毎日新聞の新資料、搬入される新聞の74%が「押し紙」、千葉県の販売店がメディア黒書に情報提供
千葉県内の毎日新聞販売店から「押し紙」に関する新資料を入手した。
「押し紙」とは、広義には新聞社が新聞販売店に対して供給する過剰な新聞部数を意味する。残紙ともいう。たとえば2000部しか配達していない販売店に対して3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部に対しても、新聞社は卸代金を徴収する。普通の新聞とまったく同じ扱いにしているのだ。消費税もかかる。
新資料について説明しよう。資料のタイトルは「毎日新聞 増減報告書」。新聞販売店の経営者が、新聞の搬入部数を毎日新聞社に通知するためのものである。日付けは2015年8月7日。
それによるとこの販売店の経営者は、店舗を2店経営している。仮にこれらをA店、B店とする。
経営者はA店については900部の減部数を、B店については200部の減部数を「増減報告書」を使って申し入れている。その結果、搬入される毎日新聞の総部数は、312部(A店)と161部(B店)に減った。
これらの数字から、元々搬入されていた毎日新聞の総部数と新規の総部数の差は次のようになる。
A店:1212部→312部 (差異:900部)
B店:363部→161部(差異:200部)
差異の部分がほぼ不要な新聞部数、つまり「押し紙」部数であった可能性が極めて高い。「押し紙」率は次のようになる。
A店:74%
B店:55%
◇まったく解決されていない「押し紙」問題
これら2店を経営している店主は、毎日新聞社との契約を一方的に解除されており、現在は東京新聞や産経新聞、それに千葉日報などを配達している。
このところメディア黒書に対して新聞販売店からの情報提供があいついでいる。新聞社による販売店いじめは今に始まったことではないが、昨年、あたりからそれがさらに激しくなっている。経営者が自殺したという情報だけでも4件寄せられている。深刻な社会問題である。
2009年7月に読売新聞がわたしと週刊新潮を「押し紙」報道で提訴して以来、「押し紙」報道は沈黙しているが、問題が解決されるどころか、ますます深刻化しているわけだから放置できない。メディア黒書では、今後、さらに積極的にこの問題を取り上げていきたい。
なお、前出の販売店の経営者は、現在、地位保全の仮処分を申し立てている。
なお、新聞販売店の地位保全裁判については、次の有名な判例がある。
【情報提供先】メディア黒書 ☎048-464-1413
注:動画は「押し紙」回収の場面。記事とは関係ありません。