2025年07月21日 (月曜日)
議席の過半数割れを争点とした新聞・テレビ、投票終了後に参政党を批判、参院選のマスコミ報道
7月20日に投票が行われた参院選は、自民党と公明党が大幅に議席を減らし、国民民主党と参政党が躍進する結果となった。立憲民主党も議席を増やした。しかし、左派の領域に入る共産党と社民党は、議席を減らした。両党は、世論を正確に反映する比例区の得票率も減らした。自公政治の不満の受け皿とはなり得なかったのである。
選挙の翌日、つまり7月21日付けの新聞各紙の見出しは、申し合わせたように、自公が過半数を割り込んだことを強調していた。共産党の「しんぶん赤旗」も、商業紙に類似した見出しを掲げていた。
「自公 参院で過半数維持困難」
新聞各紙は、政権党が過半数に達しなかったことを、画期的な、そしておそらくは歓迎すべき現象として報じたのである。しかし、自公の批判票の受け皿となった参政党と国民民主党の中味が、自民党と同じ方向性か、それよりもむしろ急進的な傾向にあれば、政権党の過半数割れを手放しに喜ぶわけにはいかない。実際、参政党は、スパイ防止法案の提出をちらつかせている。自民党よりもはるかに急進的な右派なのである。
新聞各社は、このあたりの詳しい分析を怠っている。本来であれば、過半数割れの有無よりも、こちらの方が日本の運命を左右しかねない重要項目なのである。
新聞・テレビは、選挙当初から、議席の過半数割れを選挙の注目点として報じてきたために、それに整合した報道に踏み切らざるを得なかった可能性が高い。ある意味では、争点隠しなのである。
各党の獲得議席数に着目するのであれば、むしろ利害関係をベースとした協力関係にある立民・共産・社民の議席が、今後の政局にどのような影響を及ぼすかを検証すべきだった。
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マスコミが参政党を批判しはじめたのは、投票が終了した後である。たとえば、テレビ朝日の大越健介キャスターは、20日の選挙ステーションで、ようやく参政党の神谷党首の選挙期間中の言動に苦言を呈した。
また、日テレの有働由美子キャスターも、神谷氏に対して、防衛政策についての疑問点を提示した。
本来、こうした報道は投票前に行うものである。批判のタイミングがおかしい。おそらく故意にタイミングを遅らせのではないか。
今回の横並びの選挙報道を見るにつけて、マスコミそのものが日本の権力構造に組み込まれていることが一層明確になった。