1. 販売店が集団で琉球新報社を提訴、「押し紙」問題で

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2016年05月12日 (木曜日)

販売店が集団で琉球新報社を提訴、「押し紙」問題で

沖縄県の地方紙・琉球新報社に対して、8つの新聞販売店が「押し紙」の集団訴訟を提起していることが分かった。

5月5日付けの「ビューポイント」によると、原告は19名。「押し紙」による損害賠償を求めている模様。同紙の全文は、次の通りである。

■販売店への「押し紙」19人が琉球新報を提訴

筆者が知る限り、販売店による集団訴訟は、北國新聞に続いて2件目である。このケースでは、5店が提訴に踏み切ったが、結局、和解で解決した。

沖縄県内での新聞販売店訴訟といえば、1998年に沖縄タイムスの元販売店主・金城初子氏が起こした地位保全裁判がある。訴因は、保証金(新聞販売店を開業する際に本社に預ける)の利子をタイムス社が一方的に切り下げようとして、金城氏が承諾を保留にしたことだった。が、金城氏の訴えは棄却された。

しかし、この事件を通じて、新聞ジャーナリズムの評価が高い沖縄タイムスといえども、販売局の実態は中央紙とあまり変わらないことが判明したのだ。

◇異常に短い商契約の期間

当時、筆者が入手した販売店と新聞社の契約書によると、契約期間は沖縄タイムスが1年で、琉球新報が2年だった。契約期間が短いので、新聞社は販売店をほとんどいつでも改廃できる。販売店の立場が極めて弱い。それゆえに「押し紙」を強制することもたやすい。

当時の状況がいまも続いているのか否かは、今後の取材で調査したい。

ちなみに中央紙の場合、販売店との契約期間は3年から5年である。沖縄2紙の実態が従来通りでれば、中央紙よりも、「押し紙」がしやすい状況が続いていることになる。

◇「押し紙」にも消費税が

筆者が現時点で把握している販売店訴訟に関する情報によると、夏までに少なくともさらに2件の「押し紙」裁判が提起されることになっている。公正取引委員会も「押し紙」問題で重い腰を上げざるを得なくなるだろう。

が、ここに至っても日本新聞協会(会長は読売の白石興二郎氏)は、いまだに「押し紙」は1部もないと主張している。新聞に対する軽減税率の適用を求めるなら、まず、「押し紙」の存在を認め、それを排除しなければならない。

新聞社が軽減税率の適用を求める本当の理由は、「押し紙」にも消費税がかかるからにほかならない。

販売店が弱体化している状況下では、結局、新聞社が販売店への補助金を支出して税負担をせざるを得なくなるからだ。