費・観劇代」として、明治座に630万円を支払ったことを示す記録がある。かなり以前から同じ手口を使っていたことになる。

■会場費・観劇代として明治座に630万円(PDF)

つまり小渕氏が代表を務める自由民主党群馬県第5選挙区支部が、会場費・観劇費として630万円を自己負担したことになる。支援者から「会場費・観劇代」を集めて、それを明治座に支払ったのであれば、「接待」の類にはあたらないが、「会場費・観劇代」の集金は行われていない。

と、いうことは有権者を明治座に「接待」した可能性が極めて高い。

また、収入欄には、明治座からの寄付金24万円が記されている。

■明治座からの寄付金24万円(PDF)

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2014年10月17日 (金曜日)

吉田証言は本当に妄想なのか? 2005年のNHK「問われる戦時性暴力」でも朝日叩きの過ち

8月から始まった朝日新聞に対するバッシングの中で、従軍慰安婦の「連行」を告発した吉田証言は、ウソだったとする共通認識が広がっている。が、この点に関しては、当時の植民地政策や旧日本軍による戦争犯罪と照らしあわせてみなければ評価できない。一般論からすれば、軍による統治には残忍非道な暴力が伴っている。そんなふうに考えるのが常識である。

わたしも含めて「戦争を知らない世代」は、たとえば御嶽山(おんたけさん)での救助活動に励む日本の自衛隊員の姿をイメージしながら、軍人の世界を想像する。その際に植民地支配という歴史的な背景を考慮することはあまりない。

が、空想の世界と現実の世界には、必ず乖離(かいり)がある。その距離を埋めるには、実際に戦争が起きている地域に足を運んでみることである。

わたしは1980年代に中米のニカラグア、エルサルバドル、グアテマラを取材した。当時は、内戦のさなかで、軍隊による暴力が大問題になっていた。軍隊が村を急襲して、住民をトラックに押し込めて「連行」することなど、半ば当たり前だった。特に珍しいとは思わなかった。

「連行」の手口は単純で、軍がいきなりトラックで村に入ってきて、住民全員を中央広場(ラテンアメリカには、小さな村にも中央広場があり、そこにカトリック教会が隣接している)に集合させ、空き屋となった集落を、一斉に家宅捜索する。そして武器が発見された家の住人を連行したり、見せしめに村人の前で射殺することが当たり前に行われていた。

2013年の5月、中米グアテマラの裁判所は、内戦中にこのような犯罪を指導したリオス・モント元大統領に対して、禁固80年の判決を下した。冒頭の動画は、米国の映像ジャーナリストらが制作し、高い評価を受けたWhen The Mountains Tremble(1983年)の一場面である。

村に乗り込んできた軍隊(35秒~)、住民の拘束、家宅捜索の様子が記録されている。この時、カメラが入っていなければ、何が起こったか想像できる。

同じようなことが中国大陸で行われていたことは周知の事実になっている。グアテマラの比ではないかも知れない。たとえば731部隊による生体解剖の事実は、だれも否定できない。次に示すのは、731部隊に息子を連行された母親から、湯浅医師にあてた手紙の一部である。

湯浅医師は、生体解剖を行い、戦後、中国当局に拘束された。

湯浅よ。わたしは、お前に息子を殺された母親だ。あの日の前日、息子は路安の憲兵隊に引っ張っていかれた。わたしは憲兵隊までいき門の前でずっと見張っていた。次の日、突然門があいて、息子が縛られてトラックに乗せられて、どこかに連れていかれた。わたしは自動車の後を追いかけたが、・・・(『戦争と罪責』、野田正章著・岩波書店)

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2014年10月16日 (木曜日)

順天堂大学病院の血液内科受診者が急増、東京都も原発の汚染地帯か?特定秘密保護法の施行で隠蔽される情報

『アトピー解決篇』(鳥影社)の著者・吉岡英介氏のウエブサイトに、関東全域が福島第一原発を発生源とする環境汚染にさらされている高い可能性を示唆するデータが紹介されている。

同ウエブサイトによると、東京都文京区本郷にある順天堂大学病院の血液内科を受診する患者数が、3・11の後に急増しているという。

新外来患者は次の通りである。

2011年: 230人
2012年: 822人
2013年: 875人

吉岡氏によると「血液内科とは、悪性リンパ腫とか血球数の異常とか骨髄の異常などを診断治療する診療科」である。詳細情報へは、次のリンクでアクセスできる。

■http://www.minusionwater.com/juntendo

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2014年10月15日 (水曜日)

産経新聞、大阪で損害賠償を請求される、販売店とのトラブルか?

大阪地方裁判所の第1009号法廷(本館10階)で、本日11時、原告を民間人、被告を産業経済新聞社(本社:東京都千代田区)とする損害賠償請求事件の口頭弁論(証人尋問)が行われた。

第22民事部合議1係の担当で、裁判長は相澤眞木氏(第40期)、裁判官は小山恵一郎氏(第54期)および大畑拓也氏がつとめる。書記官は藤原義幸氏。

事件番号は、平成25年(ワ)第1670号。【続きを読む】

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2014年10月15日 (水曜日)

駅のキオスクからも多量の売れ残り新聞を回収、その一方で読売の即売は2002年から6倍に増、

 次に紹介するのは、過去にも何度か紹介した読売新聞の即売部数(駅やコンビニなどで販売される新聞)の変遷である。今年の部数は把握していないが、昨年までの部数を見る限りは、順調に増えている。

2002年7月に約2万5000部だったものが、2013年1月には、約15万3000部に。6倍の伸びである。

2002.7ー 12月平均:25,037

2008.7ー12月平均 :67,736

2012.7-12月平均 :151,657

2013.7-12月平均 :160,005

このような傾向は、朝日新聞や毎日新聞には見られない。

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2014年10月14日 (火曜日)

HOYA事件にみる株主提案権の侵害を助長させてきた裁判所の責任

【山口亮】

 

◇取締役8名に東京地裁が損害賠償命令

会社法305条1項に基づいて適法に提出されていた株主提案を、株主総会の招集通知に掲載しなかったとして、当時の役員らが「HOYA企業統治適正化委員会」の株主から提訴されていた。決着がついたのは、9月30日のこと。取締役らに「33000円の損害賠償を支払え」との判決(東京地裁民事45部、山田明裁判長、平成24年(ワ)14392号)が東京地裁で下され、耳目を集めた。

これで、「企業統治適正化委員会」の株主側は連勝したことになる。【続きを読む】

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