2020年03月13日 (金曜日)
KDDIの携帯・スマホの基地局、マンションの上に設置、真下に住む幼児への配慮なし、問われる企業倫理
ある日、会社から帰宅すると自宅の隣の空き地に円筒形の塔が立っていた。数日前から、ヘルメットをかぶった作業員らが重機を動かしていたが、特に気にもしていなかった。塔の最上段には、鉄柱のような太いアンテナが幾本も取り付けられた。
日曜日に居間でテレビを見ていると、頭の中でセミが鳴く感覚に襲われた。脈拍も乱れる。夜になると、ズーズーという低周波音(基地局の空調機が原因)が遠くから聞こえてきた。頭痛が激しくなり、寝れなくなった。近所のクリニックへ行っても、「どこも悪くありません」と言われる。そこで病院を転々とする。
7年後、肺に癌が見つかった。
こうした光景はこれから誰もが直面しかねない社会問題に他ならない。他人事ではない。5Gの普及に不可欠なのが基地局である。電話会社は、5G基地局の設置を大規模に展開している。わたしのところへは、電話会社の「蛮行」についての情報提供が相次いでいる。
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悲惨な例を紹介しよう。神奈川県川崎市の例である。Aさん夫妻と2人の子供は、小高い丘の上のマンションの最上階に住んでいる。ところがKDDIが、住居の真上に基地局を設置した。マンションの管理組合との契約(6年前に締結)を理由に、2月から3月にかけて強引に工事を進めたのである。
Aさんの妻はフィンランドの出身で、電磁波問題についても一応の知識があった。ヨーロッパでは、電磁波に人体影響があるという考えが定着していて、電話通信に使われるマイクロ波の推奨値も、EUの場合、日本のそれに比べて1万倍も厳しい。(室内では10万倍)。民家の屋根に基地局を設置することはありえない。必ず民家から離れたところに建てる。
ところがKDDIはAさん夫妻の住居の真上に設置したのだ。工事が原因で、居間の壁に亀裂ができた。Aさんがいくら計画を断念するようにKDDIと交渉しても、ほとんど聞く耳をもたなかった。驚いたことに、基地局の設備の仕様すら書面で示していない。だから、どの程度の強度の電波が、どのような角度で発せられるのかも分からない。こうした情報は、企業秘密だそうだ。
KDDIは5Gではなく4Gの基地局だとマンション住民には説明したが、時代の流れからすれば、不自然である。5Gの基地局ではないかとの疑惑も上がっている。ただ、大半のマンション住民は、電磁波についてよく知らず、設置に賛成している。無知とはこのことである。
現在時点で、基地局が公式に稼働しているのか、テスト段階なのかは不明だが、Aさんによると、夜になると、基地局から唸るような音が聞こえてくるという。低周波音である。Aさん一家は、睡眠を妨げられ、仕事への支障も出ている。ホテルへ避難したこともある。
2人の子供への被曝が特に懸念される。
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電磁波の安全性の研究が本格化したのは、1980年代からである。最初に低周波電磁波と小児白血病の関係が疫学的に明らかになった。次に携帯電話で使われるマイクロ波の遺伝子毒性が問題になってきた。2018年には、米国環境衛生科学研究所がラットを使った実験で、マイクロ波に発がん性(心臓の腫瘍など)があるとする研究結果を発表している。現在は、癌発生のメカニズムの解明に入っている。
電磁波(放射線)には、ガンマ線からレントゲンのエックス線まで、さらにマイクロ波も低周波電磁波も遺伝子毒性がある。被曝が癌の原因になる。
スイスでは、5Gのリスクが明らかになってきたのを背景に、5G導入の計画そのものがペンディングになっている。
一方、日本は総務省と電話会社が連携して「安全」を宣伝して、5Gビジネスへと突進している。5Gという巨大ビジネスの前に、国民の生命を軽視する風潮が広がっているのである。国の安全基準を守っているとはいえ、欧米の感覚からすれば、非常識としかいいようがない。バカな東洋人という目で見られている。
この問題をちゃんと報じないメディアにも責任がある。
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【参考記事】「基地局の設置で、子供が電磁波に直撃される」フィンランド人女性がKDDIに悲痛な訴え、住居の真上で工事中
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