新聞業界から150人を超える議員へ献金、背景に軽減税率の問題、90年代には「新聞1部につき1円」の献金も
次に示すのは、昨年公表された日販協政治連盟の政治資金収支報告書である。 昨年公表されたもので、2012年度の記録である。
これによると新聞業界は、優に150人を超える政治家に対して、政治献金を支出している。その背景に新聞に対する軽減税率の適用を受けたいという思惑があるのではないかと推測される。
日販協政治連盟の母体は、日本新聞販売協会(日販協)である。この団体は、全国の新聞販売店の同業組合で、新聞社とは極めて親密な関係にある。特殊指定(再販再度)が撤廃の危機に陥った2006年には、新聞社と共同歩調を取って、反対運動を展開した。
新聞販売店の位置づけが、表向きはともかく、実質的には、新聞社販売局の下部組織になっているので、共同歩調を取ること自体は特に不思議なことではない。が、問題は政治献金を支出してきた事実である。
◇「1円募金」という名の献金
もちろん業界団体が政治団体を結成して、政治献金を行う行為は、違法ではない。しかし、新聞はジャーナリズムであるから、政界に対して政治献金を繰り返していたのでは、たとえ窓口が日販協になっていても、大きな問題がある。
それに1990年代の初頭は、日販協が別のかたちの献金を行っていた。これは「1円募金」とか、「1円運動」と呼ばれていたもので、次のような驚くべき方法が採用されていた。具体例を出して説明しよう。
たとえば新聞2000部を配達している販売店を想定する。この店が負担する政治献金は、2000円。新聞1部に付き、1円の計算である。
同じ方法で各新聞販売店の献金額を決める原則があった。したがって3000部の新聞を配達している店は、3000円である。4000部の店は、4000円の計算になる。
新聞1部につき1円の献金といっても、当時、中央紙だけでも2700万部を超えていたから、大変な金額の金が集まっていた計算になる。日販協の組織率を5割としても、金額の大きさにはかわりがない。
こんなことが水面下で行われていたのである。その体質が現在は、日販協政治連盟を通じた政治献金の支出となって現れているのだ。
政治献金を支出して、新聞に対する軽減税率の適用を求める行為。これはどのような観点から見ても許される行為ではない。同時にニュース性が極めて高い話題だ。
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