1. 没落へ向かう新聞業界、1年で朝日は約30万部減、読売は21万部減、毎日は11万部減、9月度のABC部数

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2017年10月27日 (金曜日)

没落へ向かう新聞業界、1年で朝日は約30万部減、読売は21万部減、毎日は11万部減、9月度のABC部数

2017年9月のABC部数が明らかになった。それによると新聞の部数減の傾向にはまったく歯止めがかかっていない。ここ1年で、朝日新聞は約30万部、読売新聞は約23万部、それに毎日新聞は約11万部の部数を減らした。

朝日 6,136,337(-296,822)
毎日 2,942,247(-107,150)
読売 8,713,985(-228,146)
日経 2,702,584(-22,677)
産経 1,519,645(-49,203)

地方紙とブロック紙を含めて、一般紙で部数を増やした新聞社は1社も存在しない。軒並み部数を減らしている。次に示すのは、全国76紙のABC部数である。

全国76紙のABC部数

◇「新聞で見分けるフェイク 知るファクト」

なお、ABC部数には、「押し紙」が含まれている。

「押し紙」とは、新聞社が新聞販売店に対して、搬入する新聞のうち、配達されないまま回収される新聞のことである。たとえば2000部しか配達していない販売店に3000部を搬入すると、過剰になった1000部が「押し紙」である。偽装部数ともいう。

ただし、予備紙(配達中の破損などに備えて余分に確保しておく新聞で、通常は、搬入部数の2%)は、「押し紙」に含まれない。

公正取引委員会の見解は、実際に配達する新聞の部数に予備紙をプラスした部数が、正常な新聞販売店経営に必要な部数であって、それを超えた部数は、機械的にすべて「押し紙」と定義している。新聞社は、「押し紙」についても、卸代金を徴収する。

今年の秋の新聞週間の標語は、「新聞で見分けるフェイク 知るファクト」であるが、「押し紙」行為こそがフェイク情報の典型といえよう。ダフ屋まがいの新聞人によるしつこい新聞拡販はなくなったが、実配部数を偽る行為はまったく解決していない。それゆえにABC部数を解析する際には、注意を要する。ABC部数が必ずしも実配部数を意味するわけではない。

【動画】「押し紙」を回収する現場。ABC部数がフェイク情報であることの裏付け。

【写真】毎日新聞の「押し紙」。毎日新聞・蛍池販売所の元所長・高屋肇氏提供。