1. 5Gによる人体への影響、千葉県市川市の住民が市に請願書を提出、電話会社による説明義務の条例化を求める

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2022年06月22日 (水曜日)

5Gによる人体への影響、千葉県市川市の住民が市に請願書を提出、電話会社による説明義務の条例化を求める

携帯基地局の設置に規制を求める運動を展開している市川市の住民グループの代表が、市議会に対して説明責任の条例化を求める請願書を提出した。請願書は、6月20日付けで受理された。同市のウエブサイトによると、請願の概要は次の通りである。

請願第4-1号 携帯電話基地局を設置又は改造する時には事業者はその計画を地域住民等に対して説明を行うこと及び設置済みの携帯電話基地局についてその事業者は地域住民等の求めに応じて説明を行うことの条例化を求める請願 (環境文教委員会付託)

今春、楽天モバイルが分譲マンションの屋上に基地局を設置する計画を、管理組合に打診してきた。管理組合は総会を開いて採決を取った。大半の住民が賛成票を投じた。マンションの戸数が少なく、管理費・修繕費の積み立てが住民らの負担になっている事情が背景にある。

最上階の住民の中には、設置に強く反対したひともいたが、多数決の原理で押し切られてしまった。

しかし、マンションの近隣住民からも基地局からの電磁波による人体影響を懸念する声があがり、今回の請願書提出に至った。

5Gで使われる電磁波の評価はまだ確定していない。データそのものがそろっていない。そのためにヨーロッパでは、5Gをペンディングにする動きが顕著になっている。

しかし、日本の総務省は「見切り発車」のかたちで電話会社を支援してきた。マイクロ波の規制値を欧州評議会の1万倍に緩和して支援する異常ぶりだ。健康被害が出た場合、電話会社が規制値を守っていれば、電話会社の代わりに国が賠償する構図になっている。

請願書の全文は次の通りである。

 

■請願書全文

現在、携帯電話基地局の設置が急ピッチで進められています。市川市では地域住民等への説明は義務化されていないため、知らぬ間に近所に携帯電話基地局が設置されてしまいます。このことは、市民の誰にでも起こりうる事です。問題は、携帯電話基地局のそばで何年も生活し、基地局から発せられる高周波の電磁波を浴び続けることで体調不良が起こり、酷い場合には病気を発症してしまう可能性があるということです。特に影響が大きいと考えられるのは、妊婦や子ども達です。電磁波は細胞分裂が盛んなところほど影響を及ぼすと考えられています。

私の家の近くの建物には、既に大手3社の携帯電話基地局が設置されています。その建物とは別の私の家の前のマンションに、新たに楽天モバイルの携帯電話基地局の設置が決まりました。しかし、周辺に住む住民への説明がなかったので、総務省と楽天モバイル担当者に連絡をしました。この狭い場所に4社の携帯電話基地局が設置されることについて、安全性などを尋ねました。携帯電話基地局からの電磁波は、電波防護指針の安全基準を下回っており、安全だと言われました。

しかし、本当に安全なのでしょうか?携帯電話に比べると、携帯電話基地局からの電磁波は弱いようではありますが、周辺に住む住民は24時間365日被曝することになります。私の住むエリアでは4社の携帯電話基地局が設置されることとなり、1社設置の場合に比べて、4倍の被曝量になるのではないかと考えます。そして、微弱な電磁波でも長期間被曝すると、健康リスクが高まるとの調査結果があります。携帯電話基地局の周辺に住む住民が体調不良を訴えたり、病気を発症したりしたとの報告があります。これは電磁波の非熱作用が影響しているのではないかと言われていますが、因果関係は明らかになっていません。

今後、既設の携帯電話基地局は5Gに替わっていくものと思われます。5Gの電磁波は届く距離が短くなることから、これまでより多くの携帯電話基地局が必要になると言われています。5Gの携帯電話基地局が増えることは、周辺に住む住民の数が増えることであり、健康リスクを抱える人が増えるということでもあります。

このような健康リスクの可能性があるにも関わらず、携帯電話基地局からの影響を受ける地域住民等への説明がおろそかにされて良いのでしょうか?地域住民等に説明をせず携帯電話基地局を設置するということは、健康的な生活をする市民の権利が奪われるということなのではないでしょうか。

海外では5Gの導入に慎重な国もあるようです。ベルギーのブリュッセル首都圏地域では「市民はモルモットではない」として、5Gの導入を一旦中止にしているそうです。その他にも5G導入を規制する国や欧州の自治体が増えてきているそうです。それらの国や欧州の自治体では電磁波をリスクとして捉え、回避する姿勢を取っています(予防原則)。これは、電磁波の調査研究の結果が確実ではないと言われているからこそ、電磁波の被曝リスクを回避するという姿勢なのではないでしょうか。安全に備えようとする世論が反映されているのかもしれません。

現在、日本は電磁波への理解が進んでいません。だからこそ電磁波のリスクや不確実性を知り、備えることが必要です。そのためにも、事業者は地域住民等に向けた説明を行い、地域住民等は不測の事態に備えることが出来るようにしてほしいと思います。

よって、事業者による地域住民等への説明を義務化する条例を制定して下さいますようお願い申し上げます。尚、鎌倉市や宮崎県小林市などでは携帯電話基地局の設置時の条例が制定されています。

下に、条例化して頂きたい内容を記します。

1.携帯電話基地局の設置又は改造を行う時には地域住民(基地局の高さの2倍の距離に住んでいるか、土地建物を所有する者)及び周辺住民(地域住民の属する自治会の会員)に、事業者は説明を行う。

2.地域住民や周辺住民の中に学校や児童福祉施設などの施設の土地所有者等が含まれる時には、事業者は当該施設の管理者の意向を尊重するよう努めなければならない。

3.携帯電話基地局の設置又は改造を行う時には、工事に着手する日から起算して60日前までに、事業者は工事の計画書を市長に提出しなければならない。

4.携帯電話基地局の設置等又は改造をしようとする時には、事業者は地域住民や周辺住民の意見を聴き、紛争の防止に努めるとともに、良好な関係を損なわないように努めなければならない。

5.設置済みの携帯電話基地局についても、地域住民や周辺住民から求めがある時には、事業者は説明を行う。その際には設置の経緯や契約期間、電磁波(周波数を含む)の影響や安全への取り組みについて説明し、地域住民や周辺住民の理解を求めるよう努めなければならない。

6.地域住民や周辺住民に説明した時には、事業者は説明会実施報告書を市長に提出する。
以上