1. 目黒区八雲で新型チラシが登場 携帯電磁波のリスクを広域にPR 専門家招き学習会も予定

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2013年10月02日 (水曜日)

目黒区八雲で新型チラシが登場 携帯電磁波のリスクを広域にPR 専門家招き学習会も予定

東京・目黒区八雲の住民たちが、携帯電磁波の危険性を知らせるチラシ(上写真は裏面)の配布をはじめた。引き金となったのは同地区に基地局設置の計画が浮上したこと。

幸いにこの計画は、区会議員の地道な努力で中止の見通しとなったが、予期しなかった「騒動」を通じて、住民たちは携帯電磁波をめぐるトラブルを防止するためには、日常的に電磁波の危険性を広く知らせる必要性を痛感した。

そこでトラブルは解決したが、チラシを作成して、広域配布に踏み切ったのである。さらに10月19日(土)には、八雲住区センター(目黒区八雲1?10?5)で、午後6時からで、科学ジャーナリスト植田 武智氏を講師に住民向けの学習会を行う。

チラシの内容は、日本の電波防護指針のデタラメなど、電磁波のリスクを知らせる内容になっている。特定の電話会社を批判したものではない。それだけにかえって普遍性があり説得力が増している。住民の中には、霞ヶ関(総務省前)でチラシを配布したいと話している人もいる。

チラシは各地の住民運動で共通して使える内容なので、別地域で配布を希望される団体があれば、黒薮が目黒の住民グループと仲介します。(連絡先:048-464-1413)

■チラシの全文

みなさん、携帯電話やスマートフォンが人体に及ぼす、健康リスクをごぞんじでしょうか?たとえばフランス政府は健康リスクを踏まえて、2011年4月、14歳以下の子供を対象に携帯電話の宣伝・広告を禁止しました。

また、6歳以下の幼児については、使用禁止という厳しい方針を打ち出しました。さらに隣の韓国では、この8月から子供への影響を考慮し、政府が新たな規制に乗りだしました!

これとは対照に、日本では防犯を口実として、キッズ携帯が普及しています。本当に安全といえるのでしょうか? マイクロ波の恐怖

携帯電話をはじめスマートフォンなどの移動通信機器は、マイクロ波と呼ばれる高周波の電磁波が通信媒体として使われています。最近、このマイクロ波が人体に及ぼす悪影響を示唆する研究・調査が注目されるようになってきました。

2011年5月には、世界保健機構(WHO)の傘下にある国際がん研究機関(IARC)が、マイクロ波に発癌性がある可能性を認定しました。これまで安全とみなして、警鐘の対象にならなかったものに、警鐘を鳴らし始めたのです。事実、携帯電話の使用者に脳腫瘍が多い事実はもはや否定できなくなっています。

携帯電話の基地局周辺で健康被害  しかし、マイクロ波による健康被害は、タバコの受動喫煙と同様に携帯電話やスマートフォンなどを使用者しない人々にも及びます。その第1被害者は、携帯電話からのマイクロ波を送受信する携帯基地局(写真)の周辺に住む人々です。

宮崎県の延岡市では、2009年に携帯基地局の周辺に住む住民30名が、マイクロ波による健康被害を理由に、基地局の撤去を求める裁判を提起しました。地裁判決では、健康被害とマイクロ波の因果関係が、現在の段階では医学的に立証できないことを理由に住民側が敗訴しましたが、裁判所も健康被害が出ている事実そのものは認めました。

提訴に先立つ時期に延岡市が行った住民対象の聞き取り調査によると、健康被害の実態は、調査対象になった60人のうち、「耳鳴りが31人で最も多く、肩こりが16人、不眠が14人」(『朝日新聞』07年12月16日付け)。その後、鼻血なども複数件報告されています。マイクロ波が人体に及ぼす影響を考慮して、世界各国は、電波の規制値や目標値を設置しています。ところが次に示すように、日本が採用している数値は、けた外れに緩やかなものになっています。

携帯電話基地局からの電磁波規制

日本             :1000μW/c?

ザルツブルグ州(オーストリア): 0.0001μW/c?

間違いだらけの日本の規制値  なぜ、数値にこれだけ大きな隔たりが生じるのでしょうか。それはマイクロ波の安全性に関する考え方が異なるからです。マイクロ波には、熱作用と非熱作用があります。熱作用というのは、電磁レンジに代表されるように、ものを加熱する作用です。

これに対して非熱作用というのは、熱作用以外の性質を意味します。その代表格は遺伝子(DNA)の破壊です。原発の放射能から出るガンマ線やレントゲンで使われるエックス線、それに紫外線などに遺伝子を破壊する作用があることは、すでに定説となっていますが、マイクロ波にも類似した作用があるという説が、近年、有力になってきた結果、欧米では極めて厳しい規制値を設定するようになったのです。

マイクロ波の非熱作用を考慮して、電波防護指針の数値を決めるかどうかで、基準値に大きな違いが生まれてくるのです。

ちなみにバイオイニシアティブ・ワーキング・グループ(著名な14名からなる電磁波の人体影響の研究や公衆衛生の政策に関する専門家の集まり)は2013年、従来の勧告値(0.1μW/ c?)よりも更に低い、0.0003?0.0006μW/ c?という厳しい値を勧告しました。