1. 米国のフルーツ会社と軍事政権の関係にみるグローバリゼーションの危険な側面

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2016年03月22日 (火曜日)

米国のフルーツ会社と軍事政権の関係にみるグローバリゼーションの危険な側面

多国籍企業と国際ビジネスを考えるうえで格好のモデルとなるのは、前世紀までに見る米国とラテンアメリカの関係だった。ラテンアメリカは、「米国の裏庭」と言われてきたが、「庭」とは文字通り多国籍企業の「農園」の意味である。この裏庭ビジネスに使われる農地は、たとえばグアテマラの場合、全体の農地の6割から7割にも達していた。

当然、米国のフルーツ会社は、進出先の政界と軍部にも強い影響力を持っていた。事実、フルーツ会社が背後にいた政治的事件も多発している。

◆ユナイテッド・フルーツ社の謀略

たとえばコロンビアに進出していたUFC(ユナイテッド・フルーツ社)の農場で、1928年に農民のストライキが勃発し、コロンビア軍が出動して鎮圧する事件があった。この事件をモデルにした記述は、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』にも出てくる。多量の死体がバナナを運搬する貨物列車で運ばれていく場面だ。

1954年にはグアテマラで、当時のリベラル右派の政権が農地改革に踏み切ったところ、UFCとCIAが謀略をめぐらし、軍事クーデターを起こしている。これを機にグアテマラには、鉄の軍事政権が敷かれ、1960年代の初頭から、以後36年のあいだ内戦状態になったのだ。

死者は約20万人と推定されている。この中には、暗殺部隊によって殺害された市民が数多く含まれている。

わたしは1995年にグアテマラの隣国・ホンジュラスの農園地帯を取材したことがある。次のPDFはその時の記録で、単行本『バイクに乗ったコロンブス』(現代企画室)に収録した中編ルポ、「将軍たちのいる地峡」の一部である。

■将軍たちのいる地峡

TPPや海外派兵の問題を考えるとき、単純に国際化を賞賛する前に、その背景には多国籍企業のどのような権益が絡んでいるかを再考してみる必要がある。