ネット上に株主らが東京地裁民事8部監視委員会を設置
ソーシャルメディアがジャーナリズムの有力な道具として浮上するなか、株主訴訟を起こしている人々が東京地裁の民事8部を監視するためのサイトを2件、設置した。名称はいずれも東京地裁民事8部監視委員会。TWITTERのサイトとFacebookのサイトである。アドレスは次の通り。
■Twitterの東京地裁民事8部監視委員会
■Twitterの東京地裁民事8部監視委員会
■Facebookの東京地裁民事8部監視委員会
http://www.facebook.com/minji8bu
民事8部は、商事を扱う部で、主に株主訴訟などを担当している。読売が清武利則氏に対して起している高額訴訟も民事8部で進行している。
ところがこれまで株主訴訟を起こした多くの人々が、民事8部の判事について「極めて企業より」との評価を下している。日本の裁判所がより強い権力を持つ側に有利な判決を下す傾向があることは、真村久三氏やわたしの対読売裁判で明白になったが、民事8部の場合、昔からこのような傾向があったという。
裁判の進行方法そのものに問題があるとの指摘もある。たとえば民事8部の元判事・?山崇彦氏がTMI法律事務所へ再就職し、今度は弁護士として民事8部の法廷に立つという珍事も発生している。この弁護士は民事8部に人脈があるわけだから、裁判そのものが公平性を欠いている。
◇どちらが重いか、オウム事件と「窃盗」表現
最近、わたしは知り合いの弁護士からある指摘を受けた。黒薮VS読売の名誉毀損裁判NO1(原審・さいたま地裁)で、わたしが加藤新太郎裁判官から110万円の支払いを命じられたことは既報の通りであるが、賠償額についての指摘である。
この裁判は、地裁と高裁でわたしが勝訴したが、最高裁がわたしを敗訴させ、読売を逆転勝訴させることを決定して、東京高裁へ判決を差し戻した。これを受けて加藤裁判長が、わたしに110万円の支払いを命じたのである。
知人の弁護士が指摘したのは、110万円という賠償額の異常である。この金額を念頭に置いて、次の記事を読んでほしい。
完全敗北…警視庁OB「意外な判決」 アレフ側は「当たり前のこと」
警察当局にとって、「完全敗訴」というべき判決だった。警察庁長官銃撃事件で「オウム真理教信者による組織的なテロ」との捜査結果を警視庁が公表したことをめぐる名誉毀損(きそん)訴訟で、東京地裁は15日、被告の東京都に100万円の支払いとともに、謝罪文の交付まで命じた。警視庁OBは「意外な判決」と驚く一方、教団主流派「アレフ」側は「(判決は)当たり前のこと」と改めて警視庁側の対応を批判した。
「司法の原則に沿わなければいけないという判断は理解できなくはないが、意外な判決だとは思う」
オウム事件の捜査に長年携わってきた警視庁公安部OBは、「アレフ」全面勝訴の判決に驚きを隠さない。
公安部は当時、公表した捜査結果で、匿名にしつつも元幹部や信者の事件前後の動向を詳細に示した。
不起訴になった教団関係者を犯人と断定して公表したことは人権侵害に当たるとの指摘には、幹部は「公益性と社会正義との均衡を考慮した。刑事責任を問うことと、捜査結果を分析した結果を国民に報告することとは違う。法的に問題があるとは考えていない」と説明し、正当性を主張していた。
公安部OBは「犯罪を捜査する司法警察ではなく、公共の安全や秩序の維持を目的とする行政警察の立場でいえば、捜査結果をそのまま放置しておくことはできなかった」と、公益上必要な措置であったことを強調した。
ある警察庁幹部は、「コメントは控えたい」としつつも、「この1審判決は厳粛に受け止める。今後の対応は警視庁が検討することと思う」と述べた。 ??(MSN)?
「不起訴になった教団関係者を犯人と断定」したことに対して100万円の賠償金である。
一方、わたしに対する110万円の内容は、チラシの持ち出し行為を「窃盗」と断定したことに対する賠償だった。しかも、「窃盗」という表現が事実の摘示か隠喩(メタファー)かを巡り法廷で論争になり、地裁と高裁はわたしを勝訴させた経緯があるのだ。
オウム事件よりも、わたしが黒書に書いた記事の表現の方が重大な人権侵害ということになる。この件に関しては、近々に裁判所に問い合わせてみたい。
日本の裁判所の劣化は目に余るものがある。ネット上の東京地裁民事8部監視委員会の設置が歯止めになることを期待したい。