2014年06月06日 (金曜日)

太宰治のエッセイに見る「名誉毀損」的な表現、ターゲットは志賀直哉、それでも提訴はしなかった

他人の書いた文章を学問的に分析し、言葉じりを捉えては、やれ「名誉毀損だ」、やれ「プライバシーの侵害だ」、やれ「肖像権が侵された」と理屈をこね、「1000万円のお金を払え」、「いや、その表現は5000万円だ」と、高額訴訟をふきかけてくる弁護士が増えている。勝訴を請け負いますと言って、訴訟を勧める。そして訴状には、「回復が不可能なほど心の傷を負った」といった幼稚な誇張・慣用表現を散りばめる。

こんな風潮が日本に生まれたために、言論・表現の自由の幅がどんどん狭まっている。ある意味では、戦前よりも言論が萎縮している。

次に引用するのは、戦前に太宰治が書いた「如是我聞」と題するエッセイである。われわれの世代よりも、よほど自由闊達な精神が読み取れる。志賀直哉を批判した文章であるが、かりに志賀が生きていれば、弁護士が志賀邸を訪れて、「先生、ひとつ裁判をやりましょう。勝訴を請け負います」とひそかに話を持ちかけるのではないか。無論、志賀がこんな話に乗るはずがないが。

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2014年06月05日 (木曜日)

恐るべき新聞ビジネスの実態、電通から最高裁へ公共広告の料金請求6億5400万円、内部資料が示す02年度の毎日の「押し紙」率36%

新聞の発行部数が不透明な問題は、昔から取り沙汰されてきた。新聞販売店へ搬入される新聞に、「押し紙」(偽装部数)が含まれているために、実際に配達されている新聞部数は、外部からでは分からない。

読売には「押し紙」が1部も存在しないことを裁判所が認定した判例(東京地裁・村上正敏裁判長)もあり、日本にあるすべての新聞社が「押し紙」政策を続けてきたとはあえて断言しないが、新聞業界の慣行になってきたことは、紛れもない事実である。

さもなければ「押し紙」専門の回収業が産業として成立するはずがない。

不透明な新聞の発行部数により不利益をこうむるのはだれなのか?それはほかならぬ広告主である。公共広告の場合は、納税者が間接的な広告主ということになる。

紙面広告の掲載価格は、新聞の発行部数により決定する原則がある。特に公共広告の場合は、この原理が厳密に守られている。次のデータは、最高裁が2010年に広告代理店・電通から受け取った裁判員制度の新聞広告の請求書である。これを見ると発行部数と価格の関係がよくわかる。広告のサイズは、15段(全面)である。掲載回数は各紙とも2回。

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2014年06月04日 (水曜日)

折込チラシを廃棄する現場を撮影、段ボールの中には水増しされた折込広告が

冒頭の動画は、MEDIA KOKUSYOで何度か紹介したことがある「折込サギ」の実態を撮影したものである。「折込サギ」、あるいは「折り込めサギ」とは、新聞に折り込む契約を交わしたチラシ(折込広告)の一部を、秘密裏に廃棄する行為である。料金を徴収しているので、サギにあたる。

このような行為の温床となっているのは、新聞社のビジネスモデルである。  販売店へ搬入される新聞の部数と折込チラシの受注枚数を一致させる原則がある。たとえば販売店に2000部の新聞を搬入する場合、折込チラシの受注枚数も2000枚になる。

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2014年06月03日 (火曜日)

読売新聞、半年で約52万部減、紙新聞の未来を象徴する数字

このところ新聞の発行部数の減少がいちじるしい。2日付けMEDIA KOKUSYOでは、読売のABC部数が、3月から4月にかけて約20万部も減ったことを伝えた。新聞の急激な減部数に関して、補足しておこう。

次に示すのは、2013年11月と2014年4月における読売と朝日のABC部数である。

【読売】

2013年11月:10,007,440

2014年4月? : 9,485,286

(約52万部減)

【朝日】

2013年11月: 7,527,474

2014年4月? : 7,441,335

?? (約9万部減)

読売の場合は、半年のあいだに約52万部の減部数、あるいは52万人の読者を失っているのだ。この数字がいかに大きいかは、たとえば神戸新聞のABC(2014年4月)が約58万部、京都新聞が約49万部、神奈川新聞が約20万部、山陽新聞が約42万部であることを考慮すると分かりやすい。

読売の読者離れがどこまで続くのか分からないが、世界最大の発行部数を誇る新聞社の急激な低落傾向は、紙新聞の未来像を物語っている。

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2014年06月02日 (月曜日)

3月から4月にかけて読売の読者が一気に20万人減、産経新聞は8万人増

2014年3月から4月にかけて、読売新聞のABC部数が一気に20万5651部減っていることが分かった。日本ABC協会が定期的に公表している月ごとのABC部数(5月発表)により判明した。

また、朝日新聞は、8897部減った。これに対して、毎日新聞は3万3316部増えている。産経新聞も、8万6801部増えた。

読売と朝日の減部数は、4月1日から消費税が3%引き上げられ、8%になった影響である可能性が高い。毎日と産経がそれぞれ大幅に増部数になった原因は不明だが、ABC部数は新聞の印刷部数なので、配達されていない部数である可能性もある。

新聞業界では、昔から「押し紙」が問題になってきたが、読売に対しては、裁判所が、1部も「押し紙」は存在しないという認定を行っている。従って読売の約20万部の減部数は、1カ月で20万人もの読者が読売新聞に見切りをつけたことを物語っている。

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