1. 大阪毎日放送(MBS)が、滋賀医科大学付属病院を舞台とした事件のドキュメンタリーを放送、「映像’19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」

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2019年07月04日 (木曜日)

大阪毎日放送(MBS)が、滋賀医科大学付属病院を舞台とした事件のドキュメンタリーを放送、「映像’19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」

大阪毎日放送(MBS)が、6月30日の深夜(24:50)、滋賀医科大学付属病院を舞台とした事件のドキュメンタリーを放送した。「映像’19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」というタイトルで、50分にわたる長編ドキュメンタリーだ。

メディア黒書でも報じてきたように、滋賀医科大病院が実施している小線源治療は、岡本圭生医師によって開発された最先端のもので、卓越した成績を残している。転移する可能性が高い「高リスク」の癌であっても、5年後の非再発率が95%を超えている。「低リスク」と「中リスク」の場合は、ほぼ全員が完治する。岡本メソッドにより、前立腺癌は転移さえなければ、ほぼ完治できる時代になったのである。

大学病院も、岡本メソッドに特化したセンターを設ける構想を検討するなど、全面的に岡本医師を支援していた。講座を開設して、岡本メソッドの普及にも努めていた。

ところがスーパードクターとしての名を馳せた岡本医師を快く思わないグループがあった。その中心人物は、泌尿器科の科長・河内明宏教授と彼の部下の成田充弘准教授である。2人のコンビは岡本医師に負けじと、岡本医師とは別枠で小線源治療を計画。しかし、元々はダビンチ手術の専門家で小線源治療の「執刀」経験がない。

そこで岡本医師の治療を希望して滋賀医科大病院にやってきた患者の一部を泌尿器科へ誘導して、成田准教授が「執刀」を担当する計画を策定したのだ。実質的には、「人間モルモット」を使った手術練習である。

こうした河内教授らの危険な計画を中止させたのが、岡本医師だった。「執刀」の前段の治療で被害を受けた患者らは、昨年の8月、河内教授と成田准教授に対して、インフォームドコンセントに不備があったとして提訴に踏み切った。裁判は現在も続いている。

事件をもみ消すために大学病院は、岡本医師による「執刀」を今年の6月30日で中止して、12月には岡本外来そのものを閉鎖し、岡本医師を解雇する。
事件をなかったことにしようとしているのだ。

岡本医師の追放に先立って、この7月からは泌尿器科で成田医師による小線源治療の「執刀」が始まったが、だれも患者は来ないらしい。関西のメディアがこの事件を断続的に報道していて、滋賀医科大病院の泌尿器科に対する不信感が高まっているからだ。

この問題は、複数の裁判や刑事事件が絡み合っていて、分かりにくい側面があるが、毎日放送のドキュメンタリーは、事件の輪郭を鮮明に浮かび上がらせている。事件の根底にあるのは、岡本医師に対するねたみと「医学村」ではないかと考えている人も多い。

◆なぜ、放送時間が深夜なのか

筆者もこの事件を取材している。その関係で、取材現場で毎日放送の取材班の姿を見ることも多かった。

ジャーナリズムの原点は、テーマに対する着眼力である。どのようなニュースに価値があるのかを見抜く力と言っても過言ではない。

毎日放送はこれまでも例外的に優れたドキュメンタリーを放送してきた。わたしが知人と一緒に調査した森ゆうこ参議院議員と高市早苗議員によるマネーロンダリング事件も、放送してもらったことがある。

ただ、滋賀医科大学病院についていえば、なぜ、このような優れたドキュメンタリーを、最も視聴率が低い日曜日の深夜に放送するのかという疑問がある。もちろん、これは記者の責任というよりも、放送局幹部の責任である。

マスコミ企業の幹部に「出世」した人々は、記者としては箸にも棒にも掛からなかったために、経営者に転身した人が多い。そのために放送の役割は娯楽であって、ジャーナリズムは二の次だと勘違いしている可能性が高い。本来は、視聴率が最も高い午後8時か9時に、重要な番組を放送すべきなのだが。