1. 4月と10月になると「押し紙」が増える理由、折込広告の水増し行為と表裏関係に

「押し紙」の実態に関連する記事

4月と10月になると「押し紙」が増える理由、折込広告の水増し行為と表裏関係に

産経新聞の元店主が言う。

「折込広告の水増し問題を指摘されると、新聞社は異常に神経質になります。『押し紙』問題の比ではありません。折込広告の水増し問題は、『押し紙』問題とは異なり、新聞業界の外にいる広告主が憤慨する問題であるからです。折込広告の問題が浮上すると、新聞各社が情報を共有しているとも聞いています。新聞業界全体の運命に関わる大問題であるからです」

そのオリコメ詐欺がいま急激に問題視されるようになってきた。

11月1日に行われる佐賀新聞を被告とする「押し紙」裁判の尋問(佐賀地裁・10時~16時半)でも、ABC部数の中身が検証されるものと見られる。

また、折込広告の水増し問題について、ある市民が筆者に公益通報したところ、しぶや総和法律事務所の鈴木裕二弁護士が、公益通報者に対して提訴などをほのめかしながら、情報源を明かすように求めてきた。その「恫喝文書」の一部を紹介しよう。

 本来であれば、貴殿に対し、直ちに民事上および刑事上の責任を追及するところですが、通知人としては、まず上記記事を投稿した経緯や上記画像の入手方法等について貴殿から事情を伺い、そのうえで今後の対応について検討しようと考えております。つきましては、本書面を受領してから7日以内に、弁護士鈴木宛て(03ー6416ー1933)にご連絡くださるようにお願いいたします。

しかし、公益通報者はひるまなかった。さらにオリコミ詐欺の実態を公益通報したところ、弁護士から音沙汰がなくなった。この問題を暴露されるのが恐いのだろう。新聞業界の決定的な問題点を突いているからだ。係争に広告主を巻き込まれたら、収集がつかなくなるからだろう。

公益通報者を支援している筆者としては、その後、オリコミ詐欺に関する新しい情報を入手した。それを根拠に攻勢をかける予定だ。

弁護士に依頼して、公益通報者にプレッシャをかけた人物の素姓や職業、経歴もすべて把握している。ある団体の役員を務める公人である。

◆「4・10(よん・じゅう)増減」
さて、前出の元産経新聞の店主が、「押し紙」裁判(被告・産経新聞、東京地裁)の中で興味深い証言をしている。自分の親族が経営していた販売店では、4月と10月に「押し紙」が増えていたというのだ。

その理由は容易に推測できる。4月と10月のABC部数が、折込定数(折込広告の必要枚数)を決めるための基礎資料として採用されるからだ。新聞社は、まず4月に「押し紙」を増やして、5月に元に戻す。次に10月に「押し紙」を増やして、11月に元に戻す。このパターンを繰り返してきたというのだ。

新聞業界では、これを「4・10(よん・じゅう)増減」と呼んでいる。業界用語になるぐらいだから、新聞業界全体の慣行になっている可能性が高い。

つまり「4・10(よん・じゅう)増減」は、新聞業界が業界ぐるみでオリコミ詐欺をやっている証拠にほかならない。

◆誰に責任があるのか?
責任は法的に見れば、新聞社・広告代理店・販売店の3者による共犯ということになるが、実態としては、新聞社の販売政策の中でこうした事が起きているのである。

オリコミ詐欺を中止すると、新聞社も販売店も経営が破綻するからだ。

 

【写真】廃棄される東京・江戸川区の広報