2014年12月10日 (水曜日)

ノーベル物理学賞の青色LEDと加齢黄斑変性の関係、受賞者と一体化して喜ぶメディアにも問題

新聞研究者の故新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、報道の見方について、次のような方法論を展開している。

新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批判するときに欠くことができない視点は、「どのような記事を載せているか」ではなく、「どのような記事を載せていないか」なのである。

映画字幕翻訳家・戸田奈津子氏が加齢黄斑変性という目の病気になっていることを公表した。病名こそあまり聞かないが、近年、急激に増えているそうだ。全盲になるリスクも高い。

この加齢黄斑変性の原因のひとつをご存じだろうか。実は、3人の日本人がノーベル物理学賞を受賞したのを機に、マスコミが歓喜の大合唱を続けている青色LED(ブルーライト)である。

最初に開発されたLEDは、赤色LEDである。1961年のことだ。次に1968年になって、黄緑色LEDが開発された。そして、1993年に、今年のノーベル物理学賞受賞者である赤松勇教授と天野浩教授が、青色LEDを開発したのである。

皮肉なことに、危険性が指摘されているのは、赤色LEDでもなければ、黄緑色LEDでもない。青色LEDが危険視されているのである。厳密に言えば、ノーベル賞の受賞前の時期から、危険視されてきた。

しかし、日本のマスコミはノーベル賞の受賞者と一体になって、「日本人はやっぱりすごい」といわんばかりの提灯記事を連日掲載し、青色LEDが普及する過程で生じる健康被害についてはほとんど報じない。

具体的に青色LEDには、どのようなリスクがあるのだろうか。

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2014年12月09日 (火曜日)

公共事業は諸悪の根源⑱ デッチ上げまでした司法 その4

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)
安倍首相は「重要な政策では国民の声を聞く」として、解散に踏み切りました。しかし、憲法9条の実質改憲である集団的自衛権容認、憲法21条「表現の自由」の基礎である国民の「知る権利」を否定する特定秘密保護法の制定で、なぜ、「国民の声」を聞く解散に踏み切らなかったのでしょうか。まさに「まやかし解散」、「まやかし政権」と言わざるを得ません。

「アベノミクス解散」と称したことから、政治評論家の中には、したり顔で小泉首相当時の「郵政解散」になぞる向きもあります。しかし、根本的に違います。小泉首相は曲りなりにも、「官僚機構の財布」と言われた「郵貯資金」に手を付けようとしました。

勿論、自民党の既得利権擁護派の抵抗勢力、官僚機構、官公労やそれをバックにした野党まで反対の大合唱。その中で解散権を行使するのは、国民の声を聞くためにも当然の成り行きだったと思います。

しかし、アベノミクスは今のところ、日銀がお札を刷って貨幣価値を下げただけ。当然、その分インフレ・円安にはなりました。しかし、消費税で懐に入れた金を使って、ダムなど無駄な公共事業を既得権益層にバラまいただけです。公共事業予算は、民主政権時代の5兆円が10兆円に増えています。

しかし、私が解明した長良川河口堰のように、無駄な公共事業は金食い虫、「諸悪の根源」です。今、必要なのは、官から権限もお金も取り上げて民に回し、経済を活性化することです。

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2014年12月08日 (月曜日)

新聞業界から高市早苗議員に80万円の献金、軽減税率の公明・漆原良夫議員にも20万円

総務省が公表した政治資金収支報告書(2013年度、最新)によると、新聞業界から、自民、公明、民主の議員に政治献金が支出されていることが分かった。献金元は、新聞に対する軽減税率の適用を求めて、日本新聞協会と共闘体制を取っている日本新聞販売協会(日販協)の政治団体である。

献金回数は、述べ48件。献金額の第一位は、改憲派の先鋒である高市早苗議員への80万円。第2位は、読売新聞の記者である丹羽雄哉氏の60万円。

軽減税率を選挙公約にかかげている公明党に対する献金も記録されている。

詳細は次の通りである。

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2014年12月06日 (土曜日)

【近刊案内】ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々-- 携帯基地局の放射線

……めまい、頭痛、流産、そして癌
この悪夢は誰にも起こりうる!
WHOが電磁波とガンの関連性を発表!

 

危険なのは原発のガンマ線だけではない、

携帯基地局のマイクロ波もあぶない!

みえない新世代公害の実態と大罪

著者:黒薮哲哉
版元:花伝社

Amazon:ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々-- 携帯基地局の放射線

●目次●

第1章 「圏外」を求めて流浪する電磁波難民

第2章 電磁波問題とは何か?

第3章 電磁波による健康被害の実態と拡大

第4章 基地局周辺に現れた奇形植物

第5章 問われる企業倫理とメディアの責任

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2014年12月05日 (金曜日)

【臨時ニュース】 田中哲朗裁判長が原告の控訴を棄却、KDDI基地局の稼働停止を求める延岡大貫訴訟

臨時ニュース

KDDIの携帯基地局の操業停止を求めた延岡大貫訴訟の控訴審判決が5日、福岡高裁宮崎支部であった。田中哲郎裁判長(佐藤明裁判長代読)は、予想どおり原告の控訴を棄却した。

 参考記事:「明日、携帯基地局の放射線による健康被害を問う延岡大貫訴訟の判決、司法の劣化を象徴する「事件」が頂点に」

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2014年12月05日 (金曜日)

NTTドコモから自民党へ750万円の政治献金、最新の政治資金収支報告書で判明

総務省が公表した最新の政治資金収支報告書(2013年度分)によると、携帯ビジネスを行っている企業や、そのグループ会社から、自民党の政治資金団体・国民政治協会に対して、政治献金が行われていることが判明した。

電話会社からの政治献金は、2012年度の政治資金収支報告書でも確認されており、通信業界と自民党の癒着が進んでいる可能性が高い。

2013年度の政治資金収支報告書から、該当部分を紹介しよう。

NTTドコモ:700万円
NTTデータ:350万円
NTT都市開発:150万円

KDDI:300万円

電話会社からの政治献金PDF

ソフトバンクについては、記録が見あたらなかった。

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2014年12月04日 (木曜日)

明日、携帯基地局の放射線による健康被害を問う延岡大貫訴訟の判決、司法の劣化を象徴する「事件」が頂点に

宮崎県延岡市の住民30人が、KDDIの基地局がまき散らしている放射線(マイクロ波)が原因で健康被害を受けたとして、KDDIに対して稼働停止を求めた裁判の控訴審判決が、明日(5日)、福岡高裁・宮崎支部で言い渡される。

この裁判は、2009年12月に提起されたもので、基地局問題を象徴する事件として、全国の注目を集めてきた。

第1審は原告の敗訴。原告が控訴していた。

勝敗について、結論を先に言えば、控訴審で原告が勝訴する確率は、限りなくゼロに近い。裁判の進行そのものが尋常ではなかったからだ。

そのために、皮肉にも電磁波問題だけではなくて、日本の司法制度が内包する「闇」も露呈することになった。

◇論理が破たんした地裁判決
周知のように携帯基地局から放射される放射線(マイクロ波)が人体に悪影響を及ぼすとする説は、年々、説得力を深めている。2011年には、WHOの外部団体である世界癌研究機関(IARC)が、マイクロ波に発癌性の可能性
があることを認定している。

実際、ドイツ、イスラエル、ブラジルなどで行われた疫学調査では、携帯基地局の周辺に住む人々の間で、癌が多発していることが分かった。

インドのムンバイ市では、最高裁の司法判断を背景に、3200の基地局が撤去の対象になっている。

こうした世界の動きを見据えると、当然、延岡大貫訴訟は原告を救済するのが常識だが、第1審では、健康被害の発生は、客観的な事実として司法認定されたものの、基地局の稼働中止はそのまま続けてもいいことになった。
司法がKDDIのビジネスを救済したのである。
裁判所がその根拠としたのは、俗にいう「ノセボ効果」による健康被害であるとの判断である。「ノセボ効果」とは、思い込みによって生じる症状のことである。判決は、次のように「ノセボ効果」を認定して、KDDIを勝訴させた。

原告らその他の住民の中には、反対運動などを通じて電磁波の危険性についての情報を得たことにより、電磁波の健康被害の不安を意識したことや、被告の対応に対して憤りを感じたことなどにより、もともとあった何らかの持病に基づく症状を明確に意識するようになったり、症状に関する意識が主観的に増幅されていき、重くとらえるようになった者がいる可能性がある。

健康被害という客観的な事実と、「ノセボ効果」を結びつけるには、科学的な根拠が不可欠であるが、判決文では、それが完全に欠落しているので、判決全体を通読した時、論理が完全に破たんしていることが分かる。「論文」としては、失格のレベルである。

それにもかかわらず判決は効力を持ち、現在も延岡市の原告を苦しめている。

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2014年12月02日 (火曜日)

数字で見る小選挙区制のカラクリ、前回の衆院選で自民は27%の得票率で294議席を獲得

衆院選がスタートする。わたしは衆院選のたびに小選挙区制の理不尽さを痛感する。

小選挙区制についての論文は多いが、その中でも際だって説得力があるのは、渡辺治著『安倍政権と日本政治の新段階』(旬報社)の劈頭(へきとう)に掲載された「総選挙の結果が示した日本政治の新たな段階」と題する論考である。

この論文は小選挙区制の矛盾をずばり指摘している。とても明快に論じられている。

渡辺氏が例として引き合いにだしているのは、2012年12月16日に投票が行われた衆院選である。周知のように、これは第2次安部内閣を成立させた選挙である。客観的な事実(数字)をもとに小選挙区制のカラクリを説明している。

この選挙で自民党は、294議席を獲得した。このうちの237議席が小選挙区の議席である。民主党が大勝した2009年の衆院選における自民党の獲得議席数は、119議席だったから、議席を約2.5倍に増やしたのである。

この数字だけを見れば、自民党は国民から圧倒的な支持を受けたような印象を受ける。ところが2009年の衆院選と2012年の衆院選における自民党の得票率(比例区を採用)を比較してみると、それが幻想であったことが分かる。小選挙区制のカラクリが一目瞭然になる。

【自民党の得票率の変化】
2009年の衆院選:26.72% (119議席)
2012年の衆院選:27.62%  (294議席)

つまり自民党の得票率は0.9%しかアップしていないのに、議席数は2.5倍に増えているのだ。それどころか、「得票数においては投票率が下がったことも影響して、およそ219万票も減少している」(同書)のである。

このような現象が起こった原因は、民主党の大敗である。渡辺氏は次のように述べている。

では、小選挙区において自民党はなぜ議席の独占を果たすことができたのだろうか。その最大の理由は、定数一という小選挙区制の条件のもとで、自民党に対抗して議席を争ってきた民主党が激減し、維新の会はじめ新党も、小選挙区では知名度、浸透の点で、自民党に遠く及ばなかったからである。民主党票の歴史的激減、これが自民党大勝の第一の理由である。

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2014年12月01日 (月曜日)

トヨタから自民党へ6000万円の献金、トヨタが販売する「水素自動車」1台につき200万円から300万円の補助金

安倍内閣の下では、政治献金により政策を取り決める暗黙の了解があるようだ。

まず、テレビ朝日の次の報道(2014年8月7日)に注目してほしい。

 次世代のエコカーとして注目されている燃料電池車について、政府は、購入した場合に最大300万円の補助金を支給する方針を固めました。

  燃料電池車は走行中に水しか出さず、究極のエコカーと呼ばれています。トヨタが今年度中に一般向けに販売するほか、ホンダや日産なども販売を計画しています。価格が1台700万円程度とガソリン車よりも割高なため、政府は販売に合わせて、1台につき200万円から300万円の補助金を出し、世界に先駆けて普及させる方針です。電気自動車の購入補助金などとともに、来年度予算の概算要求にも盛り込まれる見通しです。

燃料電池車は「水素で走る車」である。引用文には、具体的に水素自動車を販売する会社としてトヨタの名前があがっている。

そのトヨタグループから、自民党の政治資金団体・国民政治協会に対する政治献金(最新の2013年度分)を調べたところ、7000万円を超える額が支出されていることが分かった。

このうちの大半は、トヨタ自動車からのもので、6440万円。

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