1. 公共広告を介した地方新聞連合会と省庁・裁判所の関係 新聞が世論誘導の道具に

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2013年03月25日 (月曜日)

公共広告を介した地方新聞連合会と省庁・裁判所の関係 新聞が世論誘導の道具に

裁判所と新聞社の癒着を示す記事を紹介しよう。2007年2月に『週刊現代』に掲載された魚住昭氏の「『裁判員制度タウンミーティング』は最高裁と新聞メディアと電通の『やらせ』だ 内部資料でわかった恐るべき『共謀』の事実」と題する記事である。

裁判員制度を定着させるために、最高裁が地方紙とタウンミーティングを実施していたことは周知の事実である。その際に参加者を増やすために千葉日報など一部の新聞社が「サクラ」を動員していたことは、一般紙でも報じられた。

魚住氏が同記事で指摘しているのは、「最高裁が広告代理店『電通』を結託し、巨額の広告予算をエサに世論誘導のためのハブ記事を、全国47の地方紙に掲載させていた」事実である。

ハブ記事というのは、魚住氏によると次のような記事である。

一般記事の形をした偽装広告のことだ。質の悪い企業が読者をダマして新商品を買わせようとする時に使う手口である。失礼ながら、引っかかった読者は本物のエサと信じて毛針に食らいついた魚のようなものだろう。

このハブ記事の掲載を工作したのが、1999年に設立された全国地方新聞社連合会である。魚住氏は、ある地方新聞の編集幹部の談話を次のように紹介している。

「不況で広告が集まらなくなって地方紙の経営状態が悪くなったのが発端です。そのとき電通新聞局が主導して巨額の政府広報予算を地方紙に回すために作った組織が地方紙連合だった。だから裁判員制度のフォーラムは、地方紙連合が電通経由で各省庁から受けた仕事の一つに過ぎません」

「地方紙連合に集まった地方紙の東京支社の営業部長クラスが政府広報獲得のため持ち回りでチームを組み、各省庁を手分けして受け持っていた。省庁側との情報交換の中でテーマを決め、シンポジウムを開いたりと、政府広報予算を獲得するための方式はいろいろあったようです」

魚住氏の記事によると、これらのシンポジウムやフォーラムに関する記事には、「全面広告」「広告局制作」といった表記を入れないことが条件になっていたという。段取りは次の通りである。

「フォーラムの開催が決まると、共催者の地元紙は、まず開催告知の「社告」を掲載する。 ?次に最高裁による、フォーラムの「予告広告」(5段=紙面の3分の1)を2度、有料で掲載する。3番目は、フォーラム開催を伝える社会面用の記事を載せる。記事なので無料だ。 ?最後が、フォーラムの詳細を伝える10段(紙面の3分の2)の特集記事と、最高裁の裁判員制度についての5段広告。広告はもちろん有料だが、併せて掲載される10段の特集記事は前出の地方紙編集幹部が言うパブ記事である。05年度、全国47紙の地方紙を使い、フォーラムと広告と記事を抱き合わせた世論誘導プロジェクトに使われた税金の総額は3億数千万円である」

わたしは裁判員制度に関するタウンミーティング以外にどのようなプロジェクトが進行していたのかを調査してみた。

◇少なくとも6省庁が関与

調査が進むにつれて、実態の全容が浮かび上がってくるだろうが、ここではGEOC(地球環境パートナーシッププラザ)が保管している全国地方新聞連合会に関する資料を紹介しよう。それは地方新聞連合会による提言である。提言の書式の中に「団体の活動プロフィール」があり、次のように述べている。

全国地方新聞社連合会は全国の47都道府県のブロック紙・地方紙が結集した組織である。全国地方新聞社連合会の加盟新聞社は地域に密着したメディアであることから国の施策をより多くの国民に伝え、極め細かい国民の声に吸い上げることにより、政策に反映させるための活動が我々全国地方新聞社連合の活動である。過去の活動実績は以下のとおり。

○経済産業省「創業ベンチャー国民フォーラム」

?○内閣府「タウンミーティング」 ○総務省「市町村合併シンポジウム」

○国土交通省「くらしのみちシンポジウム」

○国土交通省「河川文化フォーラム」

?○法務省「中学生人権作文コンクール」

?○郵政事業庁「21世紀の郵便局と地域社会を考えるシンポジウム」

○国土交通省「緊急防災フォーラム」

○経済産業省「若者自立挑戦プラン(ジョブカフェ広報)」

「政策の実施により期待される効果」の項目では、露骨に地方紙のPRが行われている。

■マスメディアを活用することによって環境教育を飛躍的に普及させることができる。 これまでの環境教育施策は一部の関心のある層のみが参加するに止まっていたが、マスメディアと協働することによって、環境教育に対する意識喚起を一気に全国の教員、及び全国民レベルにまで普及させることができる。

■地方新聞を活用することによって全国津々浦々まで環境保全意識の啓発ができる。 これまでの環境保全に関する意識啓発は、中央の視点による一部の関心のある層に向けたものに偏っていたが、地方新聞を活用することによって、生活に密着した各地域の視点に立った啓発活動を、全国津々浦々の国民読者にいきわたらせることができる。

■全国、地域の関係各団体の協働によって最適な環境教育プログラムの開発ができる。 行政、NPO、関係団体、メディアが一体となって環境教育施策の方向性を見出すことによって、最適なプログラム開発が期待できる。また、更にそれを地域の行政、NPO、関係団体、メディアが協働して再検討のうえ各地域で実施することによって、地域住民の生活感覚で受容しやすい、その地域に最適なプログラムにアレンジすることが可能である。

■プッシュ型のプログラム提供によって学校現場での環境教育を積極的にサポートする。 これまで一部の関心のある教員が自ら探索することによって始めて入手することができた環境教育教材を、多様な構成団体による組織的な普及活動と、新聞というプッシュ型メディアで手元に届けることによって、全ての教員が容易に環境教育プログラムに接することができる。

■教員、児童、家族が新聞紙面で情報を共有できるため効果的な普及啓発が期待できる。 新聞に掲載される環境教育プログラムは、主読者である大人が読み、教員が授業で活用することによって児童が読み、家庭内で児童と家族が情報を共有することができる。家庭内で情報が共有されることによって、より強固で広範な情報のネットワーク効果が期待できる。

■行動誘発型のプログラムを作成することによって実効性のある環境保全活動が展開できる。 作成する環境教育プログラム内で、読者・児童に環境保全に関する何らかの具体的アクションを求め、かつその成果を報告する仕組みを埋め込むことによって、実効性のある国民的環境保全活動を展開することも可能である。

■新聞記事等で採り上げられることによって環境教育の普及促進に波及効果が期待できる。 新聞社がプロジェクトに参画するために、新聞記事等で採り上げられる可能性が高まり、意図した以上の普及啓発効果が期待できる。特に、環境教育の授業風景を取材掲載することは、他の教員に対して環境教育の導入を促す大きな契機となりうる。

■新聞を使った教育活動を実施するによって活字文化の振興にもつながる。 新聞を教育現場で活用することによって、児童の活字文化に対する親しみが増し、若年層の活字離れ対策の一助ともなる

 今後、これらのプロジェクトと公共広告がセットになっていたか否かを調査していきたい。