1. 「押し紙」裁判で販売店勝訴の流れ、販売店の「和解勝訴」が相次ぐ

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2018年03月20日 (火曜日)

「押し紙」裁判で販売店勝訴の流れ、販売店の「和解勝訴」が相次ぐ

先日、ある新聞販売店が保管している商取引に関する資料を見る機会があった。驚いたことに、通常の「押し紙」のほかに、「補正」という口実で、さらに「押し紙」を上乗せしていたことが分かった。裁判を起こせば、まず勝訴できる案件だった。「補正」を口実とした請求に対する疑義は、実は複数の店から口答で筆者のところへ寄せられていたが、このたび書類で確認することができた。スポーツ紙でも、「押し紙」が行われていた。

他の販売店では、英字紙の「押し紙」も確認できた。

このところ販売店からの裁判に関する問い合わせが筆者のもとに増えている。提訴した場合、勝算はあるかという問い合わせである。

勝算があるかどうかは、最終的には弁護士が書類(販売店が保管している商取引に関する書類)を確認してみなくては分からないが、少なくとも販売店に有利な状況が生まれはじめていることだけは間違いない。ここ数年の間に起こされた「押し紙」訴訟は、いずれも販売店側の和解勝訴というかたちで終わっている。和解条件が非公開であり、被害者である販売店の希望を受け入れて、メディア黒書で報じていないだけで、実は、勝訴の流れは生まれている。

ただ、審理の中では従来どおりに、①販売店サイドが「押し紙」を断った証拠を持っているかどうかが争点になる。しかし、この議論はまったく意味がない。

新聞社は、「販売店が過剰な新聞を注文することを承知していた」とか、「販売店が注文部数を減らすように通知しなかった」などと主張してくる。だから残紙は、「押し紙」には該当しないと。

しかし、独禁法の新聞特殊指定でいう「注文部数」とは、「実配部数+予備紙」のことで、それを超える部数は、情け容赦なく機械的に「押し紙」と定義されている。販売店が「過剰な新聞の注文を承知していた」というのは、理由にならない。特殊指定でいう注文数の定義は、優越的地位の濫用を避けるために、一般の商品とは区別されているのだ。

新聞社は、このような事情を知っているので、過剰になった新聞をすべて「予備紙」と定義するようになり、「押し紙」裁判になると、「『実配部数+予備紙』を注文部数とする新聞特殊指定には抵触していない」という詭弁を展開する。しかし、彼らのいう「予備紙」は、定期的にトラックで大量回収されており、この事実こそが、「予備紙」としては使われていないことを物語っている。従って残紙は、ほぼ全部が「押し紙」という事になる。

独禁法の新聞特殊指定に抵触している事実こそを問題視すべきなのだ。

◇早めに弁護士に相談を

販売店主の自殺は、相変わらず後を絶たない。最近、小田原市でも従業員の自殺があった。

「押し紙」で販売店を廃業する前に弁護士に相談するほうがかしこい。早ければ早いほど被害は少なくなる。

販売店を廃業するにしろ、再出発の際に借金を背負って再出発するのと、たとえ1000万円でも、2000万円でも損害を取り戻してから再出発するのでは、大きな違いがある。