博報堂事件、放送確認書そのものを何者かが偽装した疑い、確認書の発行日とCM放送日に矛盾
博報堂事件の焦点のひとつは、CMの放送確認書をめぐる諸問題である。最初に、CMが放送された際にコンピュータが自動的に出力する10桁のCMコードが放送確認書に印字されていないものが多数あることが判明した。
CMの本数にすると1500本を超えている。特に衛星放送のスーパーネットワーク社が際だっていて、メディア黒書の集計によると934本にもなる。
次ぎに、CMコードが非表示になっている放送確認書をさらに詳しく調べたところ、放送確認書そのものが偽装された可能性が極めて高いものがあることが分かった。メディア黒書が検証対象にしているのは、チャンネルMnetの放送確認書である。
まず、下記の放送確認書の①と②に注意してほしい。
①は、改めて言うまでもなく放送確認書の発行日である。
次に②に注意してほしい。ここにはCMのタイトルと放送日時が明記されている。その放送日を見ると、2本のCMはいずれも5月30日となっている。
読者は、この異常に気づかないだろうか?
CMが放送された日が30日であるのに、その放送確認書は5月29日に発行されているのだ。
これでは誰がみても、偽装のミスとしか考えられない。偽装作業の中で起こった「ミス」の可能性が高い。少なくともテレビ界で普通に使われている放送確認書とは著しく異なる。
◇住所の誤り
既報したように、チャンネルMnetの放送確認書には、この他にも次のような疑問点がある。放送局の住所が間違っているのだ。放送局の住所は、「港区西新橋2-7-4CJビル」だが、放送確認書では、「西新橋」が抜けている。これも「ミス」の可能性が高い。
この住所の「ミス」は、わたしの手元にあるチャンネルMnetの全ての放送確認書で共通している。
◇実験的に制作した偽装の放送確認書
かりに「放送確認書」が偽装とすれば、社印が押されていることをどう解釈すべきなのだろうか。また、放送確認書の明細部分は、どのような性質のデータなのだろうか。
この点についてパソコンの専門家とアスカの両者を取材したところ、両者ともPC上で簡単に制作(偽装)できるとの見解を示した。
制作の工程は次の通りである。
●全体の作り方
①基本ワードをベースに、レイアウトを真似して通常通り文字入力を行うだけ。
●社印の作り方
「フォトショップ」で作成する。
①角丸長方形ツールで形を描き、印鑑内容の文字を入力。後は似たフォントを探す。
②似たフォントを見つけたら、実際と同じぐらいまで色を薄めていく。
③最後に空白部分を透かす為、PNG形式で画像を出力し、印鑑位置に配置する。
次のPDFがアスカが実験的に作成した偽装の放送確認書である。チャンネルMnetの放送確認書を模倣したものである。
ちなみにこうした偽装は、専門家に鑑定を依頼すれば簡単に偽装が判明する。スキャンして、それをくり抜く方法ではないので、印影が全く同じには作れないからだ。
◇「フィラー履歴」の作成法
また、放送確認書の明細部分(「フィラー履歴」と呼ばれるもの)についても次のステップで簡単に作成できることが分かった。
①Visual Studio、Eclipsなどフォーム作成ツールで新規フォームを作成。
②フォームサイズを指定し枠を作成。そのフォーム上に文字ラベル(テキスト表示)、コンボボックス(選択期間、広告主名、選択など)ボタンなど各要素を配置。
③フォーム中心にデータ領域を配置し列要素を定義する。
◇テレビ界のV字回復の裏面?
だれがこのような「ミス」の連続としか思えない放送確認書を制作したのか、現段階では、断定できないが、CMを仲介した博報堂に代理店としての責任があることは間違いない。
このような放送確認書が認められるとすれば、1990年代に問題になったCM「間引き」が再び社会問題化するだろう。あるいは水面下で再発している可能性もある。テレビ界は、せっかくV字回復を遂げたにもかかわらず、これからその中身の検証を迫られることになる。