北朝鮮脅威の「記事」を書かせて世論誘導、安倍政権から軍事産業へ国費800億円、国策プロパガンダの新しい手法、
読売新聞(電子版・5月13日)に、「陸上型イージス導入へ…ミサイル防衛強化」というタイトルの記事が掲載されている。この防衛システムの構築費用は、なんと800億円。当初、導入を検討していたTHAADよりも、価格的には450億円安い。とはいえ、莫大な国家予算の支出であることには変わりない。この800億円が米国の軍事産業の手に渡るのだ。
安倍政権からの高額なプレゼントである。安倍首相が推薦する読売の記事を引用してみよう。
政府は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、ミサイル防衛態勢強化策として、「イージスアショア」と呼ばれる陸上型イージスシステムを導入する方向で最終調整に入った。
複数の政府関係者が明らかにした。防空能力や費用対効果の面で、米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」よりも適していると判断した。
日本のメディアはさかんに北朝鮮脅威論を書き立てた。(海外メディアは加熱していない)北朝鮮攻撃Xデーの報道を繰り返した。東京では鉄道までストップさせた。
ところがゴールデンウィークになると永田町での周辺国危機の議論は休みとなり、外遊する閣僚があいついだ。この時点で、「Xデー」が嘘であることが判然としたはずだ。
実際、何も起きなかった。結局、北朝鮮報道は軍事予算を国から引き出して、軍事産業に関係している米国の企業に奉仕するためのプロパガンダであったことがはっきりした。450億円安くなったので、国民も納得したようだ。
◇記事を書かせることもPR戦術
PR戦略とは、何も新聞に広告を出したり、テレビでCMを流すことだけではない。タレントを看板にすることでもない。さりげなく記事を書かせて世論誘導することも、今や当たり前の戦略になっているのだ。
そのための「広告費」がどこから捻出されているかは、これから調査する必要があるだろう。
軍事産業が駆使できるメディア戦略は、このような方法しかないのだ。第一、新聞に戦車や鉄砲の広告を出すわけにはいかない。テレビCMで戦闘機をPRするわけにもいかない。
そこで「記事」を書かせて、ある産業に利益をもたらす戦略が行われる。このような手法は水面下ではかなり進んでいる。たとえば裁判員制度のPRで、地方紙がタウンミーティングを主催して、「さくら」を動員して会場を盛り上げ、記事を書く戦略が取られたことがある。この企画にも、広告代理店が絡んでいた。
「クールビズ」(地球温暖化防止)でも、はやり同じことが行われている。「記事」により世論を誘導して、間接的に利権が絡む業界に奉仕しているのだ。
読売の記者は、このあたりの国策プロパガンダを見抜いてほしいものだ。