1. 催告書の名義を偽って他人を裁判にかけることが許されるのか? 明日、損害賠償裁判の本人訊問 福岡高裁の大法廷で

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2012年12月11日 (火曜日)

催告書の名義を偽って他人を裁判にかけることが許されるのか? 明日、損害賠償裁判の本人訊問 福岡高裁の大法廷で

読売新聞社が提起した3件の裁判が「一連一体」の言論弾圧にあたるとして、わたしが起した損害賠償裁判の尋問が、12日の午後2時30分から、福岡高裁の大法廷で行われる。尋問を受けるのは、被告の江崎法務室長と原告のわたしの2名である。

削除を要求した根拠は、著作者人格権だった。著作者人格権は、著作者財産権と比較すると、その内容が理解しやすい。たとえば、次のサイト。(全文はここをクリック)

著作者の権利は、人格的な利益を保護する著作者人格権と財産的な利益を保護する著作権(財産権)の二つに分かれます。

著作者人格権は、著作者だけが持っている権利で、譲渡したり、相続したりすることはできません(一身専属権)。この権利は著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっています。

一方、財産的な意味の著作権は、その一部又は全部を譲渡したり相続したりできます。ですから、そうした場合の著作権者は著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになります。

江崎氏側は、著作者人格権に基づき、催告書が江崎氏みずから作成した江崎氏の著作物であるから、新聞販売黒書に掲載する権利がないと主張し、削除を求めて裁判を起こしたのである。

ところが審理が進むにつれて、催告書の作成者が江崎氏以外にいる可能性が浮上してくる。

そして東京地裁は最終的に、催告書の作成者は江崎氏ではなく、喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)か、彼の事務所スタッフの可能性が極めて高いと認定したのだ。知的財産高裁も同じ判断を示し、最高裁もこれを認定した。

(知的財産高裁の判決:上記の認定部分)

つまり江崎側には、元来、著作者人格権を根拠に著作権裁判を起こす権利がない。それにもかかわらず、催告書の名義を「江崎」に偽って裁判を起こしたことになる。

なぜ、名義を偽ってまで裁判を起す必要があったのだろうか?わたしを法廷に立たせることそのものが究極の目的だったからではないろうか?

一方、催告書を作成したとされる喜田村弁護士の責任も重い。『弁護士職務基本規程』の75条は、このような行為を禁止している。

第75条:弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

催告書の名義を偽るなど、裁判の前提が虚偽だったわけだから、その後、喜田村弁護士が裁判所に提出した書面や証拠も虚偽を前提としたものである可能性が高い。さらにそれを前提として、法廷で催告書の削除を主張した。「虚偽と知りながらその証拠を提出」にほかならない。

この問題に関しては、喜田村氏が所属する第2東京弁護士会に、懲戒請求を申し立てている。現在、同会の綱紀委員会が2年近くの時間(通常は半年)をかけて綿密に調査している。

これら一連の経緯は、新刊『新聞の危機と偽装部数』(花伝社)に詳しい。

黒薮の陳述書は、MEDIA KOKUSYOの「資料室」(トップページの右側)