1. 新聞協会が佐賀新聞販売店を表彰、新聞大会で贈賞、「押し紙」による独禁法違反にはふれず

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2020年10月16日 (金曜日)

新聞協会が佐賀新聞販売店を表彰、新聞大会で贈賞、「押し紙」による独禁法違反にはふれず

日本新聞協会は、10月8日、今年の「地域貢献大賞」を佐賀新聞の販売店に贈ることを発表した。受賞の対象になったのは、佐賀県多久市の佐賀新聞・東多久販売店の宮口昭博店主である。「2011年の販売店開業を機に、住民とのふれあいの場をつくり地域を元気にしたいとの思いで『多久ちんどん芸能隊』を発足させ、地域活性化に取り組んでいる」というのが受賞理由である。

宮口店主は、10月の新聞週間に開かれる新聞大会で表彰される。

過去に販売店が「地域貢献大賞」を受賞した例としては、警察と新聞販売店が連携して実施している住民の監視・見回り活動などがある。新聞配達の途中や、購読料の集金先で不信な人物を発見したときは、警察に通報する活動である。そのために警察のスパイ活動への協力ではないかとの批判も一部にある。

【参考記事】読売防犯協力会の正体、共謀罪法案の成立で新聞販売店と警察が連携した「住民監視活動」がはじまる

ところで佐賀新聞といえば、今年の5月に判決があった「押し紙」裁判で、独禁法違反の認定を受け、約1000万円の損害賠償金の支払いを命じられたばかりである。しかも、裁判を起こした販売店だけではなく、全販売店に対して、新聞を押し売りしていた事実が認定された。

いわば公正取引委員会が独禁法違反で介入すべき案件に直面しているのである。

しかし、日本新聞協会は、判決後も何の対策も取っていない。本来、不祥事があった新聞社やその系列販売店に対しては、贈賞などを控えるのが常識であるが、今回はあえて佐賀新聞の販売店を選んだ。これはある意味では、佐賀新聞の汚名隠しではないか。

日本新聞協会は、新聞業界に「押し紙」が存在することを未だに否定している。将来もこれまでの販売政策の過ちを認める可能性は低い。