2018年02月06日 (火曜日)
森裕子議員の不起訴を受けて、筆者らが新潟検察審査会に申し立て、小島健太検察官は法律をどう解釈したのか?
自由党の森裕子参議院議員に対する詐欺容疑事件を新潟地検の小島健太検察官が不起訴にしたことを受けて、1月31日、告発者である筆者と元会社役員で市民運動家の志岐武彦氏は、新潟検察審査会に審査申立書を提出した。この事件を調査してきた志岐氏は、同日、県庁記者クラブで記者会見を開いた。
検察審査会とは、不起訴とされた事件に関して、有権者から異議が申し立てられた場合、有権者から選ばれた審査員が、事件を再検証する制度である。検証結果によっては、小沢一郎氏のケースのように強制起訴されることもある。
ただ、検察審査会の内情は「闇」で、よく分かっていない。皮肉なことに、森裕子議員が、検察審査会の闇を調査して、自著の中でそれを告発している。
事件の概要は、メディア黒書で報じてきたように、森氏が2013年と2015年に、自身が代表を務める政党支部に自分で総計1205万円を寄付し、その30%にあたる還付金を受け取ったというものである。
有権者が政党支部などに政治献金を行った場合、所定の手続を踏めば、その30%を税金から還付(バック)してもらえる制度がある。一般の有権者がこの制度を利用するのは差し支えないが、森氏の場合は自己資金を自分の政党支部へ寄付して、それを根拠に還付金を受けたのであるから、資金を動かすだけで自己資金を30%増やしたことになる。
森議員は、過去12年間で9100万円を自身の政党支部へ寄付している。これらの寄付を根拠として、かりに毎年、還付金を受けていたとすれば2730万円を税から受け取ったことになる。
筆者らは、この点を問題視して、森氏を新潟地検へ詐欺容疑で刑事告発していたのだ。
◇なぜ、詐欺に該当するのか?
還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められている。しかし、例外として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められたものを除く」と規定されている。筆者らは、森氏の行為がこの条文に完全に該当すると判断して、刑事告発したのである。
一般の有権者が、この種のマネーロンダリングで資金を増やすことは出来ないが、森氏の場合は寄付先が自分自身の政党支部という特別な事情になっているために、寄附金はいうまでもなく、還付金も最終的には自分の政治活動に使える原理だ。たとえば、1000万円を寄付すれば、資金を動かすだけでそれが1300万円になるのだ。しかも、この300万円は税金が財源になっている。
と、すれば「寄付をした者に特別の利益が及ぶ」と解釈するのが自然だろう。
寄付先が自分の政党支部であるから、一般の有権者とは異なり「特別な利益が及ぶ」のだ。
ところが新潟地検は、森氏を不起訴にした上に、その理由を明らかにしていない。一体、小島検察官はこの条文をどう解釈したのだろうか。?
自民党の高市早苗前総務大臣に対しても筆者らは、詐欺容疑で奈良地検へ刑事告発を行い受理された。しかし、現時点で奈良地検は、起訴するか不起訴にするかを決めていない。当初は、12月末に結論をだすと聞いていたのだが。
【参考記事】(ビジネスジャーナル)森裕子議員、詐欺の疑いで地検が刑事告発状を受理…献金で違法な還付金受領か