1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2017年11月21日 (火曜日)

新聞業界の組織的な部数偽装疑惑、4月と10月になるとABC部数が増える理由

読者は、新聞のABC部数(出版物の公称部数を示す数字)が、毎年4月と10月になると不自然に増える事実をご存じだろうか。筆者はこの話を販売店の取材の中で知った。そして最近調査に着手したところである。

このたび2003年度から2008年度までの調査が終わったので、その一部を紹介しよう。実に興味深い事実が判明した。結論を先に言えば、新聞人による組織的な、部数偽装の疑惑が浮上したのだ。

4月と10月にABC部数が増える理由は、これら2つの月(俗に4月部数、10月部数という)に公表されたABC部数が紙面広告の媒体価値を評価する際の基準になるからだ。また、この数字が折込広告の適正枚数としても認定される仕組みになっているからだ。

4月部数と10月部数は、新聞社にとって特別な意味を持っているのだ。数字のトリックこれら2つの月を標的に行われてきたのである。

具体的な例を、全国の新聞発行部数の変化を例に紹介しよう。連続する次の3カ月の数値に注目してほしい。

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2017年11月09日 (木曜日)

新聞の病気、水増しされ大量廃棄される(株)マルイ・ウエストランドの折込広告

メディア黒書のシリーズ「折り込め詐欺」の実態。8回目は、(株)マルイ・ウエストランドの折込広告である。撮影は2011年。同社の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボール箱に詰められて廃棄されている場面を紹介しよう。

同じようなことが、多くの新聞社の販売店で行われている。その温床になっているのが「押し紙」である。

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2017年11月06日 (月曜日)

毎日新聞は第3種郵便物の認可条件を満たしてない、認可を白紙に戻すのが妥当

意外に知られていないが、日刊紙を発行する新聞社の中には、第3種郵便物の認定を受ける資格がないのに、受けている新聞社がある。第3種郵便物とは、「国民の文化向上に資する定期刊行物の郵送料を安くして、購入者の負担を減らすことで入手の便を図り、社会・文化の発展に役立つことを目的とした」(ウィキペディア)郵便物である。

改めて言うまでもなく、出版物の全てが適用対象になるわけではない。適用条件は、郵便法第22条などを根拠としており、日本郵政のウエブサイトによると、8つの要件を満たす必要がある。

出典

8要件のうち、新聞社が抵触する可能性が高いのは、次の要件である。

7,1回の発行部数に占める発売部数の割合が8割以上であること。

発行部数のうち8割が実際に販売されていることが、第3種郵便物に認定される条件になっているわけだから、「押し紙」(配達されないノルマ部数で、ABC部数をかさ上げすることを主要な目的としている)が2割を超えると、第3種郵便物の認定取消になる。

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2017年11月03日 (金曜日)

ここ10年の新聞発行部数の変化、朝日は約187万部減、読売は約127万部減、毎日は約94万部減、「押し紙」分を含めるとさらに深刻

次に示すのは、ここ10年間における中央紙のABC部数の変遷である。

社名の左側の数字は2017年11月のもので、()内は10年前、つまり2007年11月のものである。

朝日 6,136,337(8,010,922)
毎日 2,942,247(3,882,063)
読売 8,713,985(9,983,032)
日経 2,702,584(2,882,495)
産経 1,519,645(2,167,187)

 

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2017年11月01日 (水曜日)

【動画】新聞週間の標語「新聞で見分けるフェイク 知るファクト」の裏面で新聞部数の偽装「押し紙」、大量廃棄される天満屋の折込広告 

天満屋ハッピーマートは、(株)天満屋ストアが経営するスーパーマーケットチェーンである。店舗は岡山県、広島県、鳥取県などにある。

メディア黒書のシリーズ「折り込め詐欺」の実態。7回目は、天満屋ハッピーマートの折込広告である。撮影は2011年。同社の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボール箱に詰められて廃棄されている場面を紹介しよう

ちなみにビデオの前半に静止画で登場する段ボール箱は、折込広告を入れる「容器」の役割を果たしている。「容器」に入れる理由は、中味が水増しされた折込広告であることを隠すためだ。むき出しの状態では、「紙の墓場」へ運搬できないからだ。

販売店の店主が起こした「押し紙」裁判では、この段ボールを新聞社側が販売店へ提供していた事実が、判決の中で認定されている。

ちなみに今年の新聞週間(日本新聞協会主催)の標語は、「新聞で見分けるフェイク 知るファクト」である。新聞の実配部数に関して「フェイク」の情報を堂々と発表すると同時に、「折り込め詐欺」を放置してきた同協会が、こうした標語をかかげること自体が滑稽だ。

「押し紙」問題に正面から向き合うべきだろう。

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2017年10月27日 (金曜日)

没落へ向かう新聞業界、1年で朝日は約30万部減、読売は21万部減、毎日は11万部減、9月度のABC部数

2017年9月のABC部数が明らかになった。それによると新聞の部数減の傾向にはまったく歯止めがかかっていない。

ここ1年で、朝日新聞は約30万部、読売新聞は約23万部、それに毎日新聞は約11万部の部数を減らした。

朝日 6,136,337(-296,822)
毎日 2,942,247(-107,150)
読売 8,713,985(-228,146)
日経 2,702,584(-22,677)
産経 1,519,645(-49,203)

地方紙とブロック紙を含めて、一般紙で部数を増やした新聞社は1社も存在しない。軒並み部数を減らしている。次に示すのは、全国76紙のABC部数である。

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2017年10月25日 (水曜日)

来年1月に東京地裁で毎日新聞「押し紙」裁判の尋問、店主が約6000万円の損害賠償請求、問われる新聞人のパワハラ

新聞販売店の元店主A氏が毎日新聞社に対して起こしている「押し紙」裁判の本人尋問が、来年の1月25日に東京地裁で開かれることが分かった。だれでも傍聴できる。A氏が毎日新聞社に請求している賠償額は約6000万円。和解には応じない方針のようだ。

筆者の手元にある内部資料をもとに、たとえば2015年8月ごろの取引実態を検証すると、A氏が購読契約を結んでいた読者は473人しかいなかったのに、毎日新聞社は約1573部の新聞(卸部数)を一方的に搬入していた。その結果、約1100部が過剰になっていた。毎日新聞社はこの部数についても、新聞の卸代金を徴収していたのである。「押し売り」行為である。

これにより発生した損害のうち、A氏は約6000万円の賠償を求めている。

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2017年10月20日 (金曜日)

新聞没落 「押し紙」と一緒に廃棄される衆院選挙の「選挙公報」

選挙のたびに選挙管理委員会が発行するのが、「選挙公報」である。この「選挙公報」が、一部の地域で「押し紙」と一緒に廃棄されている可能性を指摘する情報が、メディア黒書に寄せられた。

「選挙公報」の配布には、基本的に2つの方法がある。ひとつはポスティング業者が、全戸配布する方法である。もうひとつは、新聞に「選挙公報」を折り込んで戸別配達する方法である。①か②のどちらかだ。

①ポスティング
②新聞折込

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2017年10月18日 (水曜日)

【動画】「押し紙」廃棄の現場、大量に回収される印刷したばかりの新聞、行き先は製紙工場、新聞公称部数だけでなく世論調査の数字も嘘の可能性

「押し紙」とは、新聞社が新聞販売店に対して、搬入する新聞のうち、配達されないまま廃棄される新聞のことである。たとえば2000部しか配達していない販売店に3000部を搬入すると、過剰になった1000部が「押し紙」である。

ただし、予備紙(配達中の破損などに備えて余分に確保しておく新聞で、通常は、搬入部数の2%)は、「押し紙」に含まれない。

公正取引委員会の見解は、実際に配達する新聞の部数に予備紙をプラスした部数が、正常な新聞販売店経営に必要な部数であって、それを超えた部数は、機械的にすべて「押し紙」と定義している。新聞社は、「押し紙」についても、卸代金を徴収する。一種の押し売りだ。

「押し紙」の割合は、新聞社によってまちまちだが、たとえば毎日新聞の場合は、2002年10月の段階で、搬入部数の36%にも達している。現在は、おそらく50%を超えていると推測される。次の記事を参考にしてほしい。「押し紙」率36%の決定的証拠を示している。

【参考記事「押し紙」を排除したときの毎日新聞の販売収入は年間でマイナス295億円、内部資料「朝刊 発証数の推移」を使った試算
次に示すのが、「押し紙」の回収場面を撮影した動画である。

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2017年10月12日 (木曜日)

新聞没落 大量廃棄されるイトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングス)の折込広告 高齢者対象の「振り込め詐欺」よりも被害が大きい「折り込め詐欺」

メディア黒書のシリーズ「折り込め詐欺」の実態。6回目は、イトーヨーカ堂の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボール箱に詰められて廃棄されている場面を撮影した動画を紹介しよう

イトーヨーカ堂は、セブン&アイ・ホールディングスの子会社である。

ちなみに高齢者などを対象とした「振り込め詐欺」の摘発件数(警察庁発表)は、2016年度の場合14,151件。被害額は約406億円。

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2017年10月09日 (月曜日)

【動画】新聞の凋落、水増しされ大量廃棄される県民共済の折込広告、「折り込め詐欺」の実態

メディア黒書のシリーズ「折り込め詐欺」の実態。5回目は、県民共済の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボール箱に詰められて廃棄されている場面を紹介しよう。

県民共済は、全国に普及している医療費などの保険で、東京都の場合は都民共済である。都道府県の名前を付しているが、私企業が提供しているサービスである。

折込広告が梱包されている段ボール箱は、山陽新聞の販売会社が提供していたものだ。「押し紙」裁判で、そのことが認定されている。

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2017年10月03日 (火曜日)

【動画】新聞没落、「押し紙」と一緒に大量に廃棄される東進衛星予備校の折込広告、「折り込め詐欺」の実態

メディア黒書のシリーズ「折り込め詐欺」の実態。4回目は、東進衛星予備校の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボールに詰められて廃棄されている場面を紹介しよう。

東進衛星予備校を経営する(株)ナガセは、最近、マイニュースジャパンに対するスラップ訴訟で敗訴したことでも有名になった。PRの手段として折込広告を使い、「折り込め詐欺」の被害にあったことになる。

なお、東進衛星予備校の折込広告に記されている実績が事実かどうかは、広告倫理の観点から検証する必要があるだろう。

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2017年09月27日 (水曜日)

【動画】新聞没落、秘密裏に大量廃棄される山田養蜂場の折込広告、料金を騙し取り

メディア黒書で定期的に紹介している「折り込め詐欺」の実態。今回は、山田養蜂場の折込広告が、水増しされ、配布されないまま、段ボールに詰められて廃棄されている場面を紹介しよう。

この動画も新聞人による内部告発である。山陽新聞の販売店主が、みずから撮影したものである。自分が「折り込め詐欺」を強要されているからこそ、内部告発に踏み切れたのだ。

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