2015年08月03日 (月曜日)
『ZAITEN』(財界展望)が利権がらみ2020年東京オリンピックを特集、メディアにとっては格好のビジネスチャンス
【サマリー】8月1日発売の『ZAITEN』(財界展望)が、『「東京五輪」強欲と亡国のカウントダウン』という特集を組んでいる。わたし(黒薮)も「電通と新聞・テレビ『五輪バブル』の皮算用」と題する記事を寄稿している。
この記事は2016年のリオ五輪・パラの後、2020年の東京オリンピックへ向けてメディア企業が五輪スポンサーと提携し、次々と五輪関連のイベントを企画して広告料を荒稼ぎするビジネスが台頭してくるという予想を述べたものである。
8月1日発売の『ZAITEN』(財界展望)が、桁外れに高額な建築費が批判の的になり、スタジアムの建設計画の全面的見直しを余儀なくされた東京オリンピック・パラリンピックの特集を組んでいる。総タイトルは『「東京五輪」強欲と亡国のカウントダウン』。
特集には4本の記事が掲載されている。わたしも「電通と新聞・テレビ『五輪バブル』の皮算用」と題する記事を寄稿している。
この記事は2016年のリオ五輪・パラの後、2020年の東京オリンピックへ向けてメディア企業が五輪スポンサーと提携し、次々と五輪関連のイベントを企画して広告料を荒稼ぎするビジネスが台頭してくるという予想を述べたものである。
この記事の取材を進める中で、最初に想像していたある現象が的外れだったことにわたしは気づいた。それは興味深いことなので、紹介しておこう。
新聞社・広告・オリンピック・スポンサーの利害関係を頭の中で組み立てた時、わたしはオリンピックが近づくにつれて、五輪に便乗した広告が増えて、大会の期間中にピークに達するだろうと思っていた。
が、この点について1964年の東京五輪、1998年の長野五輪、2012年のロンドンについて調べてみたところ、実際には広告の出稿量そのものはそれほど変化せずに、五輪に便乗した内容の広告が増えるだけに過ぎないことが分かった。それもこうした現象は開会式前後の時期だけに顕著に観察されるに過ぎない。
考えてみればこれは当たり前の現象といえよう。と、いうのも広告の出稿量は新聞の場合、全紙面の5割を超えてはいけないルールがあるからだ。
結局、五輪へ向けた広告収入の稼ぎ柱は、企業と提携した五輪関係のイベントに連動して生まれてくる広告収入のようだ。
◇1964年の東京五輪と広告
しかし、既に述べたように広告の内容(キャッチフレーズ)そのものは、五輪に便乗したものが増える傾向がある。たとえば1964年の東京五輪の場合、家電メーカーはテレビで東京五輪を見ることを売り物にした広告を次々と出稿している。
1964年の東京五輪が開幕した10月10日に、五輪に便乗した広告を出した企業は、わたしに見落としがなければ次の通りである。参考までに読売と朝日のケースを紹介しよう。
【読売】
・大和銀行
・タケダ化粧品(全面)
・高島屋
・名刺広告(全面)
・松下電器(全面)
・NEC
・旭化成(全面)
【朝日】
・三越
・松屋
・タケダ化粧品
・NEC
・セイコー(全面)
・IBM
・松下電器
・リコー(全面)
・シャープ
・旭化成 (全面)
・カルピス(全面)
・小田急