2013年04月25日 (木曜日)
政府関連の広報予算は450億円 シンポジウムの共催+広告+記事のパターン
政府による広報活動の予算はどの程度の規模なのだろうか。『日経広告研究報(2010年8,9月号)』にこれに関するレポートが掲載されている。記事の執筆者は日経広告研究所研究部長の篠田真宏氏である。
政府の広報活動は、「各省庁が独自に実施するものと、内閣府政府広報室が窓口となり各省庁の希望を募って政府全体の立場から国民に周知徹底すべきものを選びマスメディアなどに流すもの、の2つに分かれる」という。
同氏の調査では、09年度予算ベースで各省庁の広報予算は総額で350億円程度である。また、内閣府による広報予算は、90億円。つまり政府関係の広報予算は、年間で総額450億円にもなる。
公共広告の中には、地方自治体が出稿するものもかなり含まれているので、マスコミ企業が「役所」から受けている広告費は際限もなく多い。
ただし、内閣府による広報予算に関して言えば、2009年の秋、政権に就いた民主党が事業仕訳を実施して、予算規模を50億円前後に減額した。
媒体別の割り当て比率は、2009年度の場合、次のようになっている。
新聞 :40.4%
テレビ :30.1%
?ラジオ : 2.7%
雑誌 : 4.6%
インターネット: 8.2%
その他 :14%
新聞が最も優遇されていることが分かる。新聞の販売網を通じて、政府の方針が日本の通津浦々まで浸透するシステムがあるのだ。
◇新聞記事=広告の可能性
新聞に掲載される広告の中には、地方紙と「役所」が共催するシンポジウムの広告が含まれている。このシンポジウム関連の広告が、新聞記事とセットに なっているケースが頻繁に見られる。この問題は、数年前に発覚した裁判員制度をめぐるタウンミーティングのケースだけではないようだ。
具体的な例を紹介してみよう。
【実例1】 2002年8月18日付けの四国新聞に「『四国の道づくりを考える』公開シンポジウム」の広告(5段)が掲載された。主催者は四国地方幹線道路協議会であるが、問い合わせ先が国土交通省の四国地方整備局になっており、実質的な主催者が国土交通省であることが判明する。
一方、後援は7団体。そのうち四国新聞、愛媛新聞、高知新聞、徳島新聞の4団体は新聞社である。
シンポジウムが開催された翌日にあたる8月19日の四国新聞には写真入りの記事が掲載された。タイトルは、「地域特性生かす整備を 高知で『四国の道づくり』シンポ 官民有識者ら意見交わす」の記事が掲載された。(愛媛新聞、高知新聞、徳島新聞については、未確認だが、掲載されている可能性がある)
【実例2】 2005年6月9日付けの山陽新聞に「防災・減災フォーラム 2005 IN 岡山」の記事が掲載された。主催者は山陽新聞と全国地方新聞連合会である。
後援には複数の団体が名を連ねているが、その中のひとつに国土交通省がある。このケースでは新聞社がシンポジウムを主催して、後援者にシンポジウムへの参加を呼び掛ける新聞広告費を出費させている。
翌6月20日の山陽新聞の朝刊には、「岡山で防災・減災フォーラム」の写真入り5段記事が掲載された。 防災・減災フォーラムは全国各地で開催されてきた。