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2024年09月21日 (土曜日)

モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ

福岡・佐賀押し紙弁護団  弁護士 江上武幸(文責)

2024年(令和6年)920

兵庫県で毎日新聞販売を経営してきたA氏を原告とする1億3823万円の支払いを求める押し紙裁判大阪地裁提訴しました。

請求金額の内訳は、預託金返還請求623万円販売店経営譲渡代金1033万円、押し紙仕入れ代金1億2167万です。

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2024年07月08日 (月曜日)

―モラル崩壊の元凶、「押し紙」― 西日本新聞・押し紙訴訟の報告

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責)

去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさんが、押し紙の仕入代金3051万円の損害賠償を求めた福岡地裁の裁判で、被告の担当員と販売部長の証人尋問が実施されました。双方の最終準備書の提出を待って、早ければ年内に判決が言い渡される見込みです。

押し紙は、新聞社が販売店に対し経営に必要のない部数を仕入れさせることをいいます。販売店への売上を増やすと同時に、紙面広告料の単価を吊り上げるためABC部数の水増しを目的とする独禁法で禁止された違法な商法で
す。

押し紙は、1955年(昭和30年)の独占禁止法の新聞特殊指定で禁止されてから約70年になります。このような長い歴史があり、国会でも再三質問に取り上げられてきたにもかかわらず、なぜ押し紙はなくならないのか、公正取引委員会や検察はなぜそれを取り締まろうとしないのか、押し紙訴訟に見られる裁判官の奇怪な人事異動の背景にはなにが隠されているのか、といった問題については、マスコミ関係者、フリージャーナリスト、新聞労連、独禁法研究者、公正取引委員会関係者、司法関係者など多方面の関係者、研究者・学者らによって更に解明が進められることが求められます。

新聞の発行部数は1997年(平成9年)の5376万部をピークに、2023年(令和5年)10月には2859万部と半世紀で約46%も減少しています。新聞販売店も2004年(平成16年)の2万1064店舗から、2023年(令和5年)の1万3373店舗と大きく減っています。

このまま推移すれば、10数年後には紙の新聞はなくなるだろうと予想されており、現在進行中の裁判の経過や背景事情について、時期を失せず皆様にお知らせすることはますます重要性を増しています。

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2024年05月01日 (水曜日)

読売新聞押し紙訴訟 福岡高裁判決のご報告 ‐モラル崩壊の元凶「押し紙」‐

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責)

2024(令和6年)5月1日

長崎県佐世保市の元読売新聞販売店経営者が、読売新聞西部本社に対し、押し紙の仕入代金1億5487万円(控訴審では、金7722万に請求を減縮)の損害賠償を求めた裁判で、4月19日、福岡高裁は控訴棄却の判決を言い渡しました。

* なお、大阪高裁判決の報告は、2024年4月13日(土)付「押し紙の実態」に掲載されていますのでご一読ください。

「バブル崩壊の過程で、私たちは名だたる大企業が市場から撤退を迫られたケースを何度も目の当りにしました。こうした崩壊劇にはひとつの共通点があります。最初はいつも小さな嘘から始まります。しかし、その嘘を隠すためにより大きな嘘が必要になり、最後は組織全体が嘘の拡大再生機関となってしまう。そして、ついに法権力、あるいは市場のルール、なによりも消費者の手によって退場を迫られるのです。社会正義を標榜する新聞産業には、大きな嘘に発展しかねない『小さな嘘』があるのか。それともすでに取り返しのつかない『大きな嘘』になってしまったのでしょうか・・・・。」(新潮新書2007年刊・毎日新聞元常務河内孝著「新聞社破綻したビジネスモデル」の「まえがき」より)。

大阪高裁と福岡高裁の判決をみると、裁判所は平成11年の新聞特殊指定の改定(1999年)を機に、押し紙については黙認から積極的容認に姿勢を転じたように見受けられます。

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2024年04月13日 (土曜日)

読売新聞押し紙訴訟 大阪高裁判決の報告

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責)

広島県福山市で読売新聞販売店を経営してきた濱中勇志さんが、読売新聞大阪本社に対し「押し紙(残紙)」の仕入代金1億1351万9160円の支払いを求めた裁判で、3月28日、大阪高裁は大阪地裁に続き請求を棄却する判決を言い渡しました。判決は大阪地裁が部分的に認定した「押し紙」の存在も取り消すという不当なものでした。独占禁止法の「押し紙」禁止規定の趣旨・目的に反する内容としか言いようがありません。

我が国の裁判官が、なぜ頑なに新聞社による「押し紙」の存在を認めようとしないのか?この疑問については、来週4月19日(金)に、福岡高裁で予定されている読売新聞西部本社を相手方とする別の「押し紙」裁判の控訴審判決の後に再考し、改めてみなさまに報告させていただくことにして、ここでは濱中さんの裁判に焦点を当て私の見解を述べてみます

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