1. 神奈川県海老名市でもNTTドコモが住民とのトラブル 健康被害が公になりにくい理由

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2013年08月30日 (金曜日)

神奈川県海老名市でもNTTドコモが住民とのトラブル 健康被害が公になりにくい理由

神奈川県の海老名市でも、NTTドコモが住民との間でトラブルを起こしている。2011年に同市杉久保4丁目で、ドコモが基地局を稼働させたところ、住民たちの間に体調不良が現れた。住民たちは、「携帯基地局による健康被害を考える会」を結成して、現在も基地局を撤去する運動を進めている。

「杉久保住民の皆様へ」と題するチラシによると、基地局が稼働した後、住民たちの間に頭痛、耳鳴り、頭鳴、睡眠障害、肩こり、吐き気などの症状が現れたという。

幸か不幸か、杉久保地区は住民相互の絆が比較的強い土地柄で、コミュニケーションをはかるなかで、体調の異変が広がっていることに気付いたようだが、都市部では隣のマンションに誰が住んでいるかすらも把握されていないケースがままあり、それが被害の実態を客観視しがたいものにしている可能性がある。体調がおかしくなっても、携帯電磁波の人体影響についての知識がなければ、なにか別の原因が体に異変をもたらしているものと勘違いする。

当然、医師も専門家を除いて、診断の下しようがない。

「携帯電話はだれもが使っているから安全。」「危険なものを総務省が許可するはずがない。」こんな先入観が水面下で被害を拡大しているのだ。

◇電磁波による人体影響  

なぜ、携帯電磁波(高周波)の危険性が認識されにくいのだろうか。その主要な理由のひとつに、電磁波とは何かについての不十分な認識がある。たとえば、原発のガンマ線やレントゲンのエックス線、それに紫外線に遺伝子を傷つける作用があることは、常識として定着している。これらも電磁波の仲間であるが、実際には、放射線と呼ばれることが多い。

これに対して携帯電磁波や高圧電線から漏れる電磁波、さらには家電から漏れる電磁波は、通常は放射線とは呼ばない。しかし、厳密に言えば、ガンマ線、エックス線、紫外線などと比較して、エネルギーや周波数が高いだけで、放射線の仲間である。当然、性質も似ている。

◇原発同様にNTTドコモは一旦、操業停止を  

ガンマ線などは危険だが、俗に電磁波と呼ばれている携帯電磁波(高周波)や送電線や家電からもれる電磁波は、危険がないと考えている人が大半を占めている。しかし、繰り返しになるが、これらは放射線の仲間である。

これらの電磁波(高周波、低周波)は、かつては安全だとする説が有力だった。

ところが1979年に米国のワルトハイマーが、配電線(低周波)の近くに住む人々の間に小児白血病が多いとする研究論文を発表した。これを機に検証作業がはじまり現在では、疫学的には送電線の近くに小児白血病が多いことが定説になっている。日本でもWHOの依頼を受けて、兜博士が調査した。その結果、送電線と白血病、脳腫瘍などの相対関係が裏付けられたのである。しかし、当時の文科省は、これを酷評した。

携帯電磁波(高周波)の危険性が指摘されはじめたのは、改めて言うまでもなく、携帯電話の普及が始まった1990年代以降である。携帯電話が普及し、基地局が乱立し、健康被害を訴える人々が増えた結果、携帯電磁波による人体影響についての研究が活発化したのである。当然、研究に費やした時間が短いわけだから、医学的な因果関係を完全に解明するまでには至っていない。

が、それが「安全」を意味するものではない。これまで実施された疫学調査の結果が、深刻な被害の実態を示している。当然、公害では、被害の事実を優先して、対策を取らなければならないはずだが、日本ではほとんど何の規制もない。

かねてから危険とされてきたガンマ線、エックス線、紫外線などは、「電離放射線」と呼ばれている。これに対して携帯電話に使われる電磁波(高周波)や送電線・家電から漏れる電磁波(低周波)は、「非電離放射線」と呼ばれる。

すでに述べたように、「非電離放射線」は、かつては安全と考えられていた。ころが今は、「電離放射線」と同様に、危険とする説が有力視されてきたのである。

その理由は、極めて単純で素人でも推測できる。「電離放射線」と「非電離放射線」の大きな違いは、エネルギー、あるいは周波数が異なることであって、性質そのものは類似しているからだ。

NTTドコモも「非電離放射線」についての新見解を無視できないらしく、自社の株主向けの情報には、次のように記している。

「研究や調査が進むなか、当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。」

(参考:株主向け情報。(12)参照?)

NTTドコモは、一旦、原発同様に稼働を停止すべきだろう。