1. 経営コンサルタントが把握している新聞の減部数の実態、読者は高齢者中心

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2014年07月01日 (火曜日)

経営コンサルタントが把握している新聞の減部数の実態、読者は高齢者中心

日本新聞協会のウエブサイトによると、2000年度と2013年度の一般紙の総発行部数は次のようになっている。

2000年:47,401,669

2013年:43,126,352

減部数の割合は、13年間でわずか9%である。新聞離れが話題になり、新聞とは無縁の世代が占める割合が年ごとに大きくなっていると言われているにしては、統計上の部数はあまり減っていない。その原因は、おそらくこれらの部数の中に、広義の「押し紙」が含まれているからである。

が、数字とは裏腹に、新聞離れがかなり進行している実態があちこちで指摘されるようになっている。

◇経営コンサルタントの現状認識  

新聞購読者の数が右肩さがりに減っていけば、当然、近い将来に新聞販売店の経営が成り立たなくなる。こうした状況の下で、販売店の経営指導に乗り出す経営コンサルタントも登場している。かれら経営の専門家は職業上、どうしても科学的に新聞離れの客観的な状況を把握しなければならない。

虚偽の数字を前提にアドバイスしていたのでは、対策にならないからだ。

興味深いことに、経営コンサルタントの現状把握が、彼らのPR広告に色濃く現れている。次に引用するキャッチフレーズは、いずれも業界紙に掲載されたPR広告で使われているものである。

【1】  顧客を増やしたいのはどの業界でも同じです。新聞業界においては、無読者層が増え、インターネットの台頭で紙媒体が落ち込む中、20~40代の購読者を獲得することが急務だと存じます。しかし現実的に厳しい状況が続くのが予測されます。逆手に取れば、今お付き合いいただいている消費旺盛な50代~70代の方に、もっと購読していただける手段・手法または事業を検討いただく事をご提案申し上げます。

【2】   読者の高齢化は大チャンス!  新聞販売店にしかできないこと!  あれこれやるから「失敗」する!  スタッフに元気があれば何でもできる!  配達以外の「価値」を創造しよう!  販売店数が大きく減少する時代だからチャンス!

「1」「2」いずれのケースも、新聞とは別の物品の宅配へ参入することを提案している。かりに13年間に本当に9%しか、新聞の読者が減っていないのであれば、他業種に参入する必要性は生まれない。

と、なれば新聞協会の新聞部数に関するデータは、実配部数を正しく反映していない可能性が高い。新聞だけでは、販売店が経営できないほど、実配部数が減っていると考えるのが妥当だ。

ちなみに読売が新聞の販売部数で朝日新聞を抜いたのは、1977年。発行部数は、720万1056部だった。この時、経営コンサルタントが新聞以外の品目への宅配参入を提案したという話は聞いたことがない。

◇「押し紙」に関する2つの判例

読売の「押し紙」については、「押し紙」の存在を認定する判例と、認定しない判例がある。前者は、真村裁判の判決(福岡高裁・西理裁判長)。後者は新潮社とわたしを被告とする裁判(東京地裁・村上正敏裁判長ら)。

どちらの判例が正しいのか、今後、時間をかけて検証を続ける必要がある。裁判官は、普通の人には絶対に与えられることがない他人を裁く特権を国から与えられているわけだから、後日、判決が誤っていたことが事実で判明した場合は、当然、職を辞するべきだろう。