1. 夏のカンパに対するお礼

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2023年08月29日 (火曜日)

夏のカンパに対するお礼

7月の下旬から8月末にかけて、メディア黒書で告知しました「カンパのお願い」で15万円の資金が集まりました。告知した通り、全額を「押し紙」弁護団に寄付しました。本来であれば、カンパをいただいた方々に直接お礼を申し上げるべきところですが、連絡先が不明な方も含まれているので、ネット上でのお礼に代えさせていただきました。改めて感謝の意を表明します。

さて、このところ国民の感情を逆なでするような政治の暴走が続いています。福島原発の汚染水処理の方法を決めるに際して、海を共有している他国の人々の意見を聴取することなく、無謀な海洋投棄を断行したり、身内に殺人に関与した疑いがかかっている政府要人が、なにもなかったかのように堂々と首相の外遊に同行するなど、秩序ある国家とは程遠い状況が当たり前になっています。いくら抗議してもまったく聞く耳を持っていません。

本来、新聞ジャーナリズムは権力の暴走に歯止めをかける役割を担っています。少なくとも、大企業の権益を守るための国策に手を貸してはなりません。ところが新聞は公権力機関の「広報部」に変質して、国策の応援団と化しているのが実態です。中には社会悪や政治腐敗を嘆いている新聞もありますが、残念ながらそれは政治の方向性を変えようという強い自覚に基づいたものではありません。論誘導というものは、実は、多様な主張を巧みに混ぜ合わせることで成立するのです。多少の問題はあるが、基本的に国策は正しいとする世論形成を基本としています。

なぜ、日本の新聞はこんな惨憺たる実態に陥ってしまったのでしょうか?わたしはこの問題を考える時、記者個人の資質や職能を批判する以前に、新聞社経営の中に存在するもっと客観的な原因を探ってきました。結論を先に言えば、それは「押し紙」が生み出す莫大な不正利益を公権力機関が暗黙することを前提とした情交関係です。それにより生じる金額は尋常ではありません。

全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円です。これに対して「押し紙」が生む不正金額は、35年に換算すると32兆6200万円に上ります。(詳細は、『新聞と公権力の暗部』)。霊感商法の比ではありません。仮に警察や公正取引委員会などが、「押し紙」問題にメスを入れれば、新聞社は大幅な減収に陥り、経営が破綻する可能性もあります。それを避けるためには新聞社は、公権力の「広報部」として権力構造の中に留まるより選択肢がありません。

その他にも、新聞に対する消費税の優遇措置や再販制度の維持政策、それに教育現場で新聞の使用を推奨する学習指導要領なども、新聞社と公権力の癒着を生む要素になりますが、新聞社の収益という観点から言えば、「押し紙」政策が最も顕著な負の要素と言えるでしょう。

出版社も新聞社と良好な関係を維持するために、「押し紙」問題は取り上げない傾向があります。新聞社と敵対的な関係になれば、新聞の書評欄から締め出される恐れがあるからです。また週刊誌は、新聞記者からスキャンダルのネタを提供してもらえなくなります。ここにも「押し紙」問題の複雑さがあります。

わたしが「押し紙」の取材を始めたのは、1997年です。25年が過ぎて、現在では「押し紙」問題はタブーの領域は脱していますが、解決には至っていません。日本新聞協会は、未だに「押し紙」は存在しないと主張しています。その姿勢にわたしは、複写の汚染水問題で開き直っている政府要人の姿を連想します。

公権力に組み込まれた勢力を攻撃するということは、公権力全体を敵に回すことを意味しますから時間を要します。相手も総がかりで対抗してきます。しかし、この問題を放置する限り、ジャーナリズムは再生しません。

今後は、年末を目途にユーチューブ番組の制作も検討していきます。また、海外のメディアにも働きかけていきます。

今後とも支援をお願いいたします。