1. 安倍内閣内閣の支持率32%~53%まで、世論調査は信用できるのか?

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2014年07月24日 (木曜日)

安倍内閣内閣の支持率32%~53%まで、世論調査は信用できるのか?

マスコミ各社が6月の下旬から7月の中旬にかけて行った安部内閣についての世論調査のうち、内閣支持率と不支持率は、次のようになった。

■■Yahoo!みんなの政治

支持率: 32.6%

不支持率:66.5%

調査人数:4万4,230人

調査期間:6月26日~28日

■■NNN(日本テレビ系列)

支持率:45.2%

不支持率: 35.8%

調査人数:1046人

調査期間:7月11日~13日

■■日経新聞

支持率:53%

不支持率:36%
調査人数:?

調査期間:6月27日~29日

■■時事通信
支持率:44.6%

不支持率:34.6%

調査人数:?

調査期間:7月11日~14日

■■NHK

支持率:47%

不支持率:38%

調査人数:978人

調査期間:7月11日~13日

■■読売

支持率:48%

不支持率:40%

調査人数:?

調査期間:7月2日~3日

■■朝日

支持率:43%

不支持率:33%

調査人数:1756人

調査期間:7月21~22日

■■毎日
支持率:45%%

不支持率:35%%

調査人数:?人

調査期間:6月27日~28日

支持率は日経の調査をのぞいて、50%を切っている。

支持率が最も低かったのは、「Yahoo!みんなの政治」の32.6%。不支持率が最も高かったのも、「Yahoo!みんなの政治」で66.5%だった。

調査対象になった人数が最も多かったのは、「Yahoo!みんなの政治」の4万4230人だった。これに対して他の調査では、おおむね1000人から2000人の規模だった。

マスコミ各社の世論調査で明らかになった数字をどのように解釈すべきだろうか。以下、留意点について述べてみよう。

◇「Yahoo!みんなの政治」

これらの世論調査は、いずれも若干の問題がある。まず、「Yahoo!みんなの政治」について言えば、インターネット投票という形を取っているために、政治に強い関心を持っている人だけが投票している可能性が高いという点だ。従って、政治に関心がある人の間では、安部内閣の支持率が32.6%しかないということである。

また、インターネットと無縁の世代は、完全に調査の対象外になっている。

なお、「Yahoo!みんなの政治」は、二重投票ができない仕組みになっており、数字を故意に操作しない限り、システムそのものには問題がない。

また、Yahoo!の筆頭株主であるソフトバンクが、政府から携帯ビジネスに使う電話の割り当てを受けている事実を知っておく必要がある。同社は、2012年に総務省から、900メガヘルツの周波数帯(プラチナバンド)の割り当てを受けている。

◇消費税の軽減税率をめぐる裏工作

NNNや時事通信を含む新聞社系の世論調査は、マスコミ企業と政府の権益をめぐる駆け引きが、水面下で進行していることを念頭において評価する必要がある。

特に新聞業界は、新聞に対する消費税の軽減税率適用を勝ち取るか否かが、社運を決する状況の下で、自民党に対して政界工作を展開している。消費税が5%から8%にあがった場合の新聞各社の負担は、毎日新聞の元常務取締役・河内孝氏のシミュレーションによると、次のようになっている。

読売新聞 :108億6400万円

朝日新聞 :90億3400万円

毎日新聞 :42億6400万円

日経新聞 :38億7100万円

産経新聞 :22億1800万円

(出典:『新聞社』新潮新書)

こうした状況下で日本新聞販売協会からは、自民党議員を中心に、「セミナー料」や「寄付」の名目で多額の政治献金も行われてきた。次に示すのが、昨年公開された政治資金収支報告書である。献金を送った議員数は、150人を超えている。

■政治資金収支報告書

◇自民党は、「押し紙」問題を把握

さらに新聞業界は、「押し紙」問題をかかえており、警察や公取委は、その気になれば、新聞の商取引に対して合法的にメスを入れることができる。いわば新聞社は公権力に弱みを握られている。
実際、安部首相も「押し紙」問題を把握している。次に示すのは、2006年3月24日の参議院予算委員会における安倍国務大臣(当時)の発言である。「押し紙」問題に言及している。

■議事録PDF

◇調査対象のバランス

新聞社が実施する世論調査の技術的な問題点としては、電話調査の限界がある。電話で調査に協力する有権者は、在宅している人に限定されるわけだから、会社で働いていない層が中心になる可能性が高い。その結果、調査対象のバランスが完全に崩れている可能性が高い。

また、調査対象者が1000人から2000人では、実態が正しく把握できるのか、疑問が残る。