1. 東京オリ・パラの選手村建築にからむ巨大な官製談合疑惑、1200億円の値引きが報じられない背景に大口広告主の存在

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2018年06月13日 (水曜日)

東京オリ・パラの選手村建築にからむ巨大な官製談合疑惑、1200億円の値引きが報じられない背景に大口広告主の存在

東京・晴海で建築が進んでいる東京オリンピック・パラリンピックの選手村の土地取引をめぐって、大がかりな官製談合の疑惑が浮上していることを、読者はご存じだろうか。

疑惑とは、選手村にあてられる13万3000平方メートルの更地(所有者は東京都)を129億6000万円で、開発業者に売却した問題である。その価格は、1平方メートルに換算すると9万6800円。

これがいかに安い価格であるかは、問題の都有地近辺の地価を比較するとはっきりする。選手村近辺の地価は次のようになっている。いずれも1平方メートルの価格である。

晴海5-2-10:(選手村建築予定地):9万6800円
晴海5-1-9:95万円
月島3-25-3:116万円

比較対象にした上記の3地点は、いずれも住宅地である。

詳細は、下記の図を参考にしてほしい。

選手村の都有地は、周辺地価の約10分の1で、開発業者に販売されたのである。実質的な値引き価格は、約1200億円にもなる。森友学園に対して行われた8億円の値引きとは、桁違いなのだ。

ちなみに約1200億円の割引で都有地を取得した企業は、「2020晴海Smart cityグループ」である。グループのメンバーは次の通りだ。

三井不動産レジデンシャル、
エヌ・ティ・ティ都市開発、
新日鉄興和不動産、
住友商事、
住友不動産、
大和ハウス工業、
東急不動産、
東京建物、
野村不動産、
三井不動産、
三菱地所レジデンス

◇報じられない背景に

この事件は、ほとんど報じられていない。大きく報じたのは、東京新聞、日刊ゲンダイ、テレビ朝日ぐらいで、マスコミは沈黙している。それゆえに話題にもならない。森友・加計事件が大々的に報じられているのとは対象的だ。

その要因は複数ある。

事件の構図が巧妙で、不動産取引に関する法的な知識がなければ、理解しにくいということ。

東京オリンピック・パラリンピックという大きなイベントがらみなので、自粛傾向が強くなる。

東京都から破格の安価で土地を取得して、選手村の開発を進めている企業が属するグループ企業が大口広告主であること。

新自由主義に基づいた開発方法の典型であり、それを批判することが、政府や東京都の方向性を否定することに繋がるという懸念。

このうち③に関する資料を紹介しよう。2016年度の「広告宣伝費上位100社(連結決算ベース)である。出典は、2017年の『広告白書』。赤印を付した企業が、「2020晴海Smart cityグループ」と何からの関連を持つ企業である。

上位100企業のランクに11社がランクインしている。