1. 「香害110番から見えてきたもの」、22日に市民団体が共同で院内集会、懸念される化学物質による人体影響

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2018年05月18日 (金曜日)

「香害110番から見えてきたもの」、22日に市民団体が共同で院内集会、懸念される化学物質による人体影響

化学物質による汚染問題に取り組んでいる市民団体が22日に、共同で院内集会を予定している。(衆議院第一議員会館、11時から入場証配布、11:30から13:30分)

最近、水面下で化学物質過敏症が問題になっている。マスコミが大々的に報じることはないが、ミニコミやウエブサイトでこの問題が取りあげられるようになった。

過去に化学物質の危険性が指摘された時期がいくつかある。記憶に新しいところでは、1990年代後半のダイオキシン、それに続く環境ホルモンなどである。そしていま「香害」が水面下で問題になってきたのであるが、その原因となる化学物質の中で、特に注目されているのは、イソシアネートである。

東京練馬区の内田義之医師(さんくりにっく)は、イソシアネートの毒性について次のように述べている。

 この化学物質は1960年代から、アレルギーを起こす物質として知られていました。昔は動物の皮膚に塗って、その動物をアレルギー状態にする際に使われてきました。ですからアレルギーを引き起こす化学物質であることは、かなり前から知られていたのですが、工業利用が優先されてきました。欧米では厳しい規制基準がありますが、日本ではほぼ野放しになっているのが実情です。

イソシアネートの用途は極めて広い。日常生活のいたるところに入り込んでいると言っても過言ではない。次のような製品だ。

 芳香剤、柔軟剤、化粧品、農薬、塗料、接着剤、アスファルト、コンクリート、加工繊維、合成繊維、

このうち化粧品への適用について言えば、化粧品の成分をマイクロカプセルと呼ばれる顕微鏡でしか確認できない微少のカプセルに閉じこめるのだが、カプセルの皮の原料にイソシアネートが使われているのだ。短期の使用では人体影響が少なくても、延々と使い続けた場合、化学物質過敏症などを発症するリスクが高くなる。

◇複合汚染のリスク

化学物質過敏症になると、引き金となった原因の化学物質とは別の化学物質にも体が反応するようになる。花粉症が増えている背景には、化学物質による汚染が進んでいる事情があるようだ。電磁波過敏症の増加の背景にも同じ事情がある。

【参考記事・メディア黒書】日本人の3%~5・7%が電磁波過敏症、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表

筆者は、電磁波による人体影響を取材してきたが、電磁波過敏症を発症する前段に化学物質過敏症を発症しているケースが多い。たとえば長野県のSさんのケースである。Sさんは電磁波が飛び交う都市部では生活に困難をきたすので、山間部の電磁波が少ない地域で暮らしている。

Sさんの職歴を聞いたところ、若い頃に水道の配管工事の仕事に従事していて、その時期に多量のボンドを吸い込んでいた。

東京目黒区のIさんの場合は、自宅でのウレタンコーティングの剥離作業が原因で急性の化学物質過敏症になり、その後、慢性化した。さらにその後、電磁波過敏症を発症した。

SさんやIさんのケースのように、ある種の複合汚染が癌などのリスクを高めることはいうまでもない。

◇第2のアスベスト

前出の内田医師によると、日本でイソシアネートの使用がほとんど規制されていない背景に、イソシアネートの代用品がまだ開発されていない事情があるのだという。使用範囲があまりにも広いので規制すると産業界が大きなダメージを受ける。広告依存型のメディアがほとんどイソシアネートの危険性を報じないゆえにほかならない。

次に紹介するのが、内田医師へのインタビューである。

【参考記事・ビジネスジャーナル】芳香剤や建材等の化学物質過敏症、急増で社会問題化か…日常生活に支障で退職の例も