TPPで流入してくる薬漬け米国牛のリスク、日本産ブランド食品は輸出戦略の柱にはなりえない
【サマリー】TPP交渉の焦点のひとつは牛肉と豚肉に対する関税。どういう方向に転んでも、今後、米国から多量の肉が流れ込んでくる。その米国産の肉とは、「工場」で作られた薬品づけのものである。
TPPによる肉類の流入に対して、日本はブランド食品などの輸出で対抗する戦略だが、輸出規模が小さすぎてとても経済成長の推進力にはなれない可能性が高い。
【サマリー】TPP交渉の焦点のひとつは牛肉と豚肉に対する関税。どういう方向に転んでも、今後、米国から多量の肉が流れ込んでくる。その米国産の肉とは、「工場」で作られた薬品づけのものである。
TPPによる肉類の流入に対して、日本はブランド食品などの輸出で対抗する戦略だが、輸出規模が小さすぎてとても経済成長の推進力にはなれない可能性が高い。
2015年07月30日 (木曜日)
【サマリー】「2020招致計画委員会」の竹田恆和会長が、東京都へ約27億円の補助金を請求していた。東京都スポーツ振興局長宛てに、三幸商事が、「ピンバッジ(縦27mm×横15mm×厚1mm)」の買い入れ費として少なくとも約3200万円を請求していたことも分かった。
五輪・パラには常に高額な資金が動く。これから2020年へ向けて利権争いが激化するのは間違いない。加えて、スポーツの政治利用-観念論教育の推進にも拍車がかかりそうだ。
2015年07月29日 (水曜日)
【サマリー】ジャーナリスト・安田純平氏がシリアで消息を絶っているが、日本のメディアをほんの少数の例外を除いてこのニュースを報じない。これに対して海外のメディア、たとえば米国のニューヨークタイムスなどは盛んに報じている。メキシコのラ・ホルナダ紙も、やはり報じている。
日本でこの事件が報じられない理由は、国会で安保関連法案を通過させる動きがあることに加えて、特定秘密保護法がマスコミを委縮させている可能性が極めて高い。(詳細は、「ルポルタージュの窓」で)
2015年07月27日 (月曜日)
【サマリー】小沢事件における残された解明点は、捏造報告書を何の目的で誰が外部に持ち出し、インターネットで拡散したのかという点である。持ち出しのルートは、検察関係者が自ら持ち出すか、小沢裁判の被告側が持ち出すかのいずれしかない。
この点について過去の志岐VS森裁判で、小沢一郎氏と弘中惇一郎弁護士らを尋問することで検証される可能性があったが、結審によりそれも消えた。この事件の解明ポイントのひとつはこの点である。さらに外部に出た報告書をだれが何の目的で、インターネットを使ってばら撒いたのかも明らかにする必要がある。
【サマリー】「押し紙」による販売収入の中身は、実は折込広告の水増し収入と新聞社が販売店へ支給する補助金である。つまり純粋な販売収入ではない。このような性質の収入を販売収入として処理する行為は、粉飾決算に該当しないか?
毎日新聞の「押し紙」144万部から生じるいわくつきの販売収入の額を試算したところ、実に年間で259億円にもなった。新聞社経営に汚点がある事実を公権力が把握したとき、ジャーナリズムは成立しなくなる。日本の新聞社が抱えている「押し紙」問題とは、ジャーナリズムの問題でもあるのだ。
【サマリー】 1995年、テレビ朝日の「ザ・スクープ」が「高圧線の電磁波 人体への影響は?」と題するドキュメントを報じた。しかし、その後、この種のテレビ報道が途絶えている。その一方で配電からもれる低周波電磁波に遺伝子毒性があるとする研究が相次ぎ、2001年にはWHOも低周波に発ガン性の可能性があることを認定した。
低周波電磁波は配電線だけではなく家電製品からも放射されている。その意味では日常生活に深く浸透している電磁波で、ガンが増えている隠れた要因にもなっている。が、電磁波問題は電力会社・電話会社・電気メーカーの利権が絡んでいるので日本では報じられない。
【サマリー】1960年代に続いて70年代も「押し紙」が大問題になっていた。関係者は、「押売や包紙は文化国家の恥である」とまで発言している。
この「押し紙」問題を経理の観点からみると、「粉飾」の問題が浮上してくる。実際には読者に届いていない新聞から販売収入が発生したことにして経理処理するのであるから、当然、粉飾が必然的になる。東芝の比ではない。
当然、経営の好調さをPRしている新聞社が「押し紙」の経理処理のプロセスで販売収入を粉飾していないかどうかも検証する必要がある。
2015年07月21日 (火曜日)
【サマリー】ジャーナリストの安田純氏がシリアで拘束されている可能性が高まっているが、メディアはそれを報じようとはしない。軍事がらみの事件だけに特定秘密に指定されている可能性が高く、メディアもそれを警戒した結果ではないかと思われる。
一方、安保関連法案をめぐるニュースは、採決直前になって、NHKを含む大手メディアも法案に反対する動きを積極的に伝えたが、報道のタイミングが遅すぎた。採決直前に、あるいは法案が採決されてから報道しても意味がない。日本のメディアはますます権力構造に巻き込まれている。
【サマリー】 『山は果てしなき緑の草原ではなく』は、ニカラグアのFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)に加わった戦士が著した記録文学である。
大学生だった著者は、当時、ソモサ独裁政権に対峙していたFSLNに加わり、軍事訓練を受けるためにFSLNが拠点としているニカラグア北部の山岳地帯へ入る。
そこで著者を待っていたのは、都会とは異質の過酷な生活だった。
【サマリー】各種の世論調査によると、安保関連法案に反対する意見が圧倒的に多い。しかし、自公政権は、安保関連法案を強行採決した。この問題の根底には、現在の小選挙区制が民意を反映しないかたちで、議席を配分している実態がある。
小選挙区制の導入に努めた小沢一郎氏の責任は重大だ。小選挙区制を改めない限り、今後も民意とはかけ離れたところで政治が行われ、改憲、徴兵制へと進んでいく可能性が高い。
【サマリー】安保関連法案の本質について隠されている重要な点がある。それは企業の多国籍化と海外派兵の関係である。安倍内閣が目指しているのは、旧日本軍式の軍事大国ではない。海外進出企業の権益を政変などから守るための自衛隊の派兵である。こうした観点は、前世期までのラテンアメリカと米国の関係を検証すると明確になる。
特に中米では、米国のフルーツ会社の権益を政変から守るために海外派兵が繰り返されてきた。安倍政権は財界の要求に応じて、海外派兵の体制を構築しようとしているのである。それは同時に米国の要求でもある。
【サマリー】ギリシャ危機のキーワードは、「緊縮策」である。が、この「緊縮策」という言葉は分かりにくい。結論を先にいえば、それは新自由主義である。ラテンアメリカは、1980年から1990年代にかけてIMFより融資の条件として新自由主義を押しつけられた。その結果、財政が破綻した。
同じ悲劇がEU諸国で起ころうとしている。こうした実態に、エクアドルのラファエル・コレア大統領が警鐘を鳴らしている。
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
「国破れて山河在り」。でも、「山河」さえ壊したこの国の政治家と官僚に、「国の安全」を語る資質も資格もあるのだろうか。先の見えないこの国に行く末…。私は「杜甫」(とほ)の詩の1節を思い出しつつ、暗澹たる思いで三重県の伊勢湾河口から岐阜県にかけて長良川堤を歩いた。
「無駄な公共事業の典型」と言われた長良川河口堰。「本州で唯一、ダムのない川の環境を壊すな」との激しい反対運動が繰り広げられたのは1980年代後半から90年代。それを押し切り、国が堰の水門が閉じ、長良川を海から隔絶したのは、1995年7月だった。
それから20年。「豊かな恵みをもたらす『母なる川』の長良川を元に戻せ」と、あきらめずに堰の開門を求める人たちが地元には多く残っている。そんな人たちが5日に岐阜市で開いた集会「よみがえれ長良川、開門調査実現を」に、河口堰とは浅からぬ関係にある私も参加した。
2015年07月10日 (金曜日)
【サマリー】名誉毀損裁判は、裁判官のさじかげんで判決に差がでるケースが多い。判断基準があいまいだ。志岐武彦氏が歌手で作家の八木啓代氏に対して200万円の支払いを請求する名誉毀損裁判では、八木氏による多量ツイートが問題になっている。これらのツイートが名誉毀損があたるのか、実際のツイートを読者に公開した。
また、「窃盗」という言葉が争点になった「黒薮VS読売」裁判を再検証する。この裁判は、地裁と高裁が黒薮の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴し、黒薮に110万円の支払い命令が出た。
【サマリー】2015年1月に開かれた読売新聞社の新春所長会議で、渡邉恒雄グループ本社会長・主筆は、読売の広告収入が、ピーク時の1700億円から800億円までに落ち込んでいることを明かした。広告収入は新聞社の大きな収入源である。それが落ち込んでいる事実は、新聞社の広告を柱としたビジネスモデルの危機でもある。
が、この点を逆手に取れば、メディアコントロールも可能になる。自民党・大西英男議員の「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」という発言は、こうした状況下で飛び出した。
2015年07月07日 (火曜日)
元旭化成の役員で『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏が、多数のツイッターで名誉を毀損されたとして、歌手で作家の八木啓代氏を訴えた裁判の本人尋問が、7月8日に行われる。スケジュールは次の通りである。
日時:2015年7月8日、13時30分
場所:東京地裁634号法廷
この裁判は原告も被告も代理人弁護士を立てない本人訴訟である。そのために主尋問では、裁判長が志岐氏と八木氏を尋問するかたちをとる。また、反対尋問では、志岐氏と八木氏の双方がそれぞれ相手を尋問する設定になる。持ち時間は、双方とも30分。合計60分である。
2015年07月06日 (月曜日)
【サマリー】携帯電話基地局から放射される電磁波が人体に影響を及ぼすことはよく知られている。しかし、だからといって基地局から遠方で暮らしていれば安全ということにはならない。基地局が近くにない民家で、携帯電話をONにした状態で電磁波を測定したところ、基地局の近くよりも数値が高くなることが判明した。
化粧品会社DHCの吉田嘉明会長が、 澤藤統一郎弁護士に対して6000万円の支払いを求めた名誉毀損裁判の第7回口頭弁論が、1日に東京地裁で開かれた。提出書面の確認が行われた後、被告の澤藤弁護士が意見陳述を行い、裁判は結審した。
「マスコミを懲らしめなければならない」などの暴言を吐いた大西英男衆院議員の政治資金収支報告書を点検したとき、他の自民党議員の政治資金収支報告書を点検するときにもしばしば感じてきた違和感を抱いた。
わたしが感じた違和感とは、収入の明細がよく分からないことである。具体性の欠落である。むろんまったく収入の中身が記されていないというわけではない。法的に問題があるわけでもない。
あまりにも形骸化したシンプルな記入方法に、面食らったのだ。文は人なりというが、書面からも、大西議員の人間性が浮上してくる。
日本ABC協会という新聞や雑誌の部数公査(監査)を実施している団体がある。新聞の発行部数という場合、通常はABC部数を意味する。そしてこのABC部数を基準に、新聞に掲載される政府広報など、公共広告の掲載価格が決められる。
日本ABC協会は、日本で最も信頼のおける部数公査機関としての定評があるが、同時に新聞業界の内幕を知る人々のあいだでは負の評価もある。特に新聞販売店主の間では、「まったく信用できない」という評価が定着している。ABC部数が、新聞の実配部数と著しく乖離(かいり)しているからだ。
6月25日に開かれた自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、マスコミをつぶせと言わんばかりの発言が相次いだことが問題になっている。
このうち自民党の大西英男議員は、「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」と発言したが、これは大西議員が現在のメディア企業のどこに決定的な弱点があるかを見抜いていることを物語っている。
広告依存型のビジネスモデル--それは広告収入を主要な財源として、ジャーナリズム活動を展開するスタイルである。現在、「公共放送」を除く、世界の大半のメディア企業が広告依存型のビジネスモデルを採用している。インターネット・メディアも例外ではない。そこでは常に広告主に対する「自粛」が起きている。
しかし、この問題を考える時にややもすると一般論が先行して、盲点になりがちな領域がある。広告という場合、企業が出稿する広告やCMのイメージが強いが、政府や官庁、それに地方公共団体などがメディア企業に出稿する公共広告についても、ジャーナリズム活動にとって負の要素となる側面がある事実である。
公共広告を通じて、想像以上に巨額の金がメディア企業に流れ込んでいるのだ。それが新聞を、「政府広報」に近いものにしている要因のひとつである。
わたしは2012年12月、情報公開請求により、内閣府から2700枚を超える公共広告の請求書(2007年~2010年分)を入手して、朝日、読売、毎日、日経、産経の紙面広告に対して請求された金額を算出したことがある
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
「政治家は僕の人生から終了です」。大阪都構想の住民投票に敗れ、政界引退を表明したはずの橋下徹・大阪市長が1か月もたたないうちに政治の表舞台に躍り出た。
安倍首相と夕食を共にした翌日から、民主との決別・野党共闘の否定とも取れる矢継ぎ早の意見表明。いろいろポーズを取りつつも最終的には与党単独採決を避ける方向で、安全保障法制の憲法違反問題で窮地に立つ安倍首相へ助け舟を出そうとしていることが見て取れる。
橋下氏の政治家転身への軌跡をたどるとき、憲法9条を実質なきものにし、この国を米国とともに世界で闘う国にしたいとのメディアを含めた勢力が見え隠れする。
その橋下氏が国の転換点とも言えるこの時期に再び登場。まともな憲法論議もないまま、戦後長く続いた国是をいとも簡単に変えるキャスティングボードを握るとしたら…。改めてテレビ局によって育成された政治家が操る今の政治の危うさを問う。
2015年06月29日 (月曜日)
大阪府高槻市で起きている携帯電話の基地局設置をめぐるKDDIと住民のトラブルで、KDDI側は住民らが提案している公開討論への参加を見合わせる決定を下した。6月23日付けで同社が住民の共同代表に送付した通知で、明らかになった。
この問題の発端は、2014年6月に、KDDIと協和エクシスが、高槻市大和で「KDDI携帯電話用無線設備設置のお知らせ」と題するチラシを配布し、その後、実際に基地局を設置したことである。基地局の設置場所が民家の至近距離だったために、住民たちの間で電磁波の人体影響を懸念する声があがり係争になった。KDDIが、基地局を稼働できない状態が続いている。
両者は話し合いを続けてきたが、解決にはいたらず、住民側は膠着(こうちゃく)状態を打開すべく、2015年5月になって、KDDIに対し、専門家による公開討論の開催を呼びかけた。公開討論を通じて、多角的な視点から電磁波による人体影響について考えようと意図したのである。
住民側は発言者として、電磁波研究の第一人者である荻野晃也博士を人選した。荻野氏もそれを承諾。これに対してKDDI側は公開討論への不参加を表明した。
特定秘密保護法に対する違憲訴訟を提起しているフリーランスのジャーナリスト、編集者、映像作家からなる原告団は、6月27日(土)、明治大学で「秘密保護法、安保法制で、いよいよ戦争へ」と題する集会を開く。詳細は次の通り。
日時:2015年6月27日 13時30分~
開場、14:00開演、16:45終了
場所:明治大学駿河台キャンパス研究棟2F第9会議室
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
※リバティータワーの裏。大学北側に隣接する「山の上ホテル」の前に木立ちが茂っているところがあり、そこの入り口から入ると便利です。わからなければ「研究棟第9会議室はどこか」と聞いてください。
入場:無料
共催:秘密保護法違憲訴訟原告団、マスコミ世論研究所(草の実アカデミー)
6月3日、特定秘密保護法違憲《東京》訴訟で原告の寺澤有氏と林克明氏に対する本人尋問が行われた。当日は、閉廷後に手短な報告しかできなかったので、改めて報告集会を開くことになった。
集会では、尋問内容とその意味を解説するほか、いま大問題になっている安保法制、盗聴法拡大や司法取引導入に見られる刑事訴訟法改悪、秘密保護法の悪の三点セットで日本が戦争に向かっている状況を訴える予定。
プログラムは次の通り。
◎尋問報告1「墨塗り文書も出なくなる、は本当だった」原告・林克明
◎尋問報告2「自衛隊・隊員家族カードの衝撃」原告:寺澤有
◎東京訴訟の今
◎秘密保護法・刑訴法改悪(盗聴拡大・司法取引ほか)・戦争法 原告関係者の誰かを予定
◎各地の裁判報告と次回口頭弁論案内
時代をさかのぼること半世紀、昭和30年代には、すでに「押し紙」が深刻な問題として浮上していた事実は、日販協(日本新聞販売協会)が発行してきた『日販協月報』にも記録されている。
1963年(昭和38年)11月25日付けの同紙は、日販協の全国理事会が「押し紙」排除を決議したことを伝えている。決議は次の通りである。
新聞販売業界の安定と向上を阻害するものは「押し紙」「積み紙」である。われわれは「押し紙」「積み紙」を絶滅して明朗公正な取引の姿を実現するため発行本社および販売業者の自覚を強く要請する。
右決議する。
昭和三十八年十一月二十七日
社団法人 日本新聞販売協会全国理事会
この理事会には、大分県四日市で新聞販売店を経営する柚園要蔵さんという店主が上京して、飛び入りのかたちで理事会に参加している。柚園氏は、翌28日には、公正取引委員会を訪問して、「追起訴の打ち合わせを開始した」という。同氏は、これに先立ち、すでに公正取引委員会へ「押し紙」を告発していたのである。
共同通信社が20日と21日に行った世論調査は、安倍内閣の支持率47.4%(5月は49.9%)という数字を示した。また、朝日新聞がやはり20日と21日に行った調査によると、内閣支持率は39%(前回調査の5月16日、17日は、45%だった)だった。いずれも低落傾向が現れている。
もっともマスコミが権力構造に組み込まれている状況下で、メディア企業が実施している世論調査をどの程度まで信用してもいいのかという疑問は残るが。
6月3日に実施された特定秘密保護法違憲訴訟の原告本人尋問で、林克明氏に続いて、警察取材のスペシャリスト・寺澤有氏が証言台に立った。林氏がおもに情報公開や官庁の直接取材を試みる際に受けた特定秘密保護法の悪影響について証言したのに対して、寺澤氏は、「潜入」を含む非公式なルートを使った取材の際に受けた悪影響について証言した。
その中で寺澤氏は、2009年、栃木県小山市で起こった強盗事件を例に特定秘密保護法の危険な一面を指摘した。これは、パチンコ店の経営者で朝鮮総連の幹部でもあった男性の豪邸に「強奪犯」が入ったものの、次々と警察に逮捕された事件である。主犯とされた人物から逮捕直後に手紙を受け取った寺澤氏は、独自の取材に着手した。
寺澤氏の証言によると逮捕された容疑者らは、ある人物から強奪の芝居をするように依頼されていたという。目的は、北朝鮮への送金がらみの税対策という理由だったらしい。
この「策略」をもちかけて来たのは、マツダと称する人物。ところがマツダは、「犯行現場」にはいたものの、姿をくらませてしまったという。寺澤氏は、証言の中でマツダについて次のように述べている。
「その方は公安警察官か,公安警察官OBか,少なくとも協力者,スパイであることは間違いないと。」
かりにマツダが本当に警察関係者であれば、ジャーナリストとして寺澤氏がマツダの行方や素性を調査する行為が特定秘密保護法に抵触する可能性が出てくる。取材活動に支障が生じるのである。
寺澤氏は、この事件に菅生事件の構図がある可能性を指摘した。菅生事件とは、1952年に日本共産党を弾圧するために公安警察が共産党員に扮して、駐在所を爆破させた自作自演の冤罪事件である。ジャーナリストの故斎藤茂男氏により明らかにされた。
寺澤氏に対する尋問の詳細は次の通りである。尋問調書中の小見出しは、編集段階で便宜上、挿入した。
フリーランスのジャーナリストや編集者、それに映像作家などが起こしている特定秘密保護法違憲訴訟の第6回口頭弁論が去る6月3日に行われ、原告に対する本人尋問が行われた。原告から林克明氏と、寺澤有氏が尋問に応じた。
このうち最初に証言台に立った林克明氏は、実際に取材をする際に、特定秘密保護法により、どのような負の影響を受けたかについて詳しく証言した。
たとえば林氏は、情報公開制度を利用して、外務省と内閣府に対し、後藤健二さんらの人質事件に関する文書類と、安倍首相が海外で表明したイスラム国絡みの人道援助に関する文書類の開示を請求した。
これに対して、内閣府からは、文書そのものが存在しないという答えが返ってきた。これについて林氏は次のように証言した。
・・・・これまでの私の経験では,不開示の場合はその部分を墨塗りにして一連の文書が出されるということになっていました。ただ,今回の場合は文書不存在という一言で,全く文書が存在しないということですから,これはあり得ないことだと思いました。
外務省からは、いまだに開示通知が届いていない。そこで外務省に対して質問状を送り、電話で回答を求めたところ、「内閣府に聞いてくださいと言われました。」という。つまり内閣府は、林氏に対して文書類の不存在を明言していながら、実際には、情報公開の請求対象文書を保有している可能性が高い。
常識的に考えても、広義のイスラム国関連の公文書が存在しないなどということなどありえない。
それにもかかわらず請求文書を開示しない背景には、イスラム国関係の公文書については、特定秘密保護法を根拠に情報開示を禁じている可能性が極めて高い。
林氏に対する尋問の詳細は次の通りである。尋問調書中の小見出しは、編集段階で便宜上、挿入した。(寺澤氏に対する尋問調書は、23日に紹介する予定。)
ギネスブックに「押し紙」の項目があれば、「押し紙」世界一の認定を受けるのは、間違いなく日本の新聞社である。インターネットや週刊誌が、繰り返し「押し紙」問題を報じても、新聞社の経営陣は「押し紙」は存在しないと繰り返してきた。延々としらを切ってきたのである。
公取委も「押し紙」を取り締まる気がない。政治家は、「押し紙」という新聞社経営の一大汚点を把握し、故意にそれを放置することで恩を売り、新聞社を権力構造の歯車に巻き込んできた。それが自分たちにとってメリットのある世論を形成する手っ取り早い方法であるからだ。
こうした特殊な関係の中で、逆に新聞社の経営陣が政界に大きな影響力を発揮する異常事態が生まれて久しい。首相と新聞人の会食もあたりまえになっている。もちろんジャーナリズムが機能不全に陥っていることは論を待たない。経営上の汚点が招いた日本の悲劇である。
改めて言うまでもなく経営上の汚点とは、「押し紙」のことである。それゆえに「押し紙」問題を無視して、いくら新聞記者を罵倒しても、紙面を批判しても、ジャーナリズムの再生にはつながらない。
読者は「押し紙」制度がいつの時代に始まったかをご存じだろうか。厳密に言えば、昭和5年ごろにはすでに記録があるが、「押し紙」問題が頻繁に浮上するようになったのは、戦後、専売店制度が始まった後である。
6月18日、砂川事件の再審を求めている弁護士らが、国会の議員会館で記者会見を行う。
憲法学者らが安保法制案を違憲と解釈しているのに対して、安倍政権は依然として「合憲」を主張している。その根拠となっているのが、砂川事件の判例である。その砂川事件の再審を求める動きが活発になっている。
レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...
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西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...
『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...